一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

平尾台(大平山・貫山・広谷湿原) ……自生種のキキョウに逢いたくて……

2010年08月15日 | その他・佐賀県外の山
20年前に出版された『佐賀の野草』(貞松光男/佐賀新聞社)の「キキョウ」の項には、次のように記されている。

やや高いところの草原に生える。そんなところの道端近くに咲いているのを見るとついうれしくなる。よくもまあご無事で、というわけだ。しかし、明日の生命はわからない。今日までの無事を祝ってあげたいわけである。だれだって、こんな美しい花を見たら、手折りたくなる気持ちを抑え切れないのではなかろうか。こうして、この秋の七草も自然から少しずつ姿を消していっているようだ。キキョウの仲間は薄青紫色の花が多い。これも人の気をひく要因の一つとなっているようである。

産地については「各地散在」となっているので、この本が出版された頃にはまだ各地でこの花が見られたのであろう。
だが、現在、自生のキキョウを山で見ることはほとんどない。
山仲間に訊いても、佐賀県内の山で自生のキキョウを見たことはないと言う。
「○○山の○○には咲くらしい」
という噂はよく耳にするが、実際に見た者はいないようだ。

〈なんとか自生のキキョウを山で見たいものだ〉
と思っていた。
山の雑誌や、ネット仲間のHPやブログで、平尾台には咲くことは知っていた。
だが、なかなか行く機会がなかった。
夏はなにかと忙しい。
〈今年こそは……〉
と思っていても、気づくとキキョウの花期を過ぎている。
そんな夏を幾年も過ごしてきた。
今年もそんな風に夏を過ごしてしまうかもしれないと危惧した私は、度々平尾台を訪れているリーフさんに、もし夏に平尾台に行く機会があったら、私もぜひ誘ってほしいと頼んでおいた。
そして、つい先日、そのリーフさんからメールが届いた。
「8月14日までにお盆の用事は終わりそうなので、15日(日)に平尾台に行きます」と。
私はお盆も仕事をしていて、15日が唯一の休み。
この絶好のチャンスを逃すと「また来年」ということにもなりかねない。
仕事疲れで体調はイマイチだったが、リーフさんのお誘いに乗った。
お盆も忙しいであろう平六さんにも声を掛けてみる。
すると予想に反して「私もご一緒したいです」とのこと。
こうして、リーフさん、ビスターリさん、平六さん、タクの4名による平尾台行が実現した。

午前6時半に金立SAで待ち合わせ。
ビスターリさんが運転するパジェロで一路「平尾台」へ。
朝はやや曇っていたが、平尾台に着くと晴天。
だが風があり、そんなに暑さは感じない。

7:50 茶ノ床園地を出発。
まずは大平山を目指して歩いて行く。


驚いたことに、ノヒメユリがどこにも咲いている。


これには本当にビックリ!


美しい~


本当に平尾台はスゴイところだ。


クズの花や、


キンミズヒキ、


カワラナデシコもたくさん咲いている。


花迷宮を彷徨っていたら、いつのまにやらヤブ漕ぎに……(笑)


ひらすら稜線を目指し、もがく。(爆)


やっと登山道に出て、ホッ。
リーフさんから頂いた冷えたトマトが美味しかった~


しばし休憩の後、大平山山頂に向かって歩き出す。
と、ヒオウギの花を発見!


美しい~


ハバヤマボクチを見ながら歩いていたら、


9:36 大平山山頂に到着。


山頂にはボタンヅルが咲いていた。


山頂からの眺めは抜群!


しばし休憩の後、出発。
四方台を目指す。


オミナエシや、


キセワタの花を見ながら歩いていると、


キキョウの花を発見!


美しい~


もう見惚れてしまう。


蕾だって美しい~


驚いたことにキキョウの大群落。
これほど咲いているとは思わなかった。
感動の連続だった。


キキョウに感動しながら、急坂もなんのその。


10:27 四方台に到着。


ここから貫山を目指す。


貫山山頂直下も急登だが、貫山山頂で昼食とのことで、力が湧く。


10:48 貫山山頂に到着。


ここからの眺めも最高!


遠く国東半島まで見える。


昼食時、リーフさんからは瓜を、平六さんからはアイスを頂いた。
どちらもとっても美味しかった。
リーフさん、平六さん、ありがとう!


11:37 貫山山頂を出発。


美しい風景を見ながら下って行く。


12:14 中峠に到着。
ここから広谷湿原に向かう。

鬼ノ唐手岩の向こうに海が見えた。
こんな何気ない風景すら、美しい。


12:25 広谷湿原に到着。


サギソウが咲いていた。
美しい~


その後、不動滝に立ち寄った。
とても涼しく、しばらくここを動けなかった。


茶ノ床園地に戻る途中の風景も素晴らしかった。
ただ、山と空と雲があるだけなのに、なぜこんなにも美しいんだろう。
緑と、青と、白……
夏の光が創る独特の色彩のせいかもしれない。


美しい大平山や、


周防台を見ながら帰路についた。


今日はお盆なので、高速がUターンラッシュで混むだろうと、早朝に出発し、なるべく午後早めに帰ろうとの計画だった。
それがうまく適中したのか、行きも帰りもまったく渋滞につかまることはなかった。
素晴らしい平尾台。
「美しい~」との言葉を何度叫んだことだろう。
今度は、春や秋にも訪れたいと思った。
リーフさん、ビスターリさん、ありがとうございました。
平六さん、今度はキャンプで飲み会を……(笑)

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