一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

前門岳(福岡県)

2007年08月19日 | 山岳会時代の山行
前門岳は、ガイドブックに載っていない無名山である。
断るまでもないが、ここで言う「無名」は、「有名」に対する「無名」である。
私が初めて前門岳の名を目にしたのは、3年前の2004年9月に発売された『Green Walk』(Vol.12秋号)に於いてだった。
それまで登山道がなかったこの山に、滝澤昭正さんを隊長とする福岡やぶこぎ探検隊が果敢にアタック。
2002年3月に、3度目のチャレンジでようやく山頂に辿り着いた。
その後、矢部村役場産業振興課のスタッフが、古道を蘇らせ、立派な登山道ができた。
だから、前門岳は、登山道が復活してまだ5年半ほどしか経っていないのだ。
この記事を読んでから、いつか機会があったらぜひ登ってみたいと思っていた。
なぜなら、この山には、見どころがたくさんあるからだ。
夏に咲くオオキツネノカミソリの群落、百年杉、渓谷美、山頂からの眺望……などなど。
なによりも、福岡やぶこぎ探検隊・矢部村役場の方々が苦労して切り開いた登山道を歩いてみたかった。
今回の山行には沢登りの沢コースと、山登りを楽しむ丘コースが用意されていたが、そんな訳で私は丘コースを選択した。
今回は、佐賀労山との合同山行だったので、参加者は合わせて約50名。
沢コースと丘コースの割合は、半々。
現地に到着すると、それぞれ沢登り&山登りの準備にとりかかった。
そして、早く準備ができた丘コースが一足先に出発した。



さすがに登山道も道標もしっかり整備されていて歩きやすい。
植林帯を過ぎ、左に沢を見ながら、高度を上げていく。
残念ながら沢に水が少なく、「水ほとばしる渓谷」ではなかったことが惜しまれる。



オオキツネノカミソリの開花時期はとっくに過ぎていたので、こちらは期待していなかったが、僅かに残っていた花が我々を歓迎してくれた。



暑い上に急登が続くので、頻繁に休憩を入れながら、約1時間半で山頂に着いた。
山頂は切り開かれており、抜群の眺望だった。
先月の山行で登った渡神岳をはじめ、国見山、猿駆山、釈迦ヶ岳、御前岳、平野岳、石割岳など、重なり合う山々が美しい。



山頂は木陰が少なく暑かったが、そよ吹く風が気持ちよく、周囲の山々を眺めながら昼食。
皆さんが、冷えたスイカ、葡萄、蒟蒻ゼリーなど、次々と差し入れして下さり、とても美味しかった。
ありがとうございました。


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