THE FOURTH PARTY

チョイ毒エッセイのようなもの。コメント欄でのやりとりはしません。用事がある人のみ書き込んでくだされ。

decadeⅠ

2009-04-30 12:24:00 | チョイ毒エッセイのようなもの

俺が非常に世話になったI社長が亡くなって、明日でちょうど10年になる。
社長が亡くなった時に、事の経緯に関しては「10年間は口を噤もう」と決めていたのだが、その封印も解ける事となる。
ここ最近はその頃の事を思い出す事も多い。自己への道標の意味も兼ねて、数回に分けて当時の事を書いてみたい。
ちなみに、このブログは一応バイクブログなのだが、このシリーズにはバイクは出てこない。写真も無しの予定。
加えてちょっとヘビーな内容もあるので、興味の無い方は読まなくて結構です。
またプライバシー保護に注意して進行するつもりではあるものの、問題が生じた場合は強制終了する場合があります。予めご了承下さい。
 
さて。
 
俺は物心ついた頃からかなりのヘソ曲がりで、人に言われた事を素直に受け入れる事が出来ない。
ちょっとでも疑問を感じるとトコトン追求し、立場を弁えずに目上の人にですら食って掛かる。
幼稚園や小学校でも問題児扱いされた事もあった。中学・高校に進学してもそれは酷くなるばかりで、授業中に先生と口論になり、授業を潰してしまった事もある。ちなみにツッパリ君ではありませんよ、念のため(笑)。
そういった経験からか、実は俺は学校の先生になりたかったのだが(というか本業と平行して教師をやりたかった・・・、本業ってのはご想像にオマカセ)、コレがやはり下らない意地の為に大学で教程を取るのを止めたので、夢が叶わなくなってしまった。
 
社会に出てからもその性格は変わる事は無かった。
先生たちや上司の俺に対する反応は、大別して3種類。
一つは、完全に嫌ってくる人。つまり、出る杭は打たれるってヤツだ。ですがね、俺はちゃんと先生は先生として、先輩は先輩として認めた上で、間違った事を指摘しているだけの事。黒いものを白とは認められない。勿論物事を追求する過程で自分の間違いに気付いたならば、素直に認めるのだ。
二つは、危険物を扱うかのように、適当にやり過ごす人。まあこういう人とはトラブルは起きないんだけど、信頼はできないかな。
 
三つ。そうかと思うと、稀には俺をものすごく認めてくれる人もいるわけである。
過去にも現在にも、そういった人達はいる。そして俺は、彼らには頭が上がらなくなるのだ。
今は亡きI社長は、そういった存在であった。
 
大学を出てから、俺は一応目的意識もあったものだからフリーターをやっていた時期があった。散々考えてから正式に就職しようと決断した頃には、俺は自分でも「大企業の中ではやっていけない性格」である事には気付いていた。
で、就職先に敢えて零細企業を選んだのである。まあコレはヤル気や能力次第で早く出世できるという理由もあったが・・・。
 
かくして俺は、一件目の看板屋に就職する事となった。
俺の経歴を見て、I社長は俺を先輩の下には就かせず、俺をイキナリ単独で行動するように言い渡してきた。(経年後に本人がそんなような事を言っていた)
一方で俺は入社早々から工場長にイジメられる事となる。
この当時はバブル崩壊直後とはいえ、ほどほどに仕事があった。この会社は零細企業ではあるものの結構な仕事量を持っており、俺は顔繋ぎの為と仕事を覚える為に下請け業者が入る現場に放り込まれる事となった。(ちなみにこの頃の俺の肩書きは『営業』)7時過ぎに帰社してからは、別途言い渡されたデザイン作成と、細かい作業をこなす。
 
俺は自分では一生懸命やっていただけだったのだが、どうやら俺の存在と行動は、それまで取れていた会社内のバランスを崩す事となってしまったようだ。
疑問点を相手にぶつけて解決しようとする俺に対して、その他の人間はみな、陰でコソコソと悪口を言う。社内で言っている内はまだいい。業者どころかお客さんにも俺と社長の悪口を触れて回るので、取引先でマトモに取り合って貰えない事もあったほど。(ちなみに当時のお客さんのほとんどは現在の我社=社長は俺がフォローしているのだが、いまだに当時の事が笑い話として話題になる事がある)
 
俺は相変わらずドサ廻りばっかりで、他の社員との交流はあまり無く、社内で孤立してしまっていた。この頃からI社長に誘われて飲みに行く事が多くなってきた。
そしてある時、会社に短大新卒の女の子が就職してきた。
単独行動の多い俺は、この女の子とはほとんど会話する事も無かったのだが、とある仕事のアシスタントとして2日間、俺と共に動く事になった。
 
この仕事はどんなに効率よくやっても朝早く出て晩遅く帰ってくる事になる位に物量が多く、俺たち2人は2日間、会社で他の社員とは会わない事となる。
何とかこの仕事を終わらせたあくる日に出社すると、社内の雰囲気がオカシイ。
どうやら俺たち2人が、就業中にラブホテルに行ったのでは・・・という事になっているらしい。
なんでじゃあ!!!!!
 
約一ヶ月後、再びその女の子と2人で外現場に出る事があった。
夕方頃、俺のポケベルが鳴る。(この頃は携帯電話は一般的ではなかった)
会社に電話を掛けると、事務員さん(女性)がエラい剣幕で怒っている。
「すぐに帰ってきなさい!!!」
・・・は? まだ作業が終わらないので帰れませんが? しかも何故に事務員さんに指示される必要があるのか?
 
作業を終了して、暗くなった頃に帰社。
すると先の事務員さんと社長の奥さんが大変な血相で俺たちを待ち構えていた。
会話の内容は細かくは割愛するが、どうやら俺たち2人がまたラブホテルに行った事になっているらしい。
行くワケ無えじゃん。
 
何故かこれがキッカケで、完全に社内戦争が勃発。
会社を辞める人、その補填のために入社した人、急遽丁稚先からカムバックする事となった社長の息子(俺より年下)、前出の事務員さんと社長の奥さんなど、全員を巻き込んで揉めまくる。何でだよ、意味がワカラン。
どうやら彼らの狙いは、俺を会社から追い出す事らしい。
俺という人間は「社長の前だけはイイ顔をする、裏表のあるヤツ」だとか、「人間性が欠如しているので営業には向かない」とか・・・とにかく会社の輪を乱す悪いヤツなんだそうだ。
人間性は欠如しているかもしれないが、俺には裏表は全く無い。むしろ裏表が無さすぎて嫌われるタイプなのだ。
俺は一切悪い事はしていないつもりなのだが、ここまでの問題に発展したのでは致し方ない。
「俺、辞めます」と、社長に申し出る。
 
社長が言った。
「それは考えなかったな。君が辞めるくらいならば、他の全員を辞めさせる。」
 
つづく。

コメント (2)
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