夢見るババアの雑談室

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ほぼ身辺雑記です

納村公子著「大漢風」 愛育社

2008-07-10 23:47:45 | 本と雑誌

納村公子著「大漢風」 愛育社
項羽と劉邦

司馬遷著「史記」をもとに制作されたドラマをノベライズした本

計ると4センチの厚みがありました

軍神と呼ばれ個人の武勇は卓越したものがありながら 己の力を恃みにしすぎて
人の心 名家の出ゆえに 民の思いが判らない貴公子 項羽

対して出は卑しく女好きな調子いい嘘つき男 劉邦

しかし幾度も死の危機を乗り越えて 最後に項羽を 講和と言って騙し・・・

四面楚歌の状態に置いて 殺したのは劉邦だった

歴史的に見れば勝ったのは劉邦かもしれない
しかし一人の男として見た時 友にしたい人間ではない

烈女悪女の妻も馭しきれず 死後に憂いを遺している

女好きゆえに

しかも項羽を殺し 周囲に帝位についてくれと言わせ なる人間的な嫌らしさ

そうしてついた位で 今まで自分の為に戦ってきた仲間を疑い 不幸な死へ追いやっていく

その劉邦の死後の呂夫人の凄まじいまでの専横ぶり

考える事が苦手で行動あるのみ
敵には容赦ない項羽も理想的とは言い難いが
彼の死は 織田信長の死を思い出させる

どちらも そこまで必要かと思えるほどの残酷な死を 敵と思う人間 集団に与えている

その恨みは 死を与えた人間に向かったのではないかと

嘘つきで自分の目的の為なら 幾度の裏切りを与えるのは平気で 自分は相手を許さない
つまり卑怯者で最低な人間でないと 乱世は生き残れない

そういう人間の子孫が政治家となっている国
二枚舌はお家芸の国

美女 虞美人

もう少し 項羽が賢ければ 狡い人間であったなら 早い段階で劉邦は殺され 歴史は変わっていただろう