夫婦、親子、家族の絆、男女の愛情、同性の愛情、性、
プライド、怒りなどが、いろいろな登場人物をからませて描かれている。
しかし、作者は、すべてを描きたかったのだろうか?だとしたら、
すこし欲張りに感じる。
そう考えると、一番、描きたかったのは、やはり、運命と、
動かしがたいものであることの人間の無力さなのかも知れない。
主人公は、自分の弟と車道を歩いていて、事故に会うが、
その贖罪の気持ちを処理できないまま、大学を中退して逃げてしまう。
そして、人を愛すること、友人と接することで、雪解けとなり、7年ぶりに
家族と会おうとする。
しかし、最後に、また、自分の衝動的な怒りから、取り返しのつかない
行動をしてしまう。そして、気がついたのではないか。弟と車道を
歩いていた時も、同じようなどうしようもない怒りが湧いてきたのでは
ないかと。
だから、希望は持つべきではないと。
正直言って、ハッピーエンドではない小説は、重苦しく感じざるおえない。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます