夕方、畑で和宮様が寒冷紗をめくり上げて小松菜を収穫していたときのこと。まさにそのとき、目の前にヘビがいたと言って慌てて家に戻ってきた。蛇の模様もよくわからなかったようだが、とぐろを巻いていたという。
現場に直行して蛇を見たらまさしく、マムシだった。これは経験者に処置してもらおうと近所に応援を頼んだら、軽トラでタイミングよくすぐ来てくれた。マムシはとぐろを巻いたまま動かなかった。
来てから1分もたたないうちに、火ばさみでマムシを掴んで見せてくれた。「小さいけど、子どもじゃなくて青年という感じだな」と言う。そして、火ばさみでマムシを捕まえて、金原明善が発明したという「金原鎌」の後ろ側で頭を直撃。すると、ピクピクしながらも動かなくなった。
あっという間の処理だった。地元の農林業に生きるワザと知恵を見せてくれた。今年はやけにマムシが多い。ここにきて十数年になるが、わが地所でマムシをしっかり見たのは二度目のことだった。これからはもっと注意して作業をしなければならない。
マムシの裏側の模様を見るのは初めてだった。その模様は図鑑にはほとんど出ていない。なかなか重厚な模様に驚く。大きさも長すぎず、むしろかわいいマムシちゃんだった。
それにしても、和宮様とマムシとの距離が10cmくらいだったのが奇跡だった。触れていたら間違いなく咬まれていたところだった。すぐさま退却したから良かったのかもしれない。