トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

**今日の一歌「年始」

2022-01-05 | 感じるままの回り道
               年越しの膳も詮なきステイ中
                          目出度くもあり目出度くもなし

今日のエッ!品「落し物を頂きました…」

2022-01-05 | 感じるままの回り道
 「落とし物を頂いた」となると窃盗罪か何かの犯罪であろうが、これはお目こぼしを頂きたいのだと切に思う。と言うのも既に首を切られているからであった。きっと「罪を被って人を憎まず」の心持の持ち主だったに違いない。
 年明けの寒波で元日はマイナス1.6℃を記録、テレビに飽きてフイールド作業に出かけた3日も氷点下だった。だから午前のフイールドは到着時は2℃ほどでお日様が恋しいけれどまだ高度が足りず浴びられない。

 池は全て氷が張り冬本番の様相になって、二つ池の埋め立てをしたくても土壌も凍っているから準備運動のつもりで丸太の蜂ホテルを作り始めた。その途中にS先生とSさんがやってきてしばし雑談する。その折「ハヤブサの落したコガモはいらないか?」と言われたのだ。聴けばハヤブサが狩りをした後に飛来する定点でカラスに襲われ落したコガモなのだと言う。以前にも実物を見せてもらったのだがいわゆる「首無し体」だ。狩った獲物は首を落すのが習性なのだとかで珍しくもないと言うけれど小生には実物さえ珍しいし、ときおり水域に姿を見せる野鳥でもあり氷盤下の濁りを見ていると飛来し採餌しているのもうかがわれる。

 個体は前日に回収したものでまだ新鮮だから「食べてみますか?」と言われてその気になった。少年時代は鶏は捌いていたので半世紀以上も前の経験でも役に立つだろうと頂いた。何よりも羽毛が芸術的で両翼を広げて眺めても体毛をなぞっても「美しい!」としか言いようがない。できれば隈取したような顔面を見たかったけれどハヤブサの落し物では望みは叶えられん。

 とりあえず記憶を頼りに湯を沸かして毛をむしり裸にした。皮膚には爪の跡らしき出血斑があった。皮を剥し内臓と翼、脚を外したら握りこぶし大で以外に小振りだ。特筆すべきは胸筋の巨大さで、体躯の半分を占めているようにも見える。飛行する事を止めたニワトリの胸筋などとは比較にならない巨大な比率である。さすが渡りをする野鳥の本領、基盤と言うべきだった。
 内臓は鶏に比較したらこじんまりと小さい感じで、その中でも砂嚢はしっかりと大きかった。注目していた心臓は思っていたより小さかったものの比率から見れば鶏よりダントツ大きい。まあ、当たり前だろう。
 写真で示せば左側が本体で右が心臓と砂嚢だ。砂嚢がしっかりしているためか消化管は短く思えたし肝臓も小さく思えたのだ。食料は十二分に摺りつぶし素早く吸収し余分は捨てる、そんな機能が窺がえる。

 調理は醤油とブラックペッパー、お酒で煮込んだ。ローストして見たかったけれど胸筋以外は食べる部分が少なく、またローリエなどの香料も無かったから無難な煮込みだ。煮込んでしまってからネギやニンジンなどの野菜も入れれば良かったと思ったが後の祭り。
 皿に載せてみたもののフォークやナイフを使えるような小生ではなく台所で立ったまま指でむしり賞味した。腿肉はほんのひとつまみ、背や腰回りは食べれるほどの肉は付いていないのでメインは胸筋である。摘まみ取ると「裂けるチーズ」のように裂けてくる赤身肉である。鶏の胸肉は白身なので長距離飛行する種としない種の違いは明らかでクロマグロとアイナメほどの差があるのだった。
 食味は固くもなく柔らかくもなく薄味だったし脂肪分も無いけれどパサパサ感もしない美味しい感じがする。鶏の胸肉では「美味しい」感じなどしないしパサパサ感が強い。写真は宴の後の残骸だけれどさらにしゃぶって全うした。野生のカモだから狩猟免許がなければ捕獲できない事は承知でもハヤブサの落したものを頂戴しゴミにしなかったのだからお縄になる事は無いだろう。
 しかし、鳥エンフルエンザが流行っている昨今、コロナと共に注意しなければならないのが野鳥との接触で、調理する時は度々手洗いもし、器具は念入りに洗いアルコールをスプレーしたのだが、さてアルコールで良かったのかどうか塩素系でなければいけなかったのかどうか、耄碌してきた脳味噌では確固たる支援をしてくれなかった。これは永田や霞が関に同じだ。

 ボヤキついでにもう一つぼやくとだましだまし使っていた古いデジカメも「レンズエラー」の表示だけで動かなくなった。それでスマホの撮影となったのだけれどPCとの接続に難渋しメールで送り使う事態になってしまった。画面の縦横比は気に入らないし、ここは修理ではなく新調しかないとようやく腹が決まったのだ。コガモ様のお蔭でも腹が暖かいが懐は寒いのに…。
 とは言えコガモ様に深謝、南無阿弥陀仏・南無阿弥陀仏。