一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

「とんでもない山に行きますよ」

2015年11月26日 | その他
今年(2015年)の夏、
南アルプスを歩いたとき、
ある女性と出逢った。
その、山慣れした感じの彼女が身に着けていたTシャツの、
背中の部分に書かれていた文字を見て、
ちょっと驚いた。

「とんでもない山に行きますよ」

と書かれていた(ように見えた)からだ。
その女性は、その後、すぐにザックを担いで行ってしまったので、
しっかりと確かめることはできなかったが、

「とんでもない山に行きますよ」

という文字がいつまでも頭から離れなかった。
〈「とんでもない山」とは、どんな山なんだろう?〉
と、登山道を歩きながら考えていた。

だが、その後、南アルプスの、
とんでもなくデカイ山や、
とんでもなくキツイ山や、
とんでもなく美しい山などを歩くうち、


「とんでもない山に行きますよ」

という言葉に納得させられている自分がいた。

南アルプスの山々があまりに素晴らしかったので、
そのTシャツのことはすっかり忘れていたのだが、
最近、ふと思い出して、
ネットで検索してみた。
はたしてそんな文字が書かれたTシャツが本当にあるのだろうか……と。

検索した結果、
あのTシャツは、
会津駒ケ岳にある山小屋「会津駒の小屋」で売られているものであることが判った。


そして、書かれている言葉も、正確には、

とんでもない。
私は山に
行きますよ。


であることが判明した。


私が南アルプスでTシャツを見たとき、
「私は」の部分が髪か何かで隠れていたのかもしれない。


「私は」が間に入ることで、
まったく意味が違ってしまう。
でも、

とんでもない。
私は山に
行きますよ。


という言葉も、
イイ言葉だなと思った。

会津駒の小屋は、
管理人をされている三橋一弘・さゆり夫妻が、
Tシャツや、手ぬぐいや、マスコットなど、
みやげ物を小屋のオリジナルで統一し、
この小屋でしか得られないものにされているとのこと。

とんでもない。
私は山に
行きますよ。


という言葉も、
駒の小屋のご主人(三橋一弘さん)が、
以前勤めていた会社で、
「また山に行くの? たまには他の事もすれば?」
と言われた際に返した言葉なのだとか。(いいね~)

他にも、


なんてものもあるし、(笑)

手ぬぐいには、
こんなのもあった。


いや~、
ユニークな山小屋だね~
いつか行ってみたいな~
そして、あのTシャツを買いたいな~
そして、
「タクさん、明日、休日出勤してもらえませんか?」
と訊かれたときなど、
パッと上着を脱ぎ、
(高倉健が背中の唐獅子牡丹を見せるように)
Tシャツの背を見せる……


いつかやってみたいな~

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