池波正太郎の短編集を読んでみた。
実は、生まれて初めて手に取った。
テレビ映画では、鬼平や剣客商売など、時代劇
好きなので、池波正太郎の名前は、よく知っていた。
しかし、テレビで見てしまったものを後から、小説を
読む気がしなくて、ここまで来てしまった。
今回読んだのは、時代劇だとばかり思い込んでいたが、
9作品のうち、7作品は、現代劇とでもいうのか、戦後の
日本を舞台にしていた。
どの作品も、いままで読んだことのないような不思議な
世界を描いていたので新鮮に感じた。
しかし、感動を覚えたり、目を見張るような作品ではない
のだ。すごいとか、がーんというのとはちょっと違う。
形容が難しいのだが、淡々としていて、でも、こだわっていて
弱い立場の人間への愛情も感じるのだが、べっとりではなく、
あっさりとでもいうのか、女性の怖さを描いていても、なるほど
なというくらいで終わってしまうのだ。
ひとつ、作品を選ぶとすれば、禿頭記が面白く感じた。
ストレスからか、円形脱毛症か、若はげに悩む青年の物語だ。
戦後間もないころでは、これらの病気になると、今とは比較に
ならないほど落ち込むのだろうなと感じた。
また、時代劇の夢の階段も、なかなか、面白く感じた。
どくどくの世界があるようだ。また、読んでみたくなった。
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