切れ込みの細い葉といっても写真で見るヒゴスミレの葉よりは広い葉です。実をいうとヒゴスミレの実物を自然界では見たことがなく白い花と細めの切れ込んだ葉でヒゴスミレと思い込んでしまいました。何事も思い込みは良くないですね。しっかりと観察をしないといけないようです。
三国山脈を越えると越後では見られない植物が次々と顔を出します。その逆も真なりで日本海側特有の植物が沢山ありますが、普段からそういうものに囲まれていると違った世界にあこがれるような気持ちもあってついつい県境を越えてしまいます。マルバスミレも上州(群馬県)で初めて知った種の一つです。その群馬県をあちこち歩いてみるとこの種は普通に見られる種であることが分かりました。小野上温泉地域でもありこちで見られました。
上州三山の一つに榛名山があります。その脇に子持山という山があり両者の谷筋に吾妻川が流れていています。赤城山を下がってこの川沿いの小野上という地区を散策しました。小沢沿いのスギの植林地内の舗装された林道を歩いていると湿り気のある大岩があり、そこにはイワタバコがたくさん着生していました。新潟では見ない景観ですが、群馬県に入るとごく当たり前に出てきます。
新鮮な葉が伸びてきている中に昨年の花柄や果実の残骸が見られました。雪の降らない地域は枯れた茎などがそのまま残されています。すでに中の種子はふりまかれて周囲に飛散していることでしょう。イワタバコは平らな土地に種子が落ちても生育はできません。切り立った崖などに種子が運ばれなくてはなりません。風に乗るような小さな種子でないと難しいですね。
セリバセントウソウの繁茂する放棄された畑にはアザミ様の草本が成長しつつありました。見かけない姿でしたから写真を撮って記録し持ち帰って調べたところキツネアザミと判断しました。十分生育した個体は過去に見ていますがつぼみの段階は見慣れていないため分からなかったものです。
棘がありませんからアザミではないことはすぐわかりますが、出来立てのつぼみを捕らえている参考図や写真を見つけられません。決め手は葉なのですがキツネアザミと分かるとつぼみの形質をじっと見ているとなんとなく納得するものがあります。
ダイコンの葉に似た葉を四方に広げた性質はキツネアザミの特徴のようです。新潟県内では自生していた個体を見たことがありませんが、唯一工事に伴って発生したこと異を見た経験があります。しかし、じっくり観察する前に刈り取られてしまいました。キク科の越年草ですから種子ができれば翌年も見ることができたと思いますが叶いませんでした。
帰化植物のセリバヒエンソウです。赤城山から下りながら車を走らせて、気まぐれに脇道に入ってみました。放棄されたような畑地にセリバヒエンソウが群生しているところを見つけました。ムラサキハナナがたくさん見られましたから、遠目ではこの青い花もそれかなと見ていたのですが近づくとなんとなく様子が違います。車を止めてしっかりと確認しました。
花壇に植えるデルフィニュームに近い種です。栽培されるデルフィニュームの花はかなり豪華なものが多く見られますが、セリバヒエンソウはシンプルながら美しさがあります。キンポウゲ科の種になりますが属名がいろいろ使われていてやや混乱気味です。ヒエンソウ属でよいのでしょうか。