いつもの喫茶店。
衝立の向かう側の四人掛け席に若い男女ふたりがテーブルを挟んで真向かいに座っていた。
時折会話が聞こえて来るのだが、聞き上手の彼が発する笑い声がとても爽やかで、いい感じの二人だなと思っていると、途中から男性が小声になった。その小声の発する角度がさっきと違う角度から漏れ聞こえて来るので向かい合わせの席から、彼女の隣に彼が移動しているようだ。すると移動後の会話はすべて小声で、あれだけ喋っていた二人の沈黙の時間がやたら長くなる。どうも「何か」をしているようだ。まあ~最近よく道端でも欧米チックにベタベタしているジャパニーズカップルをよく見掛けるが、どうにもジャパニーズには似合っているとは思えない昭和の親父。死角と言えば死角の席ではあるがそれにしてもここで?と無関心を装いつつ、耳は衝立を乗り越えそうな程、大きくなっていた。まあ色々と「触れ合いたい頃」なんだろうな~と思っていると、彼はまた向かい合わせに座り直した。不思議な動きをするんだな~と思っているとしばらくしてまた隣へ移動・・・それを繰り返していた。
きっと物足りなかったのだろう?
ただ何だかみっともないよ。