一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

海抜0メートルから登る北アルプス「白馬岳」④白馬岳~大雪渓~猿倉~佐賀

2012年07月25日 | 海抜0mから登る北アルプス「白馬岳」単独行
7月25日(水)。
昨日までの3日間で“海抜0メートルから登る北アルプス「白馬岳」”を終え、
昨夜はぐっすり眠ることができた。
今日は最終日。
大雪渓を下り、猿倉からバスでJR白馬駅へ。
普通電車、特急、新幹線、特急と乗り継いで、
佐賀(肥前山口駅)まで帰る予定。

午前4時半起床。
5:00
朝食。
5:39
村営頂上宿舎を出発。




旅の終わりを惜しむように、ゆっくり下って行く。


ヘリコプターの音がしたので、
〈遭難事故でも起こったのかな〉
と思って見上げると、荷揚げであった。


シナノキンバイのお花畑が広がっている。


ミヤマキンポウゲと雪渓とのコラボ。


6:09
緊急避難小屋を通過。


眼下に素晴らしい風景が広がる。


6:15
小雪渓を横切る。


下りは、けっこう恐々。


6:36
葱平(ねぶかっぷら)を通過。

大雪渓が近づいてきた。


6:44
猿の親子を発見。
親猿の背に乗った子猿がカワイイ。


6:52
大雪渓にさしかかる。
持参した6本爪アイゼンをザックから取り出す。
装着し、出発。


けっこう下って来たのに、風景にあまり変化がない。


傾斜がゆるやかになってきた。


振り返ると、このような風景が……
もうかなり下ってきた。


7:41
大雪渓を下り終える。
これから登ろうという登山者が、アイゼンを装着していた。


ここにもキヌガサソウがたくさん咲いている。


7:57
白馬尻小屋を通過。


小屋のすぐ下に、キヌガサソウの大群生地があった。
白い点は、すべてキヌガサソウの花。
スゴイ!


水音を聴きながら下って行く。


アルプスの山々とも、お別れだ。


鑓温泉への登山口を通過。
いつか鑓温泉にも行ってみたい。


猿倉荘が見えてきた。


8:41
猿倉(1230m)に到着。




8:55
バスで白馬駅に向かう。


9:22
白馬駅に到着。


白馬駅からは、正面に白馬鑓ヶ岳が見えた。


駅周辺で、買い物をしたり食事をしたりして、ゆっくり過ごす。

12:25 普通電車で松本へ向かう。


14:19 松本駅に到着。
特急ワイドビューしなの16号に乗り換え。
17:01 名古屋駅に到着。


新幹線のぞみ45号に乗り換え。
17:13 名古屋駅発。
ビールで祝杯。
夏山には、毎回文庫本を持って行く。
少々ザックが重くなるが、私にとっては必需品。
今回持参したのは、中村計著『佐賀北の夏 甲子園史上最大の逆転劇』(新潮文庫)。
単行本で一度読んでいるが、何度読んでも面白い。
昨年夏に文庫本が出たので、カバーを取り去り持参。
(佐賀に帰ってきたら、佐賀北の5年振りの甲子園出場が決まっていた。今年も期待!)
ビールを呑みながらの読書。
至福のひととき。


20:43 博多駅着。
特急かもめ47号に乗り換え。


21:00 博多駅発。
21:46 肥前山口駅に到着。
配偶者の車にピックアップされ、帰宅。

今回も、とても楽しい山旅であった。
栂海新道……予想以上に素晴らしい道であった。
刻々移り変わる風景、植生、気温、天候……
海抜0メートルから海抜2932.2mまで、
存分に楽しませてもらった。
特に、黒岩平、アヤメ平のお花畑は見事の一言。
まさに「北アルプス最後の楽園」であった。
栂海新道を拓いて下さった小野健氏とさわがに山岳会のみなさん、
本当にありがとうございました。
朝日岳から雪倉岳を経由して白馬岳に至る道も素晴らしかった。
風景も高山植物も、言葉に表せないほどの感動であった。


夏山遠征は、1ヶ月前には会社に休みを申請しなければならないので、
いつもは確実に梅雨明けしていると思われる8月初旬に実施していた。
だが、今回は、高山植物を楽しみたかったので、
7月22日から4日間の休みを取った。
会社に休みを申請した時点では、梅雨明けしているかどうかも分からなかった。
もし梅雨明けしていなくて、4日間とも雨だったら……
それでもイイと思った。
白馬連山高山植物帯には、
サンカヨウ(花期6月上旬~7月中旬)、
キヌガサソウ(花期6月中旬~7月下旬)、
シラネアオイ(花期6月上旬~7月中旬)など、
8月になってからでは見ることのできない花がたくさんある。
それらを見たかったし、
雨に濡れるくらいの犠牲は払ってもイイと思った。
ところが、雨は初日に降っただけで、残り3日間はまったく降らなかった。
風景も花々も存分に楽しめたのは、やはり山の神様のご加護であろう。
感謝、感謝である。

今回も多くの方々からメッセージを戴いた。
夏山に備えて訓練登山している段階で、
「もしかしたら、今回は栂海新道を歩くのではないですか?」
と予言的中させた方(そう、あなたです)もいて、こちらが驚かされたりもした。
ブログにレポをアップし始めると、
「栂海新道、私も歩いてみたいです」
「最後の楽園、本当に素晴らしい!」
「タクさんのブログに励まされてます。いつも感動をありがとうございます」など、
恐縮至極のメッセージを多く戴き、私の方こそ感動させられた。
一方、「更新が遅すぎます」との厳しいご指摘もあり(スミマセン)、
反省しきり。
今回、やっと最終日(4日目)の更新を終え、ホッとしているところである。

山登りをしない人でも、
私のブログを見て、山を歩いた気分になってくれたら嬉しいし、
〈いつか山を歩いてみようかな〉
と思ってくれたら、なお嬉しい。
近くの山にも、
栂海新道に匹敵する道はある筈だし、
黒岩平やアヤメ平のような秘密の花園もある筈。
私だけの山、
あなただけの山、
それを発見するのが、究極の「山の楽しみ」かもしれない。
……山はいつもあなたを待っている。

夏山遠征から帰って、もう10日ほどが経ったが、
いまだに興奮が冷めやらない。
栂海新道の素晴らしき道、
美しき高山植物、
それに雄大な山々……
目を閉じると、鮮やかに蘇ってくる。
いまもあの場所にいるような気がしてくる。
今年も素晴らしい夏を過ごすことができた。
すべてに、感謝。
ありがとうございました。

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