![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/96/916811f6a0a6fc8b9aa4be2ea7fedf05.jpg)
シリーズ「麓から登ろう!」の夏休み特別企画は……
富士山(3776m)。(オイオイ)
「麓から登山家」(爆)としては、
やはり標高日本一の山にも麓から登っておくべきであろう。(コラコラ)
正直、これまで、個人的には富士山にはまったく興味がなかった。
毎年30万人以上の人々が訪れるという国民的人気の山。
TVに映し出される長い行列を見るたびに、
〈あんなに人で混雑している山に行って何が面白いんだろう〉
と思っていた。
だから、当然登ったことはなかったし、
これからも登るつもりはなかった。
その考えに変化が生じたのは、
数年前、
ある本を手にした時からだった。
その本とは、畠掘操八著『富士山・村山古道を歩く』(風濤社)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/3a/bd0fb0671df34f89ecda4b68b72473ac.jpg)
村山古道とは、約1000年前(平安末期)に開かれた富士山最古の登山道で、
以来、900年ほどのあいだ利用されていたが、
1906年(明治39年)に大宮新道が切り開かれて、
村山古道の四合目(新六合目)で合流することになって以来、
約100年のあいだ廃道になったままだったという。
そのことを新聞記事で知った著者は、
村山古道を歩いてみたいという欲求に取り憑かれる。
資料を集め、登山仲間や地元有志に声をかけ、
その全ルート解明に取り組む。
藪漕ぎやビバークなどしながら、村山古道を探し回る。
そして、ついに村山浅間神社から新六合目に達するのである。
本書には、
田子の浦(海抜0メートル)から村山浅間神社を経て新六合目に至るルートを詳しく記してある。
著者は、
田子の浦から村山浅間神社までを「村山道」と呼び、
村山浅間神社から新六合目までを「村山古道」と使い分けている。
本書を読むと、いにしえ人の姿が目に浮かぶようであった。
海抜0メートルから登る富士山。
1000年の歴史がある道。
途中で水の補給も困難。
指導標もそれほど多くなく、ルートファインディングの力がないと難しいコース。
手垢のついてない素晴らしき山道。
〈このルートなら登ってみたい〉
と心底思った。
海抜0メートルからの登頂。
「SEA TO SUMMIT」
なんて魅力的な言葉だろう。
もうひとつ、
「ZERO TO ZERO」
という言葉もある。
「海抜0メートルから海抜0メートルへ」
これも同時に富士山で達成してみたい。
本書を読んでいて、夢はどんどんふくらんでいった。
往路は、田子の浦(海抜0メートル)を出発し、村山道、村山古道、富士宮ルートを歩いて、山頂へ。
お鉢巡りをした後、
復路は、御殿場ルートを使い、御殿場市まで下り、そこから沼津へ向かう。
最後は、千本浜(海抜0メートル)で登山靴を海水にひたす。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/83/4e345ce75844ccf6a2dcbfa0686987d2.jpg)
会社から得た夏休みは4日間(7月31日~8月3日)。
一日も無駄にはできないので、7月30日に仕事を終えた後に出発することにする。
7月30日(土)
19:26 特急かもめ42号で肥前山口発。
20:13 博多駅着。
新幹線ひかり582号に乗り換え。
20:33 博多駅発。
22:53 姫路駅に到着。
寝台特急サンライズ瀬戸に乗り換え。
7月31日(日)
5:09 富士駅に到着。
東海道本線・沼津行に乗り換え。
5:36 富士駅発。
5:40 吉原駅着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/f3/d3b7e5fa18f25c039d010c97dac4d7e7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/d7/9e50b0ae06e2081580d832b7d1a0e1fa.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/4e/6cfe1115bace46480953c7791e454080.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/67/a80ba1685835d1e8e57e30b9da83ee98.jpg)
5:55
吉原駅南口を出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/b8/7b6d0ba74fd8c716c8902a99aa7d5121.jpg)
6:08
田子の浦に到着。
浜は数千個の巨大なテトラポッドに覆われていた。
1個の高さは5m、重さ50トンとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/b1/a62ba86131906a42ad06bf6905a8cebb.jpg)
どうやって登山靴を海水に浸そうかと思って近寄ってみると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/00/d2874524bb71b267ea43b659c9ac140c.jpg)
テトラポッドの隙間から海水が押し寄せていて、なんなく目的達成。
でも、干潮時は難しいかも……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/d7/38f204fd3f51aec61586ce520c45de31.jpg)
6:16
田子の浦を出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/39/473d4d92fd54582c0da754e71e0f7132.jpg)
6:23
ちょっと寄り道して、富士塚へ。
案内板に、
《ここに積み上げられた石は、むかし富士登山する人々が、登山の安全を祈って海水で水垢離(みずごり)をしたのち、海岸の石をひとつづつ置いていったものです》
とある。
昔の人が、田子の浦から出発していた証拠の場所といえるだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/bc/083c26cb46ec6fd8cfd89a16c6cf54f3.jpg)
踏切を横切り、吉原駅北口の前を通過し、河合橋を渡る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/7c/596164fe0cb9553ae80e8e5cdef37867.jpg)
6:51
河合橋を渡ってすぐところ辺りから、富士山が見えた。
今日の天気予報は「雨」だったし、富士山は見えないと思っていたので、嬉しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/ec/b356b1c956d9e47b369b92d7ef3212b0.jpg)
距離感が判断できなくなるので、なるべくカメラのズームは使わないようにしているが、ここはズームアップ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/96/916811f6a0a6fc8b9aa4be2ea7fedf05.jpg)
富士山の麓にある街らしい風景。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/cb/77560f41dad905d11b05510985cf6be8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/8e/115d8e51c7ee7f05bb991b250266993c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/34/888c00f9f8e4b16b482cff3c2c28e609.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/19/2b6393283619d216cc52cc81165f1967.jpg)
7:05
名勝「左富士」を通過。
東海道を東から西に行くとき、富士山は右手に見えるのだが、この辺りは左手に見えることから「左富士」と呼ばれていたとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/36/d3aec4da1415a64601ee3a9a02fd5ac0.jpg)
7:15
夜半、水鳥の羽音に驚いて平家軍が潰走し、頼朝が起死回生の大勝利を得たとされる歴史的な場所「平家越」の石碑前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/99/02c61b29e273317c61e37dc1abaaadca.jpg)
自販機で水「富士山天然水」を購入。
ザックには予備用として2リットルの水を入れているが、行動中に飲む水は、自販機がある場所ではそのつど購入して飲んだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/6c/0c42078f9c68a04fa85358ccca51e857.jpg)
道をまっすぐ進めば近道なのだが、あえて遠回りするように旧吉原宿を歩く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/c8/9f3599cc69bc8221334c8b3d4ad76b1e.jpg)
8:44
広見公園にさしかかる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/5a/4e29d81b486cc39c60aa3f389ef00f72.jpg)
ここは複雑な三重立体交差になっているので、要注意。
公園内の地下道をくぐり、左に向かい、公園から出る。
GPS軌跡を見てもらえば、面白い動きをしているのが分かってもらえると思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/20/b85eb7683aa29794633434886b7a5690.jpg)
9:14
石に彫られた道しるべに出合う。
富士山の絵と、「左」の文字が目立つ。
この村山道には、現在7基の道しるべが残っているという。
その一番目がこれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/ef/65956858d3edb94cea4b7008dd056cbf.jpg)
「東 三ツ倉
左 むら山道」
と陰刻してある。
昔の道しるべに出合うとなんだか嬉しくなる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/dd/5c384d206b876ce8680395eb2ac656b2.jpg)
茶畑の中に家々が点在する。
静岡らしい風景。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/84/29000608973c373999e9df8dcd5b756b.jpg)
9:35
釈迦堂に到着。
ここで、しばし休憩。
雨が降るどころか太陽の光がキツイ。
グッタリとなる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/2d/f70b97faeacc70ed78e412a1f600f1c5.jpg)
9:43
釈迦堂を出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/ea/b2705a3338bf6a10cf815b52e4b6bfd0.jpg)
出発前の数日間はトラブル続きで睡眠不足だった。
昨日は、出発間際まで仕事をしていたので、今日はけっこうキツイ。
でも歩いていれば、それだけで私は幸せなのだ。
歩ける幸せをかみしめながら、一歩一歩、歩いていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/1c/7d3359a464c35aa4b9bb0e0302915371.jpg)
9:51
二番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/ec/8355b4990c42724f3cd20b22e1c2c4ce.jpg)
9:56
このルート最後のコンビニに到着。
(コンビニではない普通の店が村山浅間神社の前に1軒だけある。ただし商品は少ない)
ここでおにぎりや調理パンなど食料を購入。
自販機はこの先にもあるので、水の確保は心配ない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/29/c217b1f89209e1bd7e54fc20fd9a3585.jpg)
10:13
三番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/8b/f4740db7aeb415c30a504f05b4c34f18.jpg)
10:19
このルート最後の食べ物屋さん。
何か食べようかと思ったが、まだ開店していなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/23/65b5b734fb39bd591cd47d7c91aa2bd5.jpg)
10:28
四番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/81/2f07eac67746456a506872303d15af8f.jpg)
10:43
五番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/76/e8c136adca1e4ffe8f19df55181558c8.jpg)
昔は、この道しるべがあるだけで、随分心強かったことであろうと思われる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/7d/b0c7fbf064006132dbdf1a6afd2ebfc4.jpg)
11:03
右手に石碑群を見ながら右折。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/c7/736fa85043139d4cf8ccec33b06e411e.jpg)
今日の目的地・村山浅間神社が近くなってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/90/5a27996521951797d6e80841bbcef22f.jpg)
11:09
突然、雨が降り出してきた。
ザックカバーをし、傘を差して歩き出す。
これまで暑かったので、私にとっては恵みの雨。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/5b/ac94b1fa2b0b12ed75a310805d18306c.jpg)
11:13
この分岐は左へ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/ca/37135d3d6e890cf1ff5830d8626836b7.jpg)
11:23
六番目の道しるべが見えてきた。
コンクリートの側壁にレリーフのように道しるべがはめこんである。
発見された道しるべを無造作に側壁にはめこんだ感じで、ちょっと雑な印象。
でも、捨てられたり、破壊された道しるべに比べれば、まだマシと言えるかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/f0/705b297fa04335e8cb02fa7b780feea1.jpg)
11:29
この分岐を左へ。
実は、この分岐のちょうど真ん中に、七番目の道しるべがある。
中央に見える石碑がそれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/12/d61e49e90d8d66c687ecfb99c2f00d35.jpg)
11:45
村山浅間神社に到着。
吉原駅から6時間弱。
田子の浦からだと5時間半。
この田子の浦から村山浅間神社のあいだは、約7時間のコースタイムと言われているので、ちょっと早く着いた感じ。
ゆっくり歩いたつもりだったが、ついつい速歩になっていたかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/18/4d8e095bad65e06660e05ce6529e4282.jpg)
境内には、県指定の天然記念物「村山浅間神社の大スギ」があった。
樹高47メートル。
目通り9.9メートル。
樹齢1000年。
約1000年前(平安末期)に開かれた登山道の傍にある樹齢1000年の大スギ。
村山古道を歩く登山者を1000年のあいだずっと見続けてきたに違いない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/e4/488ddd96234ec592df6a00215d7ea0fb.jpg)
早くに着いたので、この先に進むという考えも浮かんだが、
この先には、本当になにもない。
人家も、水を補給できるところもないと本に書いてあった。
村山浅間神社から新六合目までは、約10時間の行程。
明日の早朝に出発し、昼下がりに新六合目に着くのが最善と思われる。
雨脚も強くなってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/1d/ff7715126014758b7e1f6822e87c1c9c.jpg)
村山浅間神社内の社務所のような建物の裏に、野宿できそうな場所を発見。
今夜はここで野宿することに決める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/3c/2a717a4fcc20542fb10b994e5a239878.jpg)
ふとザックを見ると、ショルダーハーネスとショルダーストラップの繋ぎ目が切れかかっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/db/6b7e8a4ddbe68d043f375816031c7c9b.jpg)
もうビックリ。
首の皮一枚で繋がっている感じ。
オスプレーって、こんなにチャチだったのか?
ちょっとガッカリ。
応急処置として、ショルダーストラップの余っている部分を引っ張り上げて、ショルダーハーネスに結びつけた。
これで最後までもたせなくては……
村山に唯一ある店「山本商店」に買い出しに行く。
おにぎりや弁当などのご飯ものはなく、
バナナやスナック菓子などを買う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/65/e2ea33be6970ddf263db4ecb71f3d1bb.jpg)
野宿場所に戻り、それらを食べ、早々に横になる。
持ってきたのはシュラフカバーのみ。
夏ならこれで十分。
非常用として『Green Walk』誌でお馴染みの世界最軽量ピコ・シェルター「カブル」も持ってきているので、寒くなったらそれも身に纏うことにしよう。
久しぶりの野宿。
昨日の今頃はまだ仕事をしていた。
あれからそれほど時間は経過していないのに、
今はこうして富士山の麓で雨音を聴きながら野宿をしている。
不思議な感覚だった。
ケータイでパソコンにきたメッセージをチェックしていたら、
関西の若い女性からブログへの感想が届いていた。
この方からメッセージを頂くのは二度目で、本当に有り難い言葉が書いてあった。
私のブログの愛読者には、登山をしない人も少なからずおられるようだ。
様々な理由で、できない人も……
登山はしないけれど、私のブログで山歩きをした気分を味わっておられるとのこと。
今回は、海抜0メートルからの富士山登頂。
たっぷり楽しんでもらいたいと思う。
田子の浦から歩いて、
村山浅間神社で野宿して、
明日は、どんなことが待っているのだろうか?
あっ、そろそろ寝る時間だ。
では、また明日……
海抜0メートルから登る富士山② ……村山浅間神社から新六合目まで……(←クリック)
富士山(3776m)。(オイオイ)
「麓から登山家」(爆)としては、
やはり標高日本一の山にも麓から登っておくべきであろう。(コラコラ)
正直、これまで、個人的には富士山にはまったく興味がなかった。
毎年30万人以上の人々が訪れるという国民的人気の山。
TVに映し出される長い行列を見るたびに、
〈あんなに人で混雑している山に行って何が面白いんだろう〉
と思っていた。
だから、当然登ったことはなかったし、
これからも登るつもりはなかった。
その考えに変化が生じたのは、
数年前、
ある本を手にした時からだった。
その本とは、畠掘操八著『富士山・村山古道を歩く』(風濤社)。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/3a/bd0fb0671df34f89ecda4b68b72473ac.jpg)
村山古道とは、約1000年前(平安末期)に開かれた富士山最古の登山道で、
以来、900年ほどのあいだ利用されていたが、
1906年(明治39年)に大宮新道が切り開かれて、
村山古道の四合目(新六合目)で合流することになって以来、
約100年のあいだ廃道になったままだったという。
そのことを新聞記事で知った著者は、
村山古道を歩いてみたいという欲求に取り憑かれる。
資料を集め、登山仲間や地元有志に声をかけ、
その全ルート解明に取り組む。
藪漕ぎやビバークなどしながら、村山古道を探し回る。
そして、ついに村山浅間神社から新六合目に達するのである。
本書には、
田子の浦(海抜0メートル)から村山浅間神社を経て新六合目に至るルートを詳しく記してある。
著者は、
田子の浦から村山浅間神社までを「村山道」と呼び、
村山浅間神社から新六合目までを「村山古道」と使い分けている。
本書を読むと、いにしえ人の姿が目に浮かぶようであった。
海抜0メートルから登る富士山。
1000年の歴史がある道。
途中で水の補給も困難。
指導標もそれほど多くなく、ルートファインディングの力がないと難しいコース。
手垢のついてない素晴らしき山道。
〈このルートなら登ってみたい〉
と心底思った。
海抜0メートルからの登頂。
「SEA TO SUMMIT」
なんて魅力的な言葉だろう。
もうひとつ、
「ZERO TO ZERO」
という言葉もある。
「海抜0メートルから海抜0メートルへ」
これも同時に富士山で達成してみたい。
本書を読んでいて、夢はどんどんふくらんでいった。
往路は、田子の浦(海抜0メートル)を出発し、村山道、村山古道、富士宮ルートを歩いて、山頂へ。
お鉢巡りをした後、
復路は、御殿場ルートを使い、御殿場市まで下り、そこから沼津へ向かう。
最後は、千本浜(海抜0メートル)で登山靴を海水にひたす。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/83/4e345ce75844ccf6a2dcbfa0686987d2.jpg)
会社から得た夏休みは4日間(7月31日~8月3日)。
一日も無駄にはできないので、7月30日に仕事を終えた後に出発することにする。
7月30日(土)
19:26 特急かもめ42号で肥前山口発。
20:13 博多駅着。
新幹線ひかり582号に乗り換え。
20:33 博多駅発。
22:53 姫路駅に到着。
寝台特急サンライズ瀬戸に乗り換え。
7月31日(日)
5:09 富士駅に到着。
東海道本線・沼津行に乗り換え。
5:36 富士駅発。
5:40 吉原駅着。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/f3/d3b7e5fa18f25c039d010c97dac4d7e7.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/19/d7/9e50b0ae06e2081580d832b7d1a0e1fa.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/4e/6cfe1115bace46480953c7791e454080.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/67/a80ba1685835d1e8e57e30b9da83ee98.jpg)
5:55
吉原駅南口を出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/b8/7b6d0ba74fd8c716c8902a99aa7d5121.jpg)
6:08
田子の浦に到着。
浜は数千個の巨大なテトラポッドに覆われていた。
1個の高さは5m、重さ50トンとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/b1/a62ba86131906a42ad06bf6905a8cebb.jpg)
どうやって登山靴を海水に浸そうかと思って近寄ってみると、
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/62/00/d2874524bb71b267ea43b659c9ac140c.jpg)
テトラポッドの隙間から海水が押し寄せていて、なんなく目的達成。
でも、干潮時は難しいかも……
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/d7/38f204fd3f51aec61586ce520c45de31.jpg)
6:16
田子の浦を出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/39/473d4d92fd54582c0da754e71e0f7132.jpg)
6:23
ちょっと寄り道して、富士塚へ。
案内板に、
《ここに積み上げられた石は、むかし富士登山する人々が、登山の安全を祈って海水で水垢離(みずごり)をしたのち、海岸の石をひとつづつ置いていったものです》
とある。
昔の人が、田子の浦から出発していた証拠の場所といえるだろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/bc/083c26cb46ec6fd8cfd89a16c6cf54f3.jpg)
踏切を横切り、吉原駅北口の前を通過し、河合橋を渡る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/25/7c/596164fe0cb9553ae80e8e5cdef37867.jpg)
6:51
河合橋を渡ってすぐところ辺りから、富士山が見えた。
今日の天気予報は「雨」だったし、富士山は見えないと思っていたので、嬉しい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/70/ec/b356b1c956d9e47b369b92d7ef3212b0.jpg)
距離感が判断できなくなるので、なるべくカメラのズームは使わないようにしているが、ここはズームアップ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/96/916811f6a0a6fc8b9aa4be2ea7fedf05.jpg)
富士山の麓にある街らしい風景。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/cb/77560f41dad905d11b05510985cf6be8.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/8e/115d8e51c7ee7f05bb991b250266993c.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/34/888c00f9f8e4b16b482cff3c2c28e609.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/19/2b6393283619d216cc52cc81165f1967.jpg)
7:05
名勝「左富士」を通過。
東海道を東から西に行くとき、富士山は右手に見えるのだが、この辺りは左手に見えることから「左富士」と呼ばれていたとか。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/36/d3aec4da1415a64601ee3a9a02fd5ac0.jpg)
7:15
夜半、水鳥の羽音に驚いて平家軍が潰走し、頼朝が起死回生の大勝利を得たとされる歴史的な場所「平家越」の石碑前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/27/99/02c61b29e273317c61e37dc1abaaadca.jpg)
自販機で水「富士山天然水」を購入。
ザックには予備用として2リットルの水を入れているが、行動中に飲む水は、自販機がある場所ではそのつど購入して飲んだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/6c/0c42078f9c68a04fa85358ccca51e857.jpg)
道をまっすぐ進めば近道なのだが、あえて遠回りするように旧吉原宿を歩く。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/00/c8/9f3599cc69bc8221334c8b3d4ad76b1e.jpg)
8:44
広見公園にさしかかる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/5a/4e29d81b486cc39c60aa3f389ef00f72.jpg)
ここは複雑な三重立体交差になっているので、要注意。
公園内の地下道をくぐり、左に向かい、公園から出る。
GPS軌跡を見てもらえば、面白い動きをしているのが分かってもらえると思う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/20/b85eb7683aa29794633434886b7a5690.jpg)
9:14
石に彫られた道しるべに出合う。
富士山の絵と、「左」の文字が目立つ。
この村山道には、現在7基の道しるべが残っているという。
その一番目がこれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/74/ef/65956858d3edb94cea4b7008dd056cbf.jpg)
「東 三ツ倉
左 むら山道」
と陰刻してある。
昔の道しるべに出合うとなんだか嬉しくなる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/dd/5c384d206b876ce8680395eb2ac656b2.jpg)
茶畑の中に家々が点在する。
静岡らしい風景。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/84/29000608973c373999e9df8dcd5b756b.jpg)
9:35
釈迦堂に到着。
ここで、しばし休憩。
雨が降るどころか太陽の光がキツイ。
グッタリとなる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/2d/f70b97faeacc70ed78e412a1f600f1c5.jpg)
9:43
釈迦堂を出発。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/ea/b2705a3338bf6a10cf815b52e4b6bfd0.jpg)
出発前の数日間はトラブル続きで睡眠不足だった。
昨日は、出発間際まで仕事をしていたので、今日はけっこうキツイ。
でも歩いていれば、それだけで私は幸せなのだ。
歩ける幸せをかみしめながら、一歩一歩、歩いていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/1c/7d3359a464c35aa4b9bb0e0302915371.jpg)
9:51
二番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/ec/8355b4990c42724f3cd20b22e1c2c4ce.jpg)
9:56
このルート最後のコンビニに到着。
(コンビニではない普通の店が村山浅間神社の前に1軒だけある。ただし商品は少ない)
ここでおにぎりや調理パンなど食料を購入。
自販機はこの先にもあるので、水の確保は心配ない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/29/c217b1f89209e1bd7e54fc20fd9a3585.jpg)
10:13
三番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/8b/f4740db7aeb415c30a504f05b4c34f18.jpg)
10:19
このルート最後の食べ物屋さん。
何か食べようかと思ったが、まだ開店していなかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/23/65b5b734fb39bd591cd47d7c91aa2bd5.jpg)
10:28
四番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2e/81/2f07eac67746456a506872303d15af8f.jpg)
10:43
五番目の道しるべ前を通過。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/76/e8c136adca1e4ffe8f19df55181558c8.jpg)
昔は、この道しるべがあるだけで、随分心強かったことであろうと思われる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/7d/b0c7fbf064006132dbdf1a6afd2ebfc4.jpg)
11:03
右手に石碑群を見ながら右折。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/c7/736fa85043139d4cf8ccec33b06e411e.jpg)
今日の目的地・村山浅間神社が近くなってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/90/5a27996521951797d6e80841bbcef22f.jpg)
11:09
突然、雨が降り出してきた。
ザックカバーをし、傘を差して歩き出す。
これまで暑かったので、私にとっては恵みの雨。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/79/5b/ac94b1fa2b0b12ed75a310805d18306c.jpg)
11:13
この分岐は左へ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/ca/37135d3d6e890cf1ff5830d8626836b7.jpg)
11:23
六番目の道しるべが見えてきた。
コンクリートの側壁にレリーフのように道しるべがはめこんである。
発見された道しるべを無造作に側壁にはめこんだ感じで、ちょっと雑な印象。
でも、捨てられたり、破壊された道しるべに比べれば、まだマシと言えるかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5c/f0/705b297fa04335e8cb02fa7b780feea1.jpg)
11:29
この分岐を左へ。
実は、この分岐のちょうど真ん中に、七番目の道しるべがある。
中央に見える石碑がそれ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3b/12/d61e49e90d8d66c687ecfb99c2f00d35.jpg)
11:45
村山浅間神社に到着。
吉原駅から6時間弱。
田子の浦からだと5時間半。
この田子の浦から村山浅間神社のあいだは、約7時間のコースタイムと言われているので、ちょっと早く着いた感じ。
ゆっくり歩いたつもりだったが、ついつい速歩になっていたかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/34/18/4d8e095bad65e06660e05ce6529e4282.jpg)
境内には、県指定の天然記念物「村山浅間神社の大スギ」があった。
樹高47メートル。
目通り9.9メートル。
樹齢1000年。
約1000年前(平安末期)に開かれた登山道の傍にある樹齢1000年の大スギ。
村山古道を歩く登山者を1000年のあいだずっと見続けてきたに違いない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5b/e4/488ddd96234ec592df6a00215d7ea0fb.jpg)
早くに着いたので、この先に進むという考えも浮かんだが、
この先には、本当になにもない。
人家も、水を補給できるところもないと本に書いてあった。
村山浅間神社から新六合目までは、約10時間の行程。
明日の早朝に出発し、昼下がりに新六合目に着くのが最善と思われる。
雨脚も強くなってきた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/1d/ff7715126014758b7e1f6822e87c1c9c.jpg)
村山浅間神社内の社務所のような建物の裏に、野宿できそうな場所を発見。
今夜はここで野宿することに決める。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/3c/2a717a4fcc20542fb10b994e5a239878.jpg)
ふとザックを見ると、ショルダーハーネスとショルダーストラップの繋ぎ目が切れかかっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/db/6b7e8a4ddbe68d043f375816031c7c9b.jpg)
もうビックリ。
首の皮一枚で繋がっている感じ。
オスプレーって、こんなにチャチだったのか?
ちょっとガッカリ。
応急処置として、ショルダーストラップの余っている部分を引っ張り上げて、ショルダーハーネスに結びつけた。
これで最後までもたせなくては……
村山に唯一ある店「山本商店」に買い出しに行く。
おにぎりや弁当などのご飯ものはなく、
バナナやスナック菓子などを買う。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/50/65/e2ea33be6970ddf263db4ecb71f3d1bb.jpg)
野宿場所に戻り、それらを食べ、早々に横になる。
持ってきたのはシュラフカバーのみ。
夏ならこれで十分。
非常用として『Green Walk』誌でお馴染みの世界最軽量ピコ・シェルター「カブル」も持ってきているので、寒くなったらそれも身に纏うことにしよう。
久しぶりの野宿。
昨日の今頃はまだ仕事をしていた。
あれからそれほど時間は経過していないのに、
今はこうして富士山の麓で雨音を聴きながら野宿をしている。
不思議な感覚だった。
ケータイでパソコンにきたメッセージをチェックしていたら、
関西の若い女性からブログへの感想が届いていた。
この方からメッセージを頂くのは二度目で、本当に有り難い言葉が書いてあった。
私のブログの愛読者には、登山をしない人も少なからずおられるようだ。
様々な理由で、できない人も……
登山はしないけれど、私のブログで山歩きをした気分を味わっておられるとのこと。
今回は、海抜0メートルからの富士山登頂。
たっぷり楽しんでもらいたいと思う。
田子の浦から歩いて、
村山浅間神社で野宿して、
明日は、どんなことが待っているのだろうか?
あっ、そろそろ寝る時間だ。
では、また明日……
海抜0メートルから登る富士山② ……村山浅間神社から新六合目まで……(←クリック)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/09/76c30e5b04a4143532729d1f7c96efde.jpg)