芙蓉の花の向こうに
朝夕の涼しさに気をよくして、標高200mのお城山に登ろうと気負い込む。
ところが山道に入ってみると、これまでに感じたことがないほど汗が出始める。3分の1も登ると、顔を振ると顎から滴り落ちる汗。この汗を流したくて敢えて登るのではある。
それにしてもここ2・3日の、ぶり返した蒸し暑さは半端ではない。何にもしていなくても身体中ジトッと濡れてくるほどだから、ウオーキングしかも山登りとなれば絞るほどの汗が出てもおかしくはない。
だが待てよ、この汗は本当に蒸し暑さのせいだけか?自問自答。
後ろめたさは幾つかある。
今年に入ってお城山に登るのは何回目か振り返ってみる。片手で足りるほどではないか、いやそこまででもないか。兎に角昨年あたりとは比較にならないほどのサボリよう。
お腹に手を当てては「こりゃどげんかせんといけん・・・」と思いながら、我が身を可愛がってきた己を叱る。そんなおサボリ癖が、体内に余分の水分を貯め込んだのに違いない。
やれ忙しいの、アレをやらんにゃいけんのと忙しさにかこつけて体重が増えるのを見過ごしてきた。そのうち今年の暑さがやってきて、熱中症対策などと益々運動不足に。
そんな反省を込めて、身体中の汗を城山登山道に置いて来るつもりで久しぶりに登った。お城に着いて思いっきり汗をぬぐったらタオルが重くなるほど。
冷たい飲料水でひと休み。同じ城山登山の常連が、プロ野球解説者よろしく野球談議に花を咲かせている。こちらも暇だ、聞くともなしに聞いている。
巨人がどうだ、カープのCSがどうだ、など日本のプロ野球の話ではない。
黒田がいいね安定してるよ、勝ち数こそ少ないが実力は上だね・・・。ダルビッシュは・・・イチローは、青木は・・・とアメリカ大リーグの選手評価に、言葉が交錯するほど熱が入る。年齢は遥かに先輩グループとみた。よし負けてはいられない。
芙蓉の大輪の向こうに、見事に実る黄金色。食欲の秋ではあるが、今年ばかりは「食欲を抑える季節」にして、カモシカのような脚と、スリムなナイスバディを取り戻そう。
エッ?誰がそんなことを言ったかって?人が言ってくれるのを待っていたら、つるべ落としの秋の日が暮れてしまう。暮れる前に自分で言って喜んでおこう。