一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

登吾留山 ……シライトソウの群れ咲く森で、花のひらく音を聴く……

2016年05月08日 | 登吾留山
一年が経ち、
またシライトソウに逢える季節が巡ってきた。
私は、この時期を心待ちにしていたのだ。

今日は、こんな所から入って行くことにしよう。


時期的に少し早いかなと思っていたが、
シライトソウはすでに咲き始めていた。


おどろくほど群れ咲いている。


顔を出したばかりの小さなシライトソウもたくさんあり、
正直、足の置き所に困る。


「足の踏み場もない」とは、まさに、このことだ。


幸福感に包まれる。


佐賀県で、シライトソウの咲く森は、
おそらくここだけだ。


美しくひらいた花を見つける。




ちょっと傾げたシライトソウ。




目移りするほど、
美しい花がたくさん咲いている。


ゆっくり森の中を彷徨う。




三姉妹のシライトソウ。


上から見ても、美しい。


森の中は静かだ。


とても静かだ。


静かすぎて、


草ののびる音が聴こえる。


花のひらく音が聴こえる。


私だけの森。




シライトソウの群れ咲く森で、


わずかな空間を見つけて、腰を下ろす。


すると、
シライトソウの花たちの声が聴こえる。


花のつぶやきが聴こえる。


花のささやきが聴こえる。


花たちの声を聴きながら、
私は“至福の時”の中に埋没する。

この記事についてブログを書く
« 映画『ちはやふる』 ……「上... | トップ | 登吾留山 ……“蘭、らん、ラン... »