山里の小集落に散在する「氏神様」はそれぞれ慎ましいたたずまいだ。
わが12軒が運営するお宮は、八坂神社系の牛頭天王社(ゴズ)だ。
中世半ばに疫病が伝染したらしく、疫病の神様牛頭天王社を建立したようだ。正徳元年(1711)の棟札があるとのことだが確認していない。
掃除をしていたら、曹洞宗金剛院が発行した木札を発見。寛政11年10月(1799),護摩供養の加持祈祷(に参加?)をしたようだ。つまり、当時は密教系の神事をしていたらしい。
まだいくつかの棟札もあるようで、中山間地の村人のささやかな願いを垣間見ることができそうだ。
18世紀と言えば、中国に遅れていたイギリスが工業化と植民地政策に成功し、世界に君臨していく時代だ。そんなとき、山里の暮しは世界の足音はまだ伝わらず安穏の同質世界をつつましく共有していたのかもしれない。