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最近、気になっている女優・佐久間由衣の初主演映画ということで、
かねてより、
〈見たい!〉
と思っていた作品であった。
だが、上映館を調べてみると、
上映館が極端に少なく、(もちろん佐賀での上映館はなく)
九州では、
福岡 T・ジョイ博多
福岡 T・ジョイリバーウォーク北九州
の2館のみ。
『“隠れビッチ”やってました。』というタイトルも「いかにも」な感じだし、
〈わざわざ福岡まで行ってまで見る価値のある映画なのか……〉
と思ってしまった。
で、迷っている内に、早3週間が経ってしまった。
12月6日(金)に公開された作品であるが、
T・ジョイ博多での最終上映日が12月26日(木)であることを知り、
(たまたま12月26日が私の公休日だったということもあって)
〈あとで後悔したくない。見に行こう!〉
と、決断。
「8:55~11:10」の一日一回の上映だったので、
早朝に家を出て、
T・ジョイ博多まで行ってきたのだった。
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荒井ひろみ(佐久間由衣)は、
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これまで、
誠実そうなバツイチ中年男性・川田利光(前野朋哉)、
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自信家のIT系肉食男子・永田裕志(片桐仁)、
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ノーマル系サラリーマン・坂口征二(栁俊太郎)、
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真面目過ぎる草食系男子・船木誠勝(戸塚純貴)、
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包容力のあるエリート男性・小橋健太(前川泰之)など、
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男性のタイプに合わせたモテテクを駆使し、
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男性たちを次々と落としていき、
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異性からモテ続ける事で「認められたい欲求」を満たしてきた。
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自分は傷つかずに、相手の気持ちだけを弄びながら、恋愛の美味しい所だけを楽しみ、体の関係は断る……というゲームのようなやり口に、
ひろみのシェアハウス仲間であるバイセクシャルの晃(村上虹郎)と、
恋愛に失敗してばかりの彩(大後寿々花)は驚いていた。
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服の露出は少な目、鎖骨がちらりとのぞく透け感のあるワンピースが戦闘服。
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どこにでもいる女性に見えるのに、
計算しつくした仕草と会話で、男性を落とすハンターぶりから、
彩は、“隠れビッチ”と名付ける。
そんなある日、
気になるお相手・安藤剛(小関裕太)が現れるも、
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数年ぶりの負け試合。
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さらに安藤を本気で好きになっていたことに気づき、ショックを受ける。
やけ酒をあおり酔いつぶれているところを、
同じ職場の三沢光昭(森山未來)に目撃され、すっかり醜態をさらしてしまう。
ひろみは、三沢に、自分は“隠れビッチ”だということを打ち明け、
封印してきた過去と向き合い始めるのだった…
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原作は、
あらいぴろよの20歳ごろから10年間の恋愛模様をつづった自伝的コミックエッセイ。
“ビッチ”を「男を翻弄する女性」と定義づけ、
「その実体を周囲に知られずに活動するもの」を“隠れビッチ”と位置付ける。
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“ビッチ”と“隠れビッチ”を、もう少し詳しく解説すると、
“ビッチ”とは、
女性に対する罵り文句として用いられることのある俗な表現で、
とりわけ「(誰とでも寝るような)とんでもない尻軽女」という意味合いを込めて用いられる場合が多い。
それが事実かどうかは度外視して「そういう雰囲気をまとっている女」という意味合いで用いられることもある。
“隠れビッチ”とは、
清純派に扮装した“ビッチ”のことで、
肌の露出度は15~20%で、
効果的な「隙」と「タイミング」を作り、男性をハントしていく女性。
異性からモテ続けることで、心の隙間を埋める。
自分は傷付かずに、相手の気持ちを弄びながら恋愛の美味しいところだけを楽しみ、
体の関係は一切断るという、ゲームのような恋愛スタイル。
映画の方も、冒頭から、
この、見た目は清楚だが、思わせぶりな言動で男を翻弄する“隠れビッチ”の恋愛模様をラブコメ風に描いており、
〈ああ、やはり、それだけの映画だったか……〉
と、ややガッカリな思いで鑑賞していた。
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だが、112分の上映時間の約半分が経過した頃から、様相が一変する。
この“隠れビッチ”のひろみ(佐久間由衣)が、
「なぜそうなってしまったのか……」に焦点が当てられるようになるのだ。
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少しネタバレすると、
ひろみは幼いころに父親からDVを受けており、
子供のころに親から認められなかったというこの経験が、
彼女から自己肯定感を奪ってしまっていたのだ。
そして、自己肯定感を満たすために男性の好意を集めることを快感とするようになる。
周囲に本心を隠し、男性好みの清純を演じる彼女の目的は、
恋愛を楽しむことでも、肉体的な快楽でもなく、
他人からの好意を収集して自分を満たすことだったのだ。
しかし、
シェアハウス仲間の晃(村上虹郎)から、
「男に逃げるのはやめろ」
と言われたことや、
別れられない人・三沢(森山未來)と出逢ったことで、
自分は自分でしか生きられないことに気づき、
“隠れビッチ”の生活から足を洗い、
自分と真剣に向き合っていくことになる……
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この後半部分が秀逸で、
単なる“隠れビッチ”の恋愛模様を描いた物語ではない、
優れた作品になっている。
ひろみを演じた佐久間由衣も、
(これまで演じてきた役柄とは違った)複雑な心情を抱えた“こじらせ系”女子を上手く演じており、
とても感心させられた。
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佐久間由衣とは、
連続テレビ小説『ひよっこ』(2017年4月3日~9月30日、NHK)で出逢った。
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ヒロインの親友・助川時子を演じている彼女を観て、
私は、その美しい容姿(身長170cm)に魅せられた。
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その後、
TVドラマ『チア☆ダン』(2018年7月13日~9月14日、TBS)や、
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TVCMなどで活躍している彼女を観て、
今後に期待できる女優だと思った。
そして、初主演映画の本作『“隠れビッチ”やってました。』で、
三木康一郎監督の好演出により、女優開眼、演技開眼したと思った。
現時点での(初期の)佐久間由衣の代表作になったことは間違いない。
私自身としても、
〈福岡まで見に行って良かった!〉
〈上映最終日に間に合って良かった!〉
と思ったことであった。
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ひろみのシェアハウス仲間である、
バイセクシャルの晃を演じた村上虹郎と、
恋愛に失敗してばかりの彩を演じた大後寿々花の演技も素晴らしかった。
特に、村上虹郎は、今年(2019年)は、
『チワワちゃん』(2019年1月18日公開、監督・二宮健)
『ある船頭の話』(2019年9月13日公開予定、監督・オダギリジョー)
『楽園』(2019年10月18日公開、監督・瀬々敬久)
そして、本作『"隠れビッチ"やってました。』と、
助演男優としての活躍が目立った。
「一日の王」映画賞の最優秀助演男優賞候補にノミネートしておきたいと思う。
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その他、
ひろみの父親役の光石研、
ひろみの母親役の渡辺真起子、
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要所に実力派俳優を配したキャスティングも見事で、
そういう意味でも見応えのある作品になっている。
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九州での上映は終わってしまったが、
他の地域では、来年1月まで上映している映画館もあるようだ。(コチラを参照)
機会がありましたら、ぜひぜひ。
【予告編】↓こんな女の子がいたら、私もイチコロだ。ノースリーブだし……(笑)