「逢いたい人に逢いに行く」という特別企画の第35回目は、
横笛奏者でヴォーカリストの望月美都輔さん。
【望月美都輔】
千葉県千葉市生まれ。
東京藝術大学音楽学部 邦楽科卒業。東京藝術大学大学院修士課程 音楽研究科修了。
2歳より日本舞踊を藤間恵都子師に師事、藤間流勘右衛門派家元より藤間み都き(みずき)の名を許される。藤間流勘右衛門派師範。
13歳の頃、横笛の手ほどきを望月美沙輔師より受け現在も師事。
これまでに、望月太喜輔師、在学中には中川善雄師、福原徹彦師、福原徹師に師事。
2013年、望月流家元望月太左衛門師より、望月美都輔(みずほ)の名を許される。
長唄、長唄三味線を成田涼子師に師事。
平成21年~26年、文部科学省による学校教員向け邦楽ワークショップ講師。
(一社)長唄協会会員。武雄市文化会議会員。武雄市観光協会会員。
望月美都輔さんのことは、
2018年11月18日に同じ円楽寺で開催された、
名取裕子さんの音語り「江戸艶姿四季写明鏡」という催しで知った。
横笛奏者として共演していたのが、彼女だったのだ。
このときのレポで、私は次のように記している。(全文はコチラから)
名取裕子さんと、横笛の橋口瑞紀さんは、
成田涼子さんのお弟子さんで、
橋口瑞紀さんが円楽寺の御子息と結婚することになり、
その縁で、3人で、円楽寺で公演をすることになったとのこと。
橋口瑞紀さんは、若くて才能あふれる美しい方で、
円楽寺の御子息とは東京で知り合い、結婚することになったそうだ。
これからも、機会があれば、このような催しをやっていきたいとのことなので、
楽しみに待ちたいと思う。(全文はコチラから)
このときのパンフレットには「橋口瑞紀」と表記されていたが、
プロフィール欄に、
「望月流家元より望月美都輔の名を許される。邦楽囃子方として古典演奏を継承しながらも、ポピュラー音楽の演奏にも積極的に取り組む」
とあったので、
望月美都輔の名で検索すると、
Twitterなどで活動などを発信されていて、
「音ノ葉」という和洋混成バンドで、
横笛奏者としてだけではなく、
ヴォーカルとしても活躍されていることを知った。
※望月美都輔さんの歌声と横笛が楽しめる動画↓
(バジリスクOP『甲賀忍法帖/陰陽座』cover by 音ノ葉)
望月美都輔さんの演奏を再び聴いたのは、
佐賀県の武雄市にある竹古場キルンの森公園「飛龍窯(ひりゅうがま)」で、
2020年2月8日(土)・9日(日)の2日間開催された、
「TAKEO・世界一飛龍窯灯ろう祭り“光のバレンタインin飛龍窯”」でのこと。
望月美都輔さんは、2月9日に、
「光と和の響演 音ノ葉feat.望月美都輔」ということで、
音ノ葉のメンバーと演奏をされたのだ。(詳しくはコチラから)
その後、コロナ禍となり、
「TAKEO・世界一飛龍窯灯ろう祭り“光のバレンタインin飛龍窯”」も中止になるなど、
望月美都輔さんの演奏を聴く機会に恵まれず、残念に思っていたところ、
望月美都輔さん自らが主催者の一人となって開催される「オハコフェス」のことを知り、
2022年3月26日の開催日に訪れ、
「オハコフェス」……望月美都輔さんの篠笛と歌、近見りり子さんのピアノ演奏……
と題し、このブログにもレポを書いた。(コチラを参照)
その望月美都輔さんが、ついに、
「望月美都輔リサイタル 〜笛、奏で歌う〜」を開催されることになった。
2019年に佐賀県へ移住し
今年で活動5周年の節目を
迎えることができました
知り合い 友人 ツテのない
ゼロベースからの演奏活動
更にはコロナ禍という
今までに経験したことのない
自粛期間を挟みましたが
途切れる事なく笛を吹き 歌を歌い 芸を続け
こうして活動の地盤を築く事が出来ているのは
紛れもなく 周りで支えてくださる皆様のお陰です
心より御礼申し上げます
この度 5周年の節目に
佐賀県立美術館ホールにてリサイタル公演を
させていただく運びとなりました
第一部では
私の笛のルーツである
古典芸能 長唄を
是非佐賀の皆様にも親しんでいただきたく
ノーカットの正式な形で
演奏させていただきます
第二部では
佐賀の地で知り合い
お世話になっている
地元アーティストのお二人と
ジャンルの垣根を越えて
よりお客様に親しみやすい楽曲を
歌い笛吹きながらお届けする
癒しのコンサートです
望月美都輔という人間を
余す事なく詰め込んだリサイタル
ご多繁の時期とは存じますが
奮ってお運びくださいますよう
お願い申し上げます
望月美都輔
……ということで、
開催日の3月9日(土)、
会場である佐賀県立美術館ホールに駆けつけたのだった。
入口には、届けられた多くの花が飾られていた。
一際目立っていたのは、名取裕子さんから贈られたスタンド花。
開演時間になり、【第一部 "長唄"古典芸能への誘い】がスタート。
長唄を直に聴くのは初めての経験で、なんだか静かなイメージがあったのだが、
直に聴くと凄い迫力で、音がビンビンと躰に響いてきたので驚いた。
パンフレットに解説が書いてあったので、それを開演前に読んでいたこともあって、
ある程度理解できたし、楽しく観ることができた。(写真↓は望月美都輔さんのSNSより)
リサイタル後、望月美都輔さんもSNSで、
まず、リサイタルに思い至ったきっかけの大部分は
【第一部 "長唄"古典芸能への誘い】にあります
美都輔史における佐賀前(紀元前みたいに言う)は
その演奏のほとんどが長唄などの古典楽曲でした
ただ、長唄の演奏というのは
唄、三味線、囃子(小鼓、大鼓、太鼓、笛)がいて
初めて成立するのです
佐賀にも、もちろん三味線のお師匠さまがいらっしゃいますが
ノーカットで演奏するにはフルメンバーがいないと難しく…
なので、私は佐賀に来てから長唄を演奏する機会というのが
めっきり減ってしまいました
でもやっぱり私の笛のルーツは古典にあるので
『佐賀で古典を演奏したい』
『皆さんにその魅力に触れてもらいたい』という思いで
今回のリサイタル開催へ踏み切りました
ただ、アンケートにもあったのですが
・歌詞が難しい
・聞いてるだけでは歌詞の意味までわからない
など長唄って「難しい」とか「堅苦しい」
というイメージが先行しやすくて
(私なりに考えたのですが
現代の曲は現代語で歌詞って
“メッセージ"だったりすることが多いから
わかりやすい言葉や表現で書かれている
でも長唄の歌詞は当時の言葉というのもあるけれど
描写や言葉遊びの部分も多かったり
人に伝えたいメッセージでは無いので
詞章を読んで理解しようと思うと
基礎知識がかなり必要になって確かにとっても難しい
[私にとっても長唄の詞章は難しいのです])
じゃあ初めて聴く方にはどうやって楽しんでもらおう
難しいイメージのものに
わざわざお金を出して聞きに来てくれるかな…?
そんな不安もありましたが
3曲ガラッと雰囲気の変わる曲を演奏しよう
歌詞の意味がわからなくても
「なんか良い」「なんか面白い」
音楽として興味を持ってもらえるような曲を思って
「操三番叟」「黒髪」「喜撰」という演目を選びました
お越しのお客様が
「操三番叟」はなんか格調高そう
「黒髪」はなんか艶っぽい
「喜撰」はなんか楽しい感じ
こんなふうに感じていてくださっていたら
この第一部は大成功です!
アンケートの回答を少しだけご紹介します
Q.和楽器、邦楽について率直なイメージを教えてください
・日本人が「懐かしい」と感じるもの
・癒されます
・DNAがしっくりと落ち着く
・日本に生まれてよかった!
・邦楽に目覚めました!魂が呼び起こされたかも
ほとんどが長唄を初めて聴いた方の回答です
これって演奏した側からしたらすごーーく嬉しいのです
この言葉だけでもリサイタルをやってよかったなー!
とつくづく感じています
と語られていたが、
私も長唄をとても近しいものに感じることができたし、楽しむことができた。
素晴らしい経験であった。(写真↓は望月美都輔さんのSNSより)
20分の休憩を挟み、
【第二部 笛、奏で歌うコンサート】がスタート。
ハープ・児島祐子さん、ピアノ・近見りり子さんと共に、(写真↓は望月美都輔さんのSNSより)
「さくら」「朧月夜」「ジブリメドレー」「風笛~あしかのテーマ~」「童神~ヤマトグチ~」
「愛の花」「You Raise Me Up」などの曲を、
篠笛で演奏しつつ、透明感のある美しい歌声で観客を楽しませて下さった。
写真、動画撮影は禁止であったが、
アンコールの二曲目のときに、望月美都輔さんから、
「ここからは写真撮影も動画もOKです」
と、仰っていただいたので、パチリ。
存分に楽しめたリサイタルであった。
ポスターには、「第1回 望月美都輔リサイタル 〜笛、奏で歌う〜」とあったので、
第2回、第3回のときにも訪れたいと思った。
望月美都輔さんのこれからの更なる活躍に期待したい。