一日の王

「背には嚢、手には杖。一日の王が出発する」尾崎喜八

映画『キングダム』……橋本環奈の可愛さと長澤まさみの格好良さに悩殺される……

2019年05月04日 | 映画


※PCでご覧の方で、文字が小さく感じられる方は、左サイドバーの「文字サイズ変更」の「大」をクリックしてお読み下さい。

中国春秋戦国時代を舞台に、
大将軍になるという夢を抱く戦災孤児の少年・信と、
中華統一を目指す若き王・嬴政(後の秦の始皇帝)を、
壮大なスケールで描いた漫画『キングダム』を、
実写映画化したものである。


この映画、実は、佐賀県では、公開前からすごく話題になっていた作品である。
なぜなら、原作者の原泰久が佐賀県(三養基郡基山町)出身だったからだ。
地元紙では度々特集が組まれ、弥が上にも期待は高まっていたのだ。


漫画『キングダム』は、
2006年1月より「週刊ヤングジャンプ」にて連載を開始し、
現在までに単行本は54巻まで刊行され、
累計発行部数3800万部超(2019年1月現在)を記録している。


映画化にあたり、脚本には、原作者・原泰久も参加し、
映画としてより良いものにするため、原作にアレンジを施し、
幾度も書き直して完成したとのこと。
撮影は2018年4月に中国でスタートし、
日本では実現しえない本物の画を求めて、浙江省・象山影視城で撮影を敢行している。
クライマックスには、兵士役のエキストラを延べ1万人動員したという。
主人公・信は、山崎賢人が、
漂と瀛政には、吉沢亮がキャスティングされており、
鑑賞する映画を「女優で選ぶ」私としては、
山の民の美しき王・楊端和を長澤まさみが、
信・嬴政と行動を共にする河了貂を橋本環奈が演じているのが嬉しい。


4月19日(金)に公開されている作品で、
私自身、公開直後に見に行くつもりでいたのだが、
くまもと復興映画祭(4月20日~21日)に行ったり、
そのレポをまとめたりしているうちに、公開から10日ほど経ってしまっていた。
で、慌てて映画館に駆けつけたのだった。



紀元前245年、春秋戦国時代、中華・西方の国「秦」。
戦災孤児の少年の信(山﨑賢人)と、


漂(吉沢亮)は、


いつか天下の大将軍になることを夢見て日々剣術の鍛練を積んでいた。
ある日、漂は王都の大臣である昌文君(髙嶋政宏)によって召し上げられ王宮へ。


信と漂の二人は別の道を歩むことになる……


王宮では王の弟・成蟜(本郷奏多)によるクーデターが勃発。


戦いの最中、漂は致命傷を負うが、何とか信のいる納屋にたどり着く。
「お前に頼みたいことがある」
血まみれの手に握られていたのは、ある丘に建つ小屋を示す地図だった。
「今すぐそこに行け。お前が羽ばたけば、俺もそこにいる。信、俺を天下に連れて行ってくれ!」
力尽きる漂。泣き叫ぶ信。
漂が手にしていた剣とその地図を握りしめ、信は走り出した。
走る先に何があるのかもわからず一心不乱に走る信。
たどり着いた先で、信の目に飛び込んできたのは、なんと冷静にたたずむ漂の姿だった。


死んだはずの漂がなぜ?
「お前が信か」
そこに居たのは、玉座を奪われ、王都を追われた秦の若き王・嬴政(吉沢亮)だった。


その嬴政に瓜二つの漂は、彼の身代わりとして命を落としたのだった。
激高する信だったが、国を背負う嬴政の強さと漂の遺志を受け止め、嬴政と共に行動することを決意。


二人は王宮を奪還するため立ち上がる。
しかし、それは嬴政にとって、長い道のりの第一歩に過ぎなかった。
中華統一。
戦乱の世に終わりをもたらす、未だかつて誰もが成し遂げていない、とてつもなく大きな夢を嬴政は心に宿していた。
信は天下の大将軍を、嬴政は中華統一を。その夢は途方もない修羅の道だ。
若き二人の戦いの火蓋が切って落とされる……




上映時間がとても短く感じるほどに面白かった。
スケールの大きさ、
魅力的な登場人物、
物語のテンポ良さ、
スピード感あふれる殺陣、
迫力ある映像……
ワクワクさせられっぱなしの134分だった。


原作漫画は読んでいなかったが、まったく問題なかった。
むしろ、読んでいない方が、いろいろ余計なことを考えずに楽しめるような気がした。
原作漫画の熱烈なファンは、
「原作とイメージが違う」だの、「ストーリーを端折り過ぎ」だの、
あれこれ言いそうだしね。(笑)


それにしても、これほど壮大なドラマを、原作者・原泰久はよく考え出したものだと思う。
佐賀県出身というのが誇らしい。
そういえば、佐賀県唐津市出身の作家・北方謙三も、
『三国志』(角川春樹事務所、全13巻、1996年~1998年)や、
“大水滸”シリーズ(全51巻)として、
『水滸伝』(集英社、全19巻、2000年~2005年)
『楊令伝』(集英社、全15巻、2007年~2010年)
『岳飛伝』(集英社、全17巻、2012年~2016年)
を著しているし、
数年前からは、
モンゴル族を統一し、瞬く間に大帝国の基礎を作り上げた英雄・チンギスハンの生涯を、
『チンギス紀』(集英社)として書き続けている。
(2019年5月現在、第4巻まで刊行されている)
佐賀県は中国大陸に近いし、
このような大陸を題材にした物語を生み出す土壌が、佐賀の地にあるのかもしれない。
そういえば、原泰久と北方謙三の対談が、2018年1月1日の地元紙に載っていたっけ。





佐賀県は、秦の始皇帝との縁も、少なからずある。
私がよく登っている金立山には、徐福伝説が残っているのだ。

今から2200年前、
徐福は、秦の始皇帝から不老不死の薬を探す命を受け、日本へとやってくる。
徐福の一行は、海路有明海に入り、一度は竹崎に上陸したが、
その後、沖の島を通って、三重津に渡りつき、金立山に向かったといわれている。
金立山に入ってからは、
弁財天の加護と里人の援助によって、不老不死の霊草を探し出すことができた。
それは、「フロフキ」と呼ばれる薬草「カンアオイ」で、
現在でも金立山に自生している。
ちなみに「フロフキ」は「不老不死」がなまったものともいわれている。
その後、徐福は、何故か故国に帰る望みを捨てて、
永くこの地にとどまって里人に親しまれ、一生を終わったとのこと。
詳しくは、金立山の麓にある「徐福長寿館」で。


話が脱線してしまったが、(笑)
かように佐賀県は、中国大陸や秦の始皇帝に縁があるということだ。

映画の方に話を戻して……
……とにかく面白かった映画『キングダム』であるが、

信を演じた山崎賢人の“アクション”、


漂と瀛政の二役を演じた吉沢亮の“目力”、


王騎を演じた大沢たかおの“声”、


左慈を演じた坂口拓の“不気味さ”、


成蟜を演じた本郷奏多の“憎々しさ”


など、男優陣の優れた演技も語りたいのだが、
とてつもなく長くなるので、
鑑賞する映画を「女優で選ぶ」私としては、
橋本環奈と長澤まさみについてのみ語りたい。



ますは、河了貂を演じた橋本環奈。


橋本環奈は、まずこんな格好で現れる。


この被り物を取ると、こんなに可愛い顔が……


男ばかりの登場人物の中で、この可愛さは衝撃であった。




橋本環奈の出演作は、映画デビュー作『奇跡』(2011年6月11日公開)から見ており、
初主演作『セーラー服と機関銃-卒業-』(2016年3月5日公開)も、
……橋本環奈が物凄く頑張っている……
とのサブタイトルを付けてレビューを書いている。(コチラを参照)
ほとんどの映画評論家や芸能評論家が否定的なレビューを書いている中、
私だけが褒めていたのだが、
映画『銀魂』(2017年7月14日公開)、
映画『銀魂2 掟は破るためにこそある』(2018年8月17日公開)、
TVドラマ『今日から俺は!!』(2018年10月14日~12月16日、日本テレビ)など、
その後の橋本環奈の活躍を見れば、それ(私の褒め言葉)は裏付けされたように思う。



楊端和を演じた長澤まさみ。


長澤まさみも、まずこんな格好で現れる。


この被り物を取ると、こんなに美しい顔が……


美しいだけではない。




格好良いのだ。




アクションも素晴らしいし、
私的には、長澤まさみを見ることができるだけでも、この映画は見る価値ありだ。


長澤まさみ主演で、スピンオフを作ってもらいたいくらいだ。




主演作の『コンフィデンスマンJP -ロマンス編-』(2019年5月17日公開)も、
この後すぐに公開されるので、こちらも楽しみ。



今回の映画が、
『キングダム』という壮大なドラマのほんの序章であることも解った。
当然のことながら、続編にも大いに期待したい。
そういう意味でも、本作は見ておくべき作品と言える。
映画館で、ぜひぜひ。

この記事についてブログを書く
« 近くの里山 ……ヒメナベワリ... | トップ | 天山 ……フデリンドウ咲く稜... »