■ケショウヤナギ■
帯広河川事務所区域内には、日本国内で十勝、日高、渚滑川、長野県梓川にしか分布していない重要種のケショウヤナギが自生しています。特に札内川は日本最大の群落を形成しています。
札内川の河原はゴロゴロとした石に覆われており、植物が育つには不向きですが、ケショウヤナギは石と石の間のちょっとした隙間で芽吹くことができ、約10年で10m以上に生長します。札内川は河床の移動が激しく、洪水による河岸浸食により、寿命に満たないうちに倒壊するケショウヤナギが多く見られますが、同時に新たな河原が形成されており、ケショウヤナギの更新に適した環境が提供されています。
ケショウヤナギの生育には、洪水による河床の変動が重要となっていますので、河川で工事を行う際、ケショウヤナギに十分に配慮していきたいと考えています。
□名前の由来
枝も幹も葉も幼い頃は白粉に覆われている。また、幼い枝は紅色である。白粉と紅色の枝の組み合わせが非常に美しく見えるヤナギであることから、「化粧柳(ケショウヤナギ)」と呼ばれる、という説が有力である。
□分布
日本の分布は、長野県の上高地、十勝、日高、網走の渚滑川と限られた場所に限定されている。十勝は日本最大の生育地。
□生育環境
日当たりの良い、玉石の多い砂礫地。
□形態的特徴
樹高20~30m。幹はほとんど分かれずほぼまっすぐ伸び、下の方から生えている枝は、枯れていることが多い。太い幹の樹皮は縦に深く避けている。若枝は白い粉がつく。葉は細い卵形で肉厚。
落葉期には、葉がないので枝先の紅色が目立ち美しく見える。生育場所が河畔なので「河畔林の女王」とも言われている。
□繁殖生態
5月上旬頃に開花する。ヤナギ科の中では珍しく虫ではなく風によって花粉を飛ばし受粉をおこなう(風媒花)。
種子は6月頃に成熟する。種子には綿毛があり、風により散布される。その距離は数百m~数十kmにまで達するという。
種子は、湿っている場所に着地すれば、2,3週間で発芽する。発芽後の芽生えは日当たりが良い川原の礫・石などが多い場所に定着しやすく、日陰や草地、火山灰質土壌などの場所ではほとんど生存できない。
□寿命
一般的には60~70年という。上高地には推定樹齢150年以上のものがあるという。
□他生物との関わり
ケショウヤナギを含め、ヤナギ類はその年に伸ばした枝の先に新しい葉をつける。そして、季節に関わらず、木の生長とともに早くから出た葉を順番に落としていく。一年を通して頻繁に落ちるヤナギの葉は川の中に積もり、魚や昆虫など水中の生物のエサとして役立っている。
■帯広河川事務所のホームページより
したっけ。
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