宇都宮市集録碑の改訂版を作成すべく、暇があれば見落としの石碑は無いかと色々と情報探索。その結果、我が家から車で20分程の距離に個人顕彰碑があることに気付いた。その名は、明治時代に当地で大活躍した剣術家の「山口金三郎先生武徳碑」。本体の高さは298cmで幅が144cm。建立は大正十一年と新しいが、門人は千百余人と、碑陰に小さな文字で全員の名前が刻まれている。先週に挨拶かたがた調査させていただけるかお伺いすると、どうぞ何でもして結構ですよ。という嬉しい対応をしてくれる。そしてその翌々日に、余りにもの汚れが酷いので脚立を持って碑面の掃除だけに伺い、約2時間ばかりかけて碑表だけだが綺麗にしてくる。そして昨日、今日は曇りがちで風も少ないという天気予報に馬鹿にされて、拓本採りに伺う。先ずは最上段の篆額部分であるが、脚立の上に立っての両手作業は何回経験しても危険な作業である。その篆額部分だけで画仙紙全紙一枚が必要。横張りで水張りしたが、三脚を上り下りすること三回で何とか終えたが、今度はその墨入れとなると両手にタンポを持っての作業で、こちらは水張り以上に丁寧にしかも神経を使っての墨入れとなる。このころから、曇りどころか真っ青な天候となり、加えて風も出てくる。水張りした画仙紙は瞬く間に乾いてしまい墨を受け付けなくなってしまう。それをごまかしながら、何とか1時間半ほど掛けて採ることが出来た。出来上がり? もちろんいつものような綺麗な墨入れとはならなかったが、この日の天候と高所作業の手拓ということで許してもらおう。
2段目からはいよいよ銘文部分になるが、こちらも全紙を横張りして手拓することにしたが、始めた頃以上に太陽が照り、また風も強くなってきて、1枚目の水張は失敗。こうなるといつものいい加減な性格が表れて、とにかく銘文が読める程度で良いから手拓しようと、画仙紙にシワが出来ようと、横幅は三度の三脚移動を強いられるのでその度に墨入れの濃度が変わってしまうのを承知で、こちらも1時間半ほど掛かってしまう。その出来具合、もうやめたとクシャクシャに丸めて放り投げたいところだが、とにかく我慢する。この段階で、朝の9時には始まった拓本採りも既にお昼である。近くのコンビニに行き、立ったままでも食べられるようにとパン類を購入して戻るや、早速三枚目の全紙画仙紙を水張する。パンをかじりながらの作業も手早く終わして直ぐに墨入れ。何故なら最初に水張りしたところは既に完全に乾いている。そこで墨入れする場所だけを再度水張仕直ししながら左側から右側へと少しずつ進めていく。勿論、画仙紙にシワが入るなどは気にもしないで進めていく。そのためか、今度は1時間と少しで墨入れ終了。そんな作業を4枚目、5枚目と、気づけば今日は昼飯を買いに出かけた以外は全く休みを取っていない。既に4枚目位から足と腰はフラフラ、相変わらずの頑張り屋だが、これでは体が持たないと思い返してコーヒー缶を飲みながら食べ残しのパンをかじって休憩を取る。そして何とか全ての銘文が手拓終えたのは午後の4時を少し過ぎていた。それにしても、一日で、全紙画仙紙5枚の拓本を続けて手拓するのは本当に暫くぶりである。そして終えるや、手際よく周辺を来た時以上に綺麗に掃除し、ゴミも残らず撤収して帰宅に向かったのは既に4時半を過ぎていた。所で、全紙で採拓した拓本は、私のパソコンスキャナでは対応のしようがない。今回は、残念だがいつものような拓本からの画像化は諦めて、全部が張り終えたらその写真を撮って対応しようと考えたが、考えてみれば、高さが3メートルもあるような拓本全景を吊り下げるような場所は、我が家にはない。これでは八方塞がり。やはり、いつものように半切の画仙紙を使って採拓すれば良かったと悔やんだが後の祭りである。
そして、いつかは碑陰にある千百人に登る交名も私としては興味があり、手拓が欲しくなる。これも困った性格である。勿論、朝から夕方まで手拓作業を続けたとて恐らく三日は必要だと思う。その価値があるのか、疑わしいが!。それと、校正をしないままアップロードしました。明日にでも再度の校正をいたします。
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