トロルお爺の”Satoyaman”林住記

生物生産緑地にて里山栗栄太が記す尻まくりワールド戯作帳

**私本「こきんしゅう」寒中余話の段

2023-01-20 | 温故痴新
         寒の日の泥田にダイブ我なれどカメラお釈迦となるはかなしも
          春の日の光にあたる我なれどかしらの雪となるぞわびしき     古今集・文尾康秀

         寒の田に転べば泥の飛沫立ち花なきあぜの霜に散りけり
          かすみ立ち木の芽もはるの雪降れば花なき里も花ぞ散りける    古今集・紀貫之

         ヤゴのため霜の田に入り泥を打つ我が足指はアカネのごとし
          君がため春の野に出でて若菜摘むわが衣手に雪は降りつつ     古今集・光孝天皇

         我だけで誰にも見せぬ泥まみれ田んぼ沈した知る人ぞ無し
          君ならで誰にか見せむ梅の花色をも香をも知る人ぞ知る      古今集・紀友則
          
         ひさかたの光さえざえ寒の日に氷割りつつ爺は散りなむ
          ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ      古今集・紀友則

         泥の色うつりにけりな六尺の我がみ田に落つ悶えせぬ間に
          花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせし間に 古今集・小野小町

         服ひちて絞りし水は凍れるも寒入る今日の風のやさしさ
          袖ひちてむすびし水の凍れるを春立つこの日風やとくらむ     古今集・紀貫之


※ 表題の「こきんしゅう」、感字三案あったのだがいかにも妖しく不適切でイチジクの葉も無く、泣く泣くひらがな表記とした。我が心を汲んでくだされ!