「世の中、ちょっとやぶにらみ」

本音とたてまえ使い分け、視点をかえてにらんでみれば、違った世界が見えてくる・・・かな?    yattaro-

「遠ざかる青春」

2012年09月29日 | ニュース・世相

       
           至る所で見られた映画のポスター

「岩国唯一の映画館休館・きょうから不定期での営業へ」
地方版を飾る新聞の見出しが目に飛び込む。
噂には聞いていたが、ついにその時が来たのかと、何かしら責任めいた言いようのない淋しさが胸に迫る。もうちょっと足繁く通ってあげればよかったのに・・・、などと。

1956年の開館から続く通年営業が、56年という歴史に幕を引くことになった。今日から休館。利用者減のため。
一つのビルに三カ所のスクリーンがあり、470席が用意されていた。約20年前には年間20万人が映画を楽しんだ。ところが昨年度は4万人まで落ち込んだのだという。

人々の映画離れが進んだのか、市民感情の中の文化水準の低さを物語るのか、いずれにしてもこの町には、気軽にいつでも行ける映画館はなくなったということ。
ただ、文化水準が低いと言われても、話題になった観たい映画がなかなか上映されなかったという不備があったのも間違いない。
1日がかりで遠く離れた町にわざわざ出かけて行くか、少し待って、ビデオ屋さんのレンタルを待つか、というじれったさを何度感じたことだろう。
それにしても、岩国の映画館で映画を観たのはいつのことだろう。

わが青春と映画全盛期が重なる。アラカン・千恵蔵・右太衛門・裕次郎に旭・・・。
数限りない銀幕スターが目白押し。ざっと数えても10カ所はあった映画館。どちらを覗いても手に汗握る活劇が観られた。かつては東宝友の会会員になって、加山雄三・星ゆり子、三船敏郎・池部良など、脈略も何もない、単にスターに憧れて月に何度か通ったものだ。

良くも悪くも大きな大きな娯楽の親玉であった。ここに通うことで明日への活力が養なわれたものだ。銭湯のおばちゃんからビラ下券を渡されて、娘さんの観たい映画のガードマンとして引率した遠い昔もある。要するに、わが青春と映画とは切り離せない仲なのである。時代の移り変わりと言ってしまえばそれまでだが、なんとも淋しい思いがする。

自分が年を重ねるのは承知の上だが、若き血をたぎらせた青春の面影が、ひとつまたひとつ消えて行くのを目の当たりにするのは、まさに秋深し・・・を思わされる。

コメント (6)
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