2012.9.9 母校運動会
まだ真夏の太陽が照りつける時期に、一通の案内状が来る。母校の高校運動会。
丁重な挨拶に続けて「ご来臨の栄を賜りたい・・・」などと書かれている。開会式、閉会式の内容、全種目のプログラムも添えられている。目立つように黄色い用紙の「駐車券」と大書した1枚を、フロントウインドウ付近に置くようにとも書かれている。
身分不相応な案内状に恐縮しながらも、できるだけ都合を付けて毎年顔を出すよう心がけている。母校の運動会はどういうわけか体育祭とは呼ばない。昔から運動会という。
130数年前の創立時に使われていた呼び方を今でも伝統的に使っているのだろうか。それはそれでいい。この日一日は体育云々と言うより、生徒のアイデアを生かし、飛んだり跳ねたりする遊びを楽しんでいる和やかさがある。観客席も来賓席も笑いが渦巻く。
白・赤は付属中学校の色分け。高校は青・紫・緑・黄の4色団に別れる。それぞれの団に代表がいて、開会式の入場や、午後一番の全体行進では各色の大きな旗を持つ旗手をつとめる。それはカッコいい役回りであり憧れであった。
思えば53年前の秋。緑だったか紫だったか忘れたが、間違いなく色団の代表になった。というかならされた。オッ!憧れの旗手をつとめるのだこの俺が・・・。
ところがどっこい、身体は小さい徒競争は得点に貢献しないビリッケツ。
そこへもってきてスポーツ万能の大男がカッコよく現れて、多くが彼に旗手をやらそうや~と、反旗を翻すではないか。旗の話だけに反旗を振る奴もおるわなー。
仕方なし、旗手のすぐ後を一人で行進、皆を従えることで色団代表の面目を保ったほろ苦い体験が頭をよぎる。足の遅さと身体の貧弱さは、当時の旗手としては失格の要素であったのだろう。今はどうか、やっぱり体格のいい、インターハイにでも出るような実力の持ち主が堂々と団旗を翻しているようだ。
秋の風物詩を代表する運動会、どうもあまりいい思い出にぶつからない。
「秋といえば・・・」 ちょっと切ない青春が透けて見える。