どこから、何を書こうか。まず、素晴らしい作品だったと
言わざるおえない。
高村薫の冷血を読んで、トルーマン・カポーティの冷血を
読みたくなったのだが、事実は小説よりも奇なりという
言葉がこれほど身にしみたことはなかった。
ノンフィクションノベルの傑作といわれる本作の完成度に
圧倒された。カポーティは、本作を最後に断筆したという。
本作を書くなかで、犯人のために、より優秀な弁護士を
雇い、死刑までの期間が延びたという。しかし、作品を
完成させるためには、死刑で終わるしかなかったのかも
知れない。
精神異常ではないと判断された2人が、4人の家族を殺して
しまう。お金持ちで、金庫があると思って忍び込んだが、
金庫はなく、小額しか手に入れることはできなかった二人。
証拠を残さないためには、殺人しかなかったのかも知れないが、
必ずしも、それが動機とも思えない。
2人の子供時代からの不幸な生活が2人の人格に決定的な
ものを与えたのだろうか。いや、そうとも言えない。
少なくとも、ペリーには遺伝的な要因はあるかも知れない。
兄妹3人の内の2人が自殺したというのだから。
さて、素晴らしい文体という称賛の声がある。驚いたのは、
一人称の私で、いろいろな人が語っているのだ。会話文では
なく、長々と語っているので、少し、混乱してしまった。しかし、
一人称ではないと書けない。そこまで入り込まないと
書けなかったのかも知れない。
また、読みやすい部分と、横道にそれて、読みにくい部分があった。
キンドル本を読んだ後のせいか、辞書を引くのが面倒になって、
辞書を引かずに読んでしまった。
最後の終わり方の文章の美しさが心を惹かれる。
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