一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

天拝山~基山 ……低山の楽しみがぎっしり詰まった縦走路を歩こう……

2010年11月28日 | その他・佐賀県外の山
本当の映画好きは、ハリウッド超大作より、ミニシアター系の繊細な作品を愛する。
本当の文学好きは、ベストセラー小説より、あまり知られていない小さな物語を愛する。
そして、本当の山好きは、誰もが行く有名山よりも、裏山・里山のような低山を愛する。
……これは、私がこれまで映画を見、本を読み、山を歩いてきて辿り着いた、ひとつの真実。

フクジュソウだ、ミヤマキリシマだ、紅葉だ、霧氷だと、一年中、有名な山ばかり追いかけている人がいる。
……私は密かに「観光登山家」と呼んでいるが(笑)、そういう人は、裏山や里山の低山には見向きもしないし、登らない。
なぜなら、そんな低山には、珍しい花は咲かないし、霧氷も見られないからだ。

だが、そんな低山にも、有名山にも負けないほどの楽しみが、実はたくさん隠されているのだ。
本当の山好きは、そのことを知っている。
有名山にも登るけれども、そうした無名の低山にも精力的に登っているそよかぜさん肉まんさんCJNさんなどは、その低山の楽しみを熟知している「山の達人」と言えるだろう。
その人が「本当の山好き」か、単なる「観光登山家」なのかを知る判断基準は、この低山歩きをしているかいないか……と断定してもあながち間違いではないと思う。

11月28日の日曜日にはどの山に行こうかと、平六さんと頭を悩ませていた。
そよかぜさんに「日曜日はどこに行きますか?」とメールすると、
「天拝山から基山へ縦走します」との返事。
基山には何度も登っているが、天拝山には登ったことがないし、縦走もしたことがない。
そよかぜさんにもしばらく会っていないし、ここはそよかぜさんの案に乗るべし……ということで平六さんに連絡すると、「ぜひ行きたいです」との返事。
すぐに、そよかぜさんに、「平六とタクの2名参戦です」とメールした。

午前5時45分に某所で平六さんと待ち合わせ。
平六さんの車で、集合場所に向かう。
6:40
集合場所の天拝山歴史自然公園駐場に到着。
【本日の参加者】11名
長崎組……そよかぜさん、山馬鹿さん、クラッカーさん、みつばさん。
福岡組……肉まんさん(天拝山まで)、hirokoさん、hirokoパパさん、ばあやんさん、Iさん。
佐賀組……平六さん、タク。

7:00
輪になって自己紹介。
私としては、ばあやんさんとIさんが初対面であった。


7:06
天拝山歴史自然公園駐場を出発。
まだ残っている紅葉の下を歩いて行く。


振り返るとこんな感じ。
なかなか素敵だ。


「開運の道」と名付けられた登山道には、各合目ごとに歌碑がある。


7:33
荒穂神社に到着。
ここの紅葉も見事であった。



天拝山への最後の登り。


7:52
天拝山山頂に到着。
素晴らしい眺めだ。


右に目を転ずると、若杉山から宝満山への連なりが見えた。


肉まんさんとはここでお別れ。
みなさんと名残を惜しんでおられた。


8:07
天拝山山頂を出発。
肉まんさんは、いつまでも手を振って見送って下さった。


低山縦走なので楽勝……と思いきや、けっこうなアップダウンがあって、なかなかのもの。
低山縦走と言えどもあなどってはならない。


それでも、このような美しい竹林の中を抜けたり、


紅葉の下を歩いたりして、


9:02
天拝湖に到着。
ここにはトイレや自動販売機もあり、ここでしばし休憩。


土手をヤクシソウの花が黄色く染めていた。


人家のある道を歩いて行く。
昨年の12月に歩いた長崎の七高山めぐりや、今年の1月に歩いた岩屋山・稲佐山縦走を思い出す。
こういった町や村の中を歩くのも楽しい。



美しい里の風景も、低山歩きの楽しみのひとつ。


9:44
九州自然歩道の案内板があり、ここから基山にとりつく。



黄色い絨毯の上を歩いて行く。


なんどか林道を横切り、


山頂直下の分岐に出合う。


最後の登り。
広々として気持ち好い。


10:43
基山山頂に到着。


ここは一等三角点だ。


山頂のすぐ下で昼食。


山馬鹿さんから「九十九島せんべい」を、ばあやんさんからはお菓子の入ったクリスマスプレゼントを頂く。
この他にも皆さんから果物や漬物やお菓子をたくさん頂いた。
みなさん、ありがとう!


山頂付近では、ノダケやサイヨウシャジンやスミレやツワブキの花などを見かけた。
冬が近づいても花をたくさん見ることができる……これも低山の楽しみのひとつ。



11:22
基山山頂を出発。


礎石群など身ながら、史跡コースを下って行く。


社務所の屋根に降り積もる落ち葉が美しい。


キッコウハグマが咲いていた。


里の紅葉もなかなか。


JR原田駅が見えてきた。


12:44
JR原田駅に到着。
ここから二日市駅まで戻る。


ザック姿でホームに佇むのは、夏に立山・剱に行って以来。
みなさん、縦走を終えた充実感に満たされている。


13:00
二日市駅着。
ここから歩いて天拝山歴史自然公園駐場へ。

13:22
天拝山歴史自然公園駐場に到着。
こうして、天拝山~基山縦走が終わった。


市街地に近い低山縦走であったが、低山ならではの楽しみを満喫した山行であった。
久しぶりにお会いしたみなさんとの会話も楽しかった。
晩秋から春にかけては低山歩きが楽しい季節。
これからも裏山や里山歩きを大いに楽しみたいと思う。

帰路は、平六さんと「日本一たい焼」に寄り、家族への土産を買った。
(ここのたい焼は本当に美味しいよ~)


みなさん、楽しい一日をありがとうございました。
また、いつか、どこかの山で……

(写真提供・そよかぜさん)

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