昨年の夏に当社管理物件において入居者さんがお亡くなりになった。
警察から連絡が入った時点ですでにご遺体が搬出された後だったので、早速室内確認から始めるのだが、刑事さんより「親族は遠方の上、新型コロナで遺体確認の上京が出来ない」とのことだったので、連帯保証人の弟さんへ入室許可と残置物放棄の書面を作成し、郵送準備をしていたが、暑さで臭いがきついと近隣から多数連絡が入り、取り急ぎ連帯保証人さんに電話し、書面は後回しとして口頭で了承を得た上で遺品整理業者さんと室内を立会いする。これまでお亡くなりになったケースは何度もあったものの、ご遺体が傷まれていたケースは少なく、室内の状況には言葉が出なかった。(今後の保険金請求に備え)室内画像を撮影し、特殊清掃見積書を大至急依頼し、到着と同時にすぐに作業を開始する。
並行して今回亡くなられた入居者さんが契約時に加入していた火災保険の特約「死亡時における修理費用保険金」とオーナーさんが加入されていた火災保険と併せて各保険会社へ事故報告と請求作業を進める。臭いがついてしまった室内内装や建具、設備はほぼ全面改修・交換するので消毒費用を含めて最終的に約200万近い見積金額となった。オーナーさんご加入の保険会社の対応が呆れるほど遅かったこともあり、残置物撤去から4ヶ月が経過した年末にようやく内装工事を開始し、設備設置・清掃そして2010年以来のお祓いが完了したのは事故発生から約6ヶ月となってしまった。そして告知あり物件として募集開始を行い、先日成約となった。ちなみに賃料の減額はほとんどなかった。
今回の事故で改めて思ったことは「身内の連帯保証人さん」の重要性である。保険金請求時に死亡診断書等が必要となるが、身内でないとなかなか難しい。現在賃貸保証会社のみでの契約が増え、保証人さんを立てないケースが増えているので、保証人さんがいない場合での対応策を保証会社を始め色々と確認する必要がある。ちなみに現在入居者さんの保険会社では死亡証明書類をオーナーさんの署名で省略する動きが進んでいるとのこと。
そして何よりオーナーさんが死亡事故の家賃補償特約にご加入されていたことは何よりだった。入居者さん加入の保険では最大50万の補償であったが、オーナーさんの保険では100万で最大で150万なので見積金額よりは少なく、また認定されなかった費用もあったものの、各項目の削除・軽減・調整を行い、(敷金を2ヶ月分預かっていたこともあり)保証人さんが手出しすることなく賄うことが出来た。
今回のような自然死の場合は「故意」ではないので、当社としては遺族への費用負担は心情的になかなか難しいと考えているのでオーナーさん加入の火災保険の特約は大変有難かった。さらにこの特約は通常家賃補償特約加入が条件となるので、事故後の家賃(空室期間や新規契約での旧賃料とし減額分)も補償される。
内装が終わった時点で室内を確認すると、柱に弟さんからの「飲みすぎに注意。身体大切に」と書かれたメモが残っていた。お酒好きだった故人のご冥福を心からお祈りする。合掌・・・