GITANESの妄想もしまいには尽きる。
それとは無関係に・・・。
部屋でコロッケを食べたのはいいが、ちょっと買いすぎたようだ。
これを全て昼飯がわりに食べるのは無理だから、晩飯のおかずに
置いておこう。
残りのコロッケを茶色い紙袋から取り出した。
大体、コロッケの類を茶色い何の変哲もない紙袋へ入れられると
美味さ感は3割増しになると思っている。
普通の袋から取り出したコロッケの美味いこと!
ノックの音がした。星新一ではないが、ノックの音がしたのだ。
「はい?」
「いい匂いがしたものですから。」
「はい?」
ドアを開けると『年中タキシードを着ている男』が立っていた。
名前を「山田八郎」というらしい。本当はどうかは知らない。
偽名でもなんでも、ちゃんと家賃を遅れずに納めてもらえれば
それでいいのだ。
反対に身元がいくらしっかりした人でも家賃が遅れるやつは
追い出すしかないのである。
山田「いい匂いが二階まで漂ってきたんですよ。」
私「噓でしょ?」
山田「ええ、嘘です。紙袋を持って帰ってこられたのが
見えたので。あ、コロッケかと。」
嘘つきでもなんでもいい。家賃をちゃんと(略)。
私「食べます?」
山田「もちろん。」
私「ひとつあげますけど約束してください。決してここで歌わない。」
山田「むぅ・・・難しい注文ですが頑張ります。」
『揚げ物屋』の店頭では、かなり耳を澄まさないと聴こえない
程度の音量で「揚げ物屋」のテーマ曲が延々とリピート再生
されている。なにやらコロッケの歌らしい。
コロッケを食べた客のひとりが感激してすぐに曲にして
揚げ物屋に献上したらしいのだが、実はその曲を作ったのが
この山田八郎氏だとのことだ。
以前コロッケをひとつおすそ分けしたとき、目の前で朗々と
その曲を歌われて苦労した。
自称声楽家。そして作詞作曲もやるとのこと。
もうなんでもいい。家賃をちゃんとくれてるのだからほかのこと
はどうでもいいのだ。何度も言うが。
私「山田さん、この写真の人知りません?」
山田「今コロッケを食べることに集中させてください。」
私「すみません・・・」
ちなみに、彼が作ったコロッケをたたえる歌は
これらしい。
↓
そしてやはり人探しは進まないのである。
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