桜が満開に咲いている中、田舎道を快適に運転して宇都宮市内から約1時間10分。今回は、佐野市在住の山口氏から碑塔所在地をご教示賜っていた茂木町の石仏めぐりである。それだけに今回は、石仏巡りに専念して石碑やお寺さん巡りはしないことにし、教えていただいていた道路沿いの碑塔群から始まる。しかし、石仏巡り途上でご教示いただいた碑塔以外も目に入ってしまい、以前に調査していないものに出会うと見逃す訳にはいかずついつい寄り道してしまう。そうこうして、上記に掲載した写真の場所である、河井地区に入ったのはお昼を過ぎていた。
この場所が、今回山口氏よりご教示賜っていた本日最大のポイント。そこには、この写真にも写っている、一猿庚申塔があり、しかもその猿は滅多に見られない合掌している猿の姿だった。予定では、この場所で昼食のつもりだったが、直接にこの庚申塔と向かいあえば昼食などどうでも良くなり、早速に調査開始。この笠付四角柱庚申塔の主銘文は、「バン ウン タラーク アク カン ダ」の種子。これだけでもはるばる茂木町までやってきた甲斐があるというのだ。しかも山口氏が「確かに一猿だった」というように、そこには間違いなく合掌している一猿がいた。そして紀年銘も元禄九年という、当地の庚申塔としては古い方に入るもの。また、両側面には蓮の葉がデザインされていた。つくづくと、山口氏のご教示に感謝しつつ時間をかけて眺め、調査する。
さて、眺めつくしてからその裏に重なるようにして置いてあるのは、そこにも山口氏のご教示通りの青面金剛像だった。それは、いわゆるバンザイ型の青面金剛像。しかも、普通は日月だけを捧げ持っているのに、ここでは瑞運までも一緒に捧げ持っている優れもの。更にその下部を見てまた驚く。それが下記の画像である。
そう、ここにも合掌した猿がいた!。しかも両脇にいる猿は、いわゆる塞ぎ猿ではなく明らかに拝侍姿である。この拝侍猿に合掌猿が一緒になっての三猿は、今までの記憶の中に見た覚えがないもの。しかもその上部にいる雌雄の鶏はまるで鬼さんを蹴飛ばしているような姿であった。とにかく驚きの連続である。本当に今日は素晴らしい庚申塔を拝見できたと、時計を見ればまもなく三時。ここに、優に2時間半以上は居たことになる。もちろん、空腹感などどこかへ飛んでしまって全く感じなかった。
それからもまた、石仏を求めての場所移動となったが太陽の光線が逆光となって写真どころか、銘文を読むにも一苦労する有様。しかも二十三夜塔王国らしい茂木町のこととあって、それらのほとんどが自然石に文字が刻まれて二十三夜塔だった。先程までの興奮が冷め遣らぬ中にあっては今ひとつ面白くなく、調査せずに碑塔所在地をメモしたままでその場を去り帰路についてしまった。
夜は、その写真を眺めながらまたしてもその素晴らしさに酔っている。本当に、山口様には感謝申し上げます。山口さん、ありがとう!と。さて次回は、多分宇都宮市街地へ出向いての手拓採りとなるでしょう。季節も良くなったことだし…。