山口国体のフェンシング会場となった、総合運動公園体育館。兄ちゃん達のハンドボール大会が行われている。同じくテニス会場となった屋外は、駐車場を含めて広い広い。
一角には幼児の遊具も申し訳程度にある。30度傾斜のロープで組まれた網目を登り、鎖と丸太の吊り橋を渡って滑り台で降りる。
「しべりだいやりたい・・・」と張り切る悠雅くん。黙って見ていたら1時間でも続ける。
次は、ビニールシートで覆われた、公式土俵の上で「ハッケヨイ」次いでドングリ拾い。
歓声を上げながら嬉々として拾う。こればかりは初体験。「じいちゃ~ん、あったよ~~」。そういえば二人の兄ちゃんもこの年ごろには、丁寧に拾い集めて、クルマの中がドングリだらけになったことを思い出した。さすが兄弟、似たようなことをする。
一つ拾っては持ってきて見せてくれる。その一つひとつが、実に豊かに実っている。足の踏み場もないほどドングリの蔕(へた)は無数に落ちている。
ということは今年はドングリの当たり年かな。ドングリ(団栗)はブナ科のクヌギ・カシ・ナラ・カシワなどの果実(正確には種子ではない )の総称で、「しいの実」とも言われる。
ドングリは、冬眠する動物たちにとって欠かすことのできない貴重な越冬食糧なのである。台風や大風によって、熟成しないうちに落とされたりすると、彼らの食糧事情は一変する。
空腹に耐えられぬのは万物の生理。危険を承知で、人里に下りて食糧調達に励む。そこには人間とのトラブルは避けて通れない。
森林が守られ、里山が保護される施策がなおざりにされることで、豊かな自然は失われ、自然界の生態系まで壊されて行く。森を守り山を守るようになれば、クマもイノシシもタヌキも、自らのテリトリーの中で穏やかに暮らすに違いない。そうなると自然に食糧自給率も今より上がってくるだろうし、山津波などの解消にも期待が持てる。
どんぐりコロコロ喜んで、しばらく一緒に遊んだが、やっぱりクマやイノシシの越冬食糧になるのが本分であることに気が付いて、悠雅くんの手からこぼれて逃げて行ったとさ。