最近読んだ本の中では、際立った一冊。
言うまでもなく、人生は不平等である。
出生、育った環境、容姿、そして才能……
だが、「死ぬ」という一点においては平等のような気がする。
お金持ちであろうがなかろうが、頭が良かろうが悪かろうが、最後は皆死ぬ。
早い遅いはあるが、誰もが必ず死ぬ。
ノーベル賞候補の物理学者しかり。
ニュートリノ観測でノーベル賞を確実視されていた物理学者・戸塚洋二。
本書は、彼が、最期の11ヶ月(2007年8月4日~2008年7月2日)に綴った記録である。(2008年7月10日逝去・享年66歳)
こう書くと、単なる闘病記と思われてしまうかもしれないが、本書はそれだけではない。
本書の元になっているのは、彼が2008年8月から書き始めたブログ。
そのカテゴリーを見ると、「人生」「奥飛騨」「我が家の庭に咲く花」「大腸ガン治療経過」「抗ガン剤ショートノート」「科学政策」「科学入門」「教育」「環境・災害」「その他」と、実に多岐にわたっている。
この中から、特に「大腸ガン治療経過」「抗ガン剤ショートノート」「人生」「奥飛騨」「我が家の庭に咲く花」の記事を収録したのが本書である。
(「科学入門」の部分は『戸塚教授の「科学入門」』として講談社から刊行ずみ)
ガンに関する記述もさることながら、本書を読む意義はむしろ「人生」「奥飛騨」「我が家の庭に咲く花」の方にある。
物理学を専門としてきた彼が、病を得てから「自然」に興味を持ち、人生の感慨を述べていく箇所は胸を打つ。
特に「奥飛騨」の項には、山や木々に関する記述が多く、登山や自然を愛する人には興味を持って読めると思う。
戸塚洋二と交友のあった立花隆が、膨大なブログの記述・画像の中から厳選し、編纂している。
ブログのオリジナルページ(←クリック)は決して読みやすい内容ではない。
立花隆の目によって、本書は戸塚洋二の見事な「随想録」になったともいえる。
立花隆の序文、それに巻末に収められている戸塚洋二・立花隆両氏の対談が、「随想録」を読む助けになる。
【お知らせ】
7月5日(日)22:00~23:30
NHK BSハイビジョン
ハイビジョン特集「物理学者 がんを見つめる ~戸塚洋二 最期の挑戦~」
が放送されます。
《再放送》
NHK BSハイビジョン
7月12日(日)16:30~18:00
NHK総合
7月14日(火)22:00~23:00
※NHK総合での放送時は1時間に短縮されるようです。
この番組を観てから本書を読まれてもいいでしょう。
言うまでもなく、人生は不平等である。
出生、育った環境、容姿、そして才能……
だが、「死ぬ」という一点においては平等のような気がする。
お金持ちであろうがなかろうが、頭が良かろうが悪かろうが、最後は皆死ぬ。
早い遅いはあるが、誰もが必ず死ぬ。
ノーベル賞候補の物理学者しかり。
ニュートリノ観測でノーベル賞を確実視されていた物理学者・戸塚洋二。
本書は、彼が、最期の11ヶ月(2007年8月4日~2008年7月2日)に綴った記録である。(2008年7月10日逝去・享年66歳)
こう書くと、単なる闘病記と思われてしまうかもしれないが、本書はそれだけではない。
本書の元になっているのは、彼が2008年8月から書き始めたブログ。
そのカテゴリーを見ると、「人生」「奥飛騨」「我が家の庭に咲く花」「大腸ガン治療経過」「抗ガン剤ショートノート」「科学政策」「科学入門」「教育」「環境・災害」「その他」と、実に多岐にわたっている。
この中から、特に「大腸ガン治療経過」「抗ガン剤ショートノート」「人生」「奥飛騨」「我が家の庭に咲く花」の記事を収録したのが本書である。
(「科学入門」の部分は『戸塚教授の「科学入門」』として講談社から刊行ずみ)
ガンに関する記述もさることながら、本書を読む意義はむしろ「人生」「奥飛騨」「我が家の庭に咲く花」の方にある。
物理学を専門としてきた彼が、病を得てから「自然」に興味を持ち、人生の感慨を述べていく箇所は胸を打つ。
特に「奥飛騨」の項には、山や木々に関する記述が多く、登山や自然を愛する人には興味を持って読めると思う。
戸塚洋二と交友のあった立花隆が、膨大なブログの記述・画像の中から厳選し、編纂している。
ブログのオリジナルページ(←クリック)は決して読みやすい内容ではない。
立花隆の目によって、本書は戸塚洋二の見事な「随想録」になったともいえる。
立花隆の序文、それに巻末に収められている戸塚洋二・立花隆両氏の対談が、「随想録」を読む助けになる。
【お知らせ】
7月5日(日)22:00~23:30
NHK BSハイビジョン
ハイビジョン特集「物理学者 がんを見つめる ~戸塚洋二 最期の挑戦~」
が放送されます。
《再放送》
NHK BSハイビジョン
7月12日(日)16:30~18:00
NHK総合
7月14日(火)22:00~23:00
※NHK総合での放送時は1時間に短縮されるようです。
この番組を観てから本書を読まれてもいいでしょう。