原題:『悪女』
監督:渡辺祐介
脚本:渡辺祐介/下飯坂菊馬
撮影:西川庄衛
出演:小川真由美/緑魔子/梅宮辰夫/三津田健/高千穂ひづる/浦辺粂子/宮口精二/杉村春子
1964年/日本
「悪女」に仕立てられる意図について
冒頭からクライマックスのシーンが映し出されることに意表を突かれる。主人公で家政婦をしている田中姫子が猟銃を片手に別荘がある日光の湖で自分を溺死させようとした円城家の息子の円城英介を撃ったばかりのシーンなのだが、ここで姫子をタイトル通りに「悪女」に仕立てて観客をミスリードすることでその経緯による意外さを際立たせ、ラストにおいて刑務所で英介の子供を出産する姫子というアイロニーを醸し出すのである。
梅宮辰夫が演じる英介に「ニューフェイスか?」と訊かれた際に、派遣されてきたばかりの小川真由美が演じる姫子が「いいえ、弥生家政婦会からです。」というギャグは梅宮が東映ニューフェイス出身であることを知らなければ分からないものである。