MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

モーリス・ユトリロ展に関する感想

2010-06-14 19:16:58 | 美術

 現在、東京の新宿にある損保ジャパン東郷青児美術館で「モーリス・ユトリロ展」

が催されている。全作品日本初公開とあってたくさんの人が訪れていた。ユトリロ

の作品を通して見てみると、意外かもしれないがアメリカの有名な画家である

ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat)の作風を彷彿とさせる。2人

とも独学で絵を学んでいる“ストリート出身”の画家という共通項があり、ユトリロは

画材としてよく厚紙を使っているのだが、その理由は金銭的な問題かもしれない。

モーリス・ユトリロ(Maurice Utrillo)は若い頃からアルコール依存症のせいなのか

彼の作品には出来不出来の差が激しいのだが、私の考えでは上の作品のように

ストリートの輪郭がはっきり描かれている作品が出来が良いように見える。晩年の

作品には描線のシャープさが失われていて衰えは隠しきれていないと思う。

 もう一つモーリス・ユトリロの作品の特徴は上の作品のように2組のカップルと1人

の人物を組み合わせて描くことが多々あるということである。ユトリロの作品の

ほとんどが風景画である理由は、逆に言うならばユトリロは人物を描けなかった

のだと思うのだが、それでも敢えてこのような組み合わせで風景の中に人物を

描く理由が私には謎のまま残っている。1883年生まれで1955年に亡くなった

ユトリロは極めてグラフィカルなモダンアートの画家だと思う。


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