畑に吹く風

 春の雪消えから、初雪が降るまで夫婦二人で自然豊かな山の畑へと通います。

連載149「林檎」(その1)

2018-04-21 04:49:44 | 食べ物

     林檎(その1)

  その昔、昭和四十一年に国鉄に入社した頃には、この辺りの職員の年中行事があった。

春の千葉方面への潮干狩り。秋の長野方面への林檎の買出し。

そして冬の静岡への蜜柑の買出しである。


 入社したばかりの秋、同じ線路班の先輩に林檎の買出しに誘われた。

ある日曜日、鈍行列車の乗り継ぎで長野へと向かった。

行き先のあてなど無い行き当たりばったりの行動である。

農家の軒先で交渉し、しばし後、交渉成立。先輩達はその駆け引きも、楽しみだったのかも知れない。

重い、リュックサックを担いで帰途についた。


 数年後、同じ先輩が一人で出掛け、気に入った農家を見つけたと言う。

翌年の事と思うが今度は列車でなく中古のバンで一緒に出掛けた。

そして間もなく先輩は病を得、定年を待たずに亡くなってしまった。


それからは、私の家族のみが、その農家を毎年訪問する事になった。

家族構成が似ている事もあり、お互いがすっかり気に入ってしまったのだ。

             (続く)

           

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お祝いと言う事にしましょうか

2018-04-21 04:49:19 | 食べ物

 良い事が有ったし、婿さんは休みで早く帰宅したし、それではお祝いと言う事にしようと決まった。

スベルべも多少は手伝ったけれど、ほぼスベルべママの奮闘のたまもの。最後と思うさつま芋で「大学芋」です。

 

 ミネラル補給の海藻料理「ヒジキ煮」です。

こんな時に「打ち豆」が活躍するのですよ。

 

 前日、スベルべ夫婦で山の畑で採って来た野菜の漬物。

4か月近く、深い雪に埋もれていた野菜の美味しい事。漬物と言うよりもサラダに近い感覚かな。

 

 これは、スベルべが畑、そしてハウスを覗いた帰りに採って来た「コゴメ」です。

着いたゴミを取ることから、茹で上げるまでスベルべトーちゃんの仕事。

 

 メーンはこの手作り餃子。

80個作る予定で、仕掛けましたが具が無くなって70個ほどです。

 スベルべも手伝ったけれども、下手で「ワンタンみたい」なんて言われる始末。

ところが、婿殿が手伝うと手際の良さと、出来上がりのきれいさには驚くばかり結果に。

 

 さて、昨年頂いて、何かのお祝いに開けようと思っていた、取って置きのワインが登場。

いやー、これは美味しかったですねー。最後の一滴まで深い香りと余韻を残す名品でした。

 下さった方は、きっと色々と吟味されて下さったのでしょう。

あらためて御礼申し上げます。御恩はきっとアレでお返ししますからね。

 

 と、言う訳で最近は毎日賑やかで楽しい食卓になりました。

一年前には思いもしなかった、嬉しい事態になった我が家です。

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怖く、そして強い自然(その2終わり)

2018-04-20 12:52:03 | 自然

 

 斜面にしっかりと花開いています。

逞しさと言うか、生命力には驚かされました。

 

  両側の土が洗い流され、その間でわずかに残った土に球根は残っていたのです。

ここまで、残るとは到底思えなかった斜面の荒れ方でしたから、嬉しい事です。

 

  土が、ドンとまとまって落ち、カタクリの根、球根もそっくり落ちたよう。

それでも、球根さえ土に埋まっていたら大丈夫なんですねー。

 

  まとまって生えた株です。

きっと、一つの花からこぼれ落ちた種子が、そっくりそのまま芽生えたのでしょう。

 

 石の間からの芽生えです。この山の特徴で石は丸みを帯びています。

このことから、この山が魚野川が作った氾濫原が持ち上がって出来た河岸段丘の山だと言う事も分かるのです。

 13年前の中越地震の際も、我が家の裏手で大規模な土砂崩壊が発生しました。

もう、緑を取り戻すのは無理、いや取り戻すにしても何年もかかると思ったのに、2、3年で緑を取り戻したのでした。

            (終わり)

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怖く、そして強い自然(その1)

2018-04-20 04:46:39 | 自然

 

 先日、ようやく除雪が終わった山の農道です。

なんだかんだと渋られた除雪だったが、日当たりの良い所など除雪する前に道路は出ていた。

 昨年の水害での陥没箇所です。セイフティーコーンが雪で曲がってしまっています。

右上、この辺りの斜面が最もひどく崩れ、カタクリのお花畑も直撃されていたのでした。

 

  大きく崩れた斜面の下は、一面のカタクリのお花畑だったのです。

でも、目を凝らすまでも無く、紫色のカタクリの花が見え始めました。

 

  土がむき出しになっているのは、奇妙な形で崩れ残った土柱状態の塊。

一冬越えて、風化でも無いけれど、周囲が削られて丸みを帯びた形になっています。

 

  ほら、カタクリの花ですよ。

あんなにひどく崩壊したと言うのに、わずかに流されず無傷で残った斜面に咲いていますよ。

 

  何という自然、カタクリの逞しさでしょう。

流された石の間からさえ芽を出し、花を咲かせていたのです。

 

 カタクリの花は日が高くなるにつれ、花弁が捲り上がる。

これが、また涼しい夜になり、朝が来ると花弁は下向きに開くようになります。

         (続く)

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初山は楽しくそして疲れます(その2終わり)

2018-04-19 11:51:01 | 山菜

 こんな斜度が45度以上にもなる斜面が連続する山なのです。

雑木が雪、雪崩の圧力で、すべて下方にたなびく様に曲がっていますよ。 

 

  さて、もう一度しっかりと斜面を踏み踏ん張る。

山登り、登山と同じで転落防止には三点支持が原則。すなわち四肢の内一本だけを動かすのです。

 

  左上方には下の集落も見えます。

下から見上げたら、とても人間が登られるような斜面には見えない事でしょう。

 

  おっ、また赤い独活の新芽ですよ。

この後、2本だけ食べられるサイズの物を見つけ、初物としてゲットしてきました。

 

 軽トラの荷台の上に採って来たゼンマイを広げる。お、独活も2本見えますよ。

広げた花模様の布は「ゼンマイぶうとう」と呼ぶ専用の採取、運搬用着物。

 古い寝るなどの着物の袖を取り、その部分を補強して使います。

ひっくり返して、裾の部分で腰を縛り、よっこらしょとひっくり返し袖を通すとプロの姿に。

 こうすると、四肢の内、特に肝心の手が自由に使えて安全に斜面も走れます。

雑木をロープ代わりにして、斜面に反動を使って飛び移ったりと自在に山を駆け巡ります。

            (終わり)

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