特集:イスラエル映画祭2007
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クロース・トゥ・ホーム
総合 100点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
『クロース・トゥ・ホーム』という作品は傑作だと思う。エルサレムのパトロール隊に配属された2人の若い女性兵士、ミリトとスマダルの話だが、ただイスラエルの女性にも兵役義務があるということを啓蒙するだけの映画ではない。彼女たちの仕事はテロ防止のため街中でのアラブ人の身元確認なのだが、本当にアイデンティティーを確認しなければならないのは義務として嫌々兵役に就いている彼女たち自身なのだ。兵役義務に対してとりあえずミリトはおとなしく従っているが、スマダルは反抗し続ける。そんな相反する二人が葛藤し合いながらも、最後は再び一緒に仕事をしあうようになる。
しかし、ラストシーンで身分証明書の提示を拒む男に遭遇し、やがて3人の周りに人が集まってきて大混乱になる。その言い争いの声が続いているまま、映像はバイクに相乗りしているミリトとスマダルの虚ろな目をした顔が街中をプカプカ浮遊するようなアップの映像で終わることで、アイデンティティーを探し続けるイスラエルの若い女性がそのまま観客である自分たちと重なるような錯覚をもたらし涙を誘うのである。