ミステリーな森の生活

洋書ミステリー、英語学習、洋画レビューなどから始めましたが、今は、種々雑多(山岳小説、落語など)です。

THE SENSE OF AN ENDING(JULIAN BARNES)

2012年11月17日 | 海外ミステリー(洋書)
2011年の英国のブッカー賞受賞作だ。ブッカー賞受賞作で読んだのは、
過去にKEN ISHIGUROのTHE REMAINS OF THE DAY以来だ。
 
同じブッカー賞だからというわけではないが、雰囲気というか、味わい
に類似した部分があった。
 
ブッカー賞とは、中々、権威のある賞らしい。
選出者が変動し、かつ、良い作品に対して贈られるので、同じ作家
でも、何度も、選ばれることがあるらしい。
 
さて、ストーリーとしては、60歳を過ぎ、定年になり、離婚した妻と一人娘
とよい関係を保ちながら生きている主人公に、40年以上前につきあった
女性 の母親が亡くなり、500ポンドの遺産があると伝えられる。
 
一度だけ、会ったことがあるだけで、まったく、理解に苦しむ主人公だが、
40年前、その女性とわかれた後、親友の一人と付き合っていることを知り苦悶した
過去を思い出す。更に、その親友は、自殺したと知らされていた。
 
そうした過去を鮮明に思い出しながら、40年ぶりに、その女性に連絡を
とろうと決断する。
 
何故、500ポンドの遺産なのだろうか。何故、親友は自殺したのだろうか。
親友の書いた日記があるというが、手掛かりになるのだろうか。
あの女性は、今は、どうしているのだろうか。
 
いろいろな思いの中で、最後の10ページで、思わぬ方向に話は展開する。
あまりに意外だっただめ、読み返してしまった。
 
若いときに、少しは、思い出のある方なら、あの時、違う生き方をしていたら、
今の自分は、どうなっていたかとか、あの人は、幸せになっているのだろうか
とか、いろいろ、考える年を迎える時期があると思う。
 
この作品は、そういう年齢になってから、読んだ方が良いような気がする。
だが、この本は、決して、答えを与えるものではない。

おそらく、KEN ISHIGUROの作品同様、人間の感情の微妙な動きなどを
感じること、じわーとした感覚を味わいたい方に適した作品なのだと思う。



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