今朝、当ブログのアクセス状況を見て驚いた。
訪問者数の日別ランキングで、またまたまた第9位になっていたのだ。
わずか1週間のうちに、3回も第9位になるなんて、
驚きを通り越して呆然とした。
通算では4回目の第9位。
よっぽど9位というランクに縁があるのかもしれない。(笑)
さすがに5度目はないと思うので、(爆)
記念としてここに残しておきたい。(コラコラ)
さて、映画『ステップ』のレビューである。
今年(2020年)の7月17日に公開された作品で、
私自身も1ヶ月ほど前に見たのであるが、
レビューを書くキッカケを逸し、今日に至っている。
前期高齢者なので、物忘れも日に日にヒドくなっているので、
映画を見てから3日以内にレビューを書くのが理想なのだが、
なかなかそれができない。
映画を見てから1週間も過ぎると、もう書く意欲を失くしている。
レビューを書かないうちに次の映画を見てしまうと、
どんなストーリーだったかも忘れてしまう。
このままでは『ステップ』のレビューを書かずに終わってしまいそうなので、
慌てて書き出した次第。(笑)
妻に先立たれて男手ひとつで娘を育てるシングルファーザーと、
母親を亡くし父と2人で人生を歩む娘の、
10年間の足跡を描いた重松清の同名小説を、
山田孝之主演で映画化したものである。
山田孝之は嫌いな俳優ではないが、
彼が主演というだけでは、本作を見たいとは思わなかっただろう。
「鑑賞する映画は出演している女優で決める」主義の私なので、
本作に私の好きな伊藤沙莉、川栄李奈、広末涼子、片岡礼子、余貴美子がキャスティングされていると知り、見ることを決めた。
彼女たちがどんな演技をしているのか、
ワクワクしながら映画館に駆けつけたのだった。
健一(山田孝之)はカレンダーに“再出発”と書き込んだ。
始まったのは、2歳半になる娘・美紀の子育てと仕事の両立の生活だ。
結婚3年目、30歳という若さで妻を亡くした健一は、
トップセールスマンのプライドも捨て、時短勤務が許される部署へ異動。
何もかも予定外の、うまくいかないことだらけの毎日に揉まれていた。
そんな姿を見て、義理の父母(國村隼・余貴美子)が娘を引き取ろうかと提案してくれたが、
男手一つで育てることを決める。
妻と夢見た幸せな家庭を、きっと天国から見ていてくれる彼女と一緒に作っていきたいと心に誓い、前に進み始めるのだ。
保育園から小学校卒業までの10年間……
子供の成長に、妻と死別してからの時間を噛みしめる健一。
そんな時、誰よりも健一と美紀を見守り続けてくれていた義父が倒れたと連絡を受ける。
誰もが「こんなはずじゃなかったのに」と思って生きてきた。
いろんな経験をして、いろんな人に出会って、少しずつ一歩一歩前へと踏み出してきた。
健一は成長を振り返りながら、美紀とともに義父の元に向かう。
そこには、妻が残してくれた「大切な絆」があった……
男手ひとつで子供を育てるシングルファーザーの映画は案外多くて、
『クレイマー、クレイマー』(1979年)
『チャンプ』(1979年)
『I am Sam アイ・アム・サム』(2001年)
『幸せへのキセキ』(2011年)
『インターステラ―』(2014年)
『パパが遺した物語』(2015年)
『あしたは最高のはじまり』(2016年)
など、挙げたらキリがないほど。
なので、題材的には新鮮さはなかったが、
重松清の小説が原作とあって、
誰もが人生で直面しうる日常の出来事を描きながらも、
随所に感動するポイントがあり、
飽きさせずに最後まで見せる力を持った秀作であった。
主人公の武田健一を演じた山田孝之。
映画・TVドラマ『闇金ウシジマくん』シリーズや、
TVドラマ「勇者ヨシヒコ」シリーズ、
最近では、
Netflixのネット配信ドラマ『全裸監督』で話題を呼び、
エキセントリックな役柄のイメージが広く浸透している彼であるが、
本作『ステップ』では、普通の男を、普通に演じていて秀逸であった。
育児と仕事の両立を目指しながらも、
「もうだめかも……」
とくじけそうになるときもあり、
義父母、会社の元上司、同僚などの周囲の人々に助けられながら、
なんとか切り抜けていく。
平凡な日常の些細な出来事の積み重ねを丁寧に演じているので、
見る者を飽きさせず、共感させ、感動させる。
物語に新鮮味はないものの、
山田孝之の自然体の演技が新鮮で、
最後まで面白く見ることができた。
健一(山田孝之)の2歳半になる娘・美紀(中野翠咲)が通う保育園の保育士・ケロ先生を演じた伊藤沙莉。
彼女のことを、常々、「存在感のある好い女優」と言い続けてきたが、
本作でのケロ先生の役は殊の外良く、
存在感だけではなく、演技の方でも魅せられた。
出演シーンは前半の短い時間だけなのだが、
その短い時間に自分(伊藤沙莉)のすべてを見せるかのような演技をする。
これほど濃密で強く印象に残る演技をする女優には、久しぶりに逢ったような気がする。
彼女の演技を見るだけでも、本作を見る価値はあると言える。
第7回 「一日の王」映画賞・日本映画(2020年公開作品)ベストテンにおける、
最優秀助演女優賞の有力候補に浮上してきたと言えるだろう。
健一(山田孝之)の亡き妻の面影があるカフェの店員・成瀬舞を演じた川栄李奈。
ほんわかとした雰囲気の女性の役で、そして出演シーンも短いのだが、
なぜかその演技が、そして川栄李奈という女優そのものが心に刻まれる。
AKB48にいるときにはそれほど魅力を感じなかったが、
2015年にAKB48を卒業し、
女優として本格的に活動を始めて以降の映画での彼女には魅了された。
このブログでもレビューを書いている、
『嘘を愛する女』(2018年)
『恋のしずく』(2018年)初主演映画
『九月の恋と出会うまで』(2019年)
『Diner ダイナー』(2019年)
などでの彼女は素晴らしく、
その彼女の経歴に本作『ステップ』が加わった。
結婚、出産を経て、これから川栄李奈という女優がどのように変化していくのか、
楽しみでならない。
健一(山田孝之)の同僚・斎藤奈々恵を演じた広末涼子。
本作『ステップ』の題材は、
広末涼子がかつて出演した『はなちゃんのみそ汁』(2015年)とかぶるところがあり、
そういう意味ではちょっと懐かしさがあった。
このブログを始めて以降、
『おくりびと』(2008年)
『ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜』(2009年)
『ゼロの焦点』(2009年)
『鍵泥棒のメソッド』(2012年)
『柘榴坂の仇討』(2014年)
『はなちゃんのみそ汁』(2015年)
『ミックス。』(2017年)
『嘘八百 京町ロワイヤル』(2020年)
なのの出演作のレビューを書いてきたが、
どの作品でも魅力ある女性を演じており、
本作『ステップ』でもそれは変わることがなかった。
“魔性の女”的な要素を持ちながらも、
透明感や清純さをも併せ持ち、
現在上映中の『コンフィデンスマンJP -プリンセス編』(2020年7月23日公開)でも、
その魅力を振りまいている。(そういえばこの映画のレビューもまだ書いていなかった!)
健一(山田孝之)の義兄・村松良彦(角田晃広)の妻・村松翠を演じた片岡礼子。
ここ数年、
『続・深夜食堂』(2016年)
『友罪』(2018年)
『愛がなんだ』(2019年)
『楽園』(2019年)
『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』(2019年)
『Red』(2020年)
などの作品で鮮烈な印象を残している片岡礼子。
優れた作品、気になる作品にはいつも出演している(ような気がする)女優で、
本作でも、地味ではあるが、なくてはならない存在としてスクリーンの中に居た。
若い頃も魅力的であったが、
50歳に近くなった今の方が、
女優としても、女性としても魅力が増しているような気がする。
彼女の出演作は、どんな作品でも見たくなるのだ。
健一(山田孝之)の義理の母・村松美千代を演じた余貴美子。
余貴美子の出演した映画のレビューは、
思いつくままに挙げるだけでも、
『おくりびと』(2008年)
『まぼろしの邪馬台国』(2008年)
『ディア・ドクター』(2009年)
『孤高のメス』(2010年)
『悪人』(2010年)
『八日目の蝉』(2011年)
『ツレがうつになりまして。』(2011年)
『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』(2011年)
『しあわせのパン』(2012年)
『あなたへ』(2012年)
『横道世之介』(2013年)
『深夜食堂』(2015年)
『続・深夜食堂』(2016年)
『繕い裁つ人』(2015年)
『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』(2015年)
『シン・ゴジラ』(2016年)
など、数えきれないほどある。
『ディア・ドクター』のレビューでは、
私の大好きな女優で、昨年の『おくりびと』や『まぼろしの邪馬台国』でも素晴らしい演技を見せていたし、この作品でも存分にその存在感を示している。
彼女がいるだけで、作品に深みが増す。
一晩一緒に飲み明かしたい……と思わせる、私にとって凄く魅力的な女優。
と書いたが、今もその気持ちは変わらない。
本作では、夫・村松明(國村隼)と共に、
亡き娘の夫・健一(山田孝之)と孫娘のことを一番に考え、
健一の負担にならない程度に気にかけ、励まし、
支えていく義母を、慎み深く、ときに力強く、繊細に演じていた。
やはり彼女が出演するだけで作品に深みが増すし、安定すると思った。
以上の4人の女優の他では、
健一(山田孝之)の娘・美紀の、
2歳の頃を演じた中野翠咲、
6歳~8歳の頃を演じた白鳥玉季、
9歳~12歳の頃を演じた田中里念が、
物おじしない演技で楽しませてくれた。
男優陣では、
健一(山田孝之)の義父・村松明を演じた國村隼と、
健一(山田孝之)の元上司役の岩松了が、
さすがの演技で作品を締めていた。
忙しい現代社会で、何が大切なのかを教えてくれる秀作『ステップ』。
まだ上映している映画館もあるようなので、
機会がありましたら、ぜひぜひ。