定まらない雨模様がぴたりと止まったとき、ここぞとばかりに「ハーブレストラン」に群がった昆虫たちだった。常連らしい「ウラナミシジミ」がハーブの花を忙しく徘徊する。いつのまにか野生化してしまったハーブの生命力がまぶしい。植栽してもなかなか思うようにならなかったのに。
アールヌーボーの曲線的な波模様とアールデコの直線的な幾何学模様とを合わせ持った翅を見せつける。よく見ると、突起物の尻尾も見えた。画像では不鮮明だが、橙色に黒の斑点が鮮やかだ。
また、シジミチョウの代表選手である「ヤマトシジミ」も遅れじとやってきた。ヤマトシジミというと、貝にも蝶にも同姓同名だから、似たもの同士ということにもなる。裏翅の目玉模様は草間弥生女史を意識したのだろうか。表翅は地味な灰色だが、夏型のメスのようだった。
オスはおしゃれなブルーの空の色、なかなか翅を拡げてくれない。
チャバネセセリも参入していた。名前の「せせる」とは、尖ったものでかき回すようすが、口吻で蜜を吸う仕草が似ていることから、「セセリチョウ」となったという。セセリチョウを狙っていた蜘蛛は捕獲の機会を待っていたが不発のようだった。
斑紋の模様からスジグロチャバネセセリとかホソバセセリとかに同定しようとしたが、図鑑からは同じものは見つからない。素人からは新種かと言いたいほど、同定に数時間かかってしまったが結局わからないままだ。
そのうえさらに、「泥バチ」も来ていた。ドロバチはチョウやガの幼虫を捕獲してそれに麻酔をかけ、生きたまま泥の巣に閉じ込め産卵して入口を封印。するとドロバチの幼虫はそこで青虫を餌にして成長していくというわけだ。
ドロバチも個体差や混血が多く、同定には混乱があるようなので深入りはしない。ということで、はみ出して野生化したハーブが昆虫のレストランとして大きな役割を果たしていた。ちょっと歩くのには邪魔なんだけどー。