この作家のKITE RUNNERは、2012年に私が読んだ洋書のベスト1だった。
その時の感想と似てるのだが、固有名詞、情景描写、現地の言葉に
少し悩まされた。
一方、アフガニスタンという国からこれほどすぐれた作品が出てきた
ことに対して、再度、驚きとともに、読了の満足感のようなものを感じた。
今回の作品は、アフガニスタンに生まれた二人の女性の物語だ。
第一章は、MARIAMの子供時代と悲劇の話になる。
第二章は、LAIRAの子供時代と悲劇の話になる。
第三章は、この二人の女性が、一つのストーリーにつながり、MARIAMと
LAIRAの目で、交互に書かれている。
時代は、死と恐怖が渦巻いている戦争の時代だった。ソ連から共産主義。
タリバンからイスラム原理主義。オサマビンラディンの名前も出てくる。
ニュースでしか知らないアフガニスタンに住むアフガニスタン人の苦境、
女性の人権の当時の状況に驚きと怒りを感じた。
女性にとって結婚相手を親が決めるのは、決して、アフガニスタンだけではない。
日本でも、親が決めた初めて会った相手と一緒になることは過去、多かったろう。
しかし、女性には自立する手立てがない中で、 2番目の妻になったり、
タリバンの時代には、1人では外にも出てはいけない。働いてもいけない。TVも
映画も見てはいけない。など、とても考えられない世界だった。
もし、戦争の悲惨さだけを描いたのあれば、これほど感動する作品にはならなかった
ろう。この作品には人間が描かれている。だから、全ての人に感動を与える。
おそらく、人種や世代を超えての感動なのだろう。AMAZONの書評にも、全ての人に
読んで頂きたい傑作とあるが、その通りだと思う。
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