夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「待っているからね」

2008-07-21 21:44:40 | 自作の小説

気のせいかと思っていた 

違和感・・・・何だろう

歯磨きをしていると鏡に白いものが写る それは背後の浴室の丸い照明器具だと思っていた

ただ それは 目の端に姿を捉えた時 白い横顔になっている それも逆様の

戸を半分ばかし開けていると脱衣所の向こうに 白い顔のほっそりした影が行き来する

少しずつの異変

気のせいかもしれないそれ

寝ていて壁の影を見て窓が開いているのだと カーテンがきっちり閉まっていないのだと カーテンの模様が 窓の手すりと重なって 人の顔のように見えるのだと

明るくなってから気付いた そこは窓ではない 窓は1Mむこうで終っている

ただの壁のはず

では夜に見えたあれは何なのだろう

正直・・・深く考えようとは思わなかった

気にすれば・・よくないのだ

そういう気がしていた

眠っていて聞こえる声も 外を歩く人の話し声だろうと

そう思い込もうとしていたのかもしれない

白い顔の影は部屋をうろつくようになった

こちらが確認するように見つめると すっと消えてしまう

不思議と怖くなかったのだ

私はそれが近づいてくるのを 傍に来るのを日々待っていた

とり殺すのなら殺せよーむしろ開き直った気持ちでいた

本を読んでいても眩暈がしてテーブルが近づいていることがあるし 悪化するばかりの体調が嫌だった

その日も 読んでいた本を枕にテーブルに突っ伏していると・・・

「コマルンデス」と小声で何かが言う「コワガッテクレナイト・・・・・」

気分が悪いのにーと ひどくイライラした

「怖いのは嫌いよ」

とかなり邪険に言ってみた

「アタシモ・・アタシモ コワイノハ ニガテナンデス」

「怖がるふりも馬鹿みたいじゃない わざとはできやしないわよ」

これでは まるで いじめっこだと思いつつ

すると その影は言った

「ジャア ベンキョウシテキマス」

そう言って影は消えた

わたしは その影が勉強して また出てくるのを 妙に楽しみに待っている

時々 独り言で「待っているのに まだ出ないの?」と呟いてみる

あの影は 焦っているかもしれないーセカサレテ デルモノデハ ナインデスーって


永田俊也著「落語娘」講談社文庫

2008-07-21 20:13:58 | 本と雑誌

永田俊也著「落語娘」講談社文庫
永田俊也著「落語娘」講談社文庫
永田俊也著「落語娘」講談社文庫
表題作「落語娘」は2008年晩夏映画公開
主演はミムラさん

解説はその映画を監督した中原俊氏
裏話もちょいと楽しいです

明治四十年十二月二十九日 年納めの昼席を終えた後 芝川春太郎は帰宅の途中に長屋の焼け跡を見た
家に着いてすぐ噺を書き上げるも そのまま絶命

その後 この噺を高座にかけた噺家も最後まで話すことなく息絶えた

そんな曰く付きの噺を 香須美の師匠 平佐が演じることになる

中学生の頃―落語好きの叔父に連れられ 寄席に行った香須美は 三松家柿紅の『景清』に魅せられる

死期近い叔父の前で 落語を話した香須美は 将来は落語家になりたいと思うようになり 高校も大学も落語が出来るところを選んできた

けれど憧れで目標の柿紅には新弟子にとって貰えず たまたま居合わせた三々亭平佐に弟子入りを許される

落語を至高の芸として更に高みに上げ 下卑た芸は切り捨てようとする柿紅

対して 庶民の笑いも大切にし 妻子が交通事故で死んでからは古典を演じなくなった平佐

彼は呪われた 何か憑いている噺を最後まで演じきれるだろうか
息呑むクライマックス

柿紅と平佐の会話

女弟子 前座として 他の師匠 弟子達から いじめに近い扱いを受けながらも 折れない香須美のしなやかな強さ

女名人として 男には太刀打ちできない 色気 なまめかしさ 優しさ
本物の長屋のおかみさんを体現できる噺家に成長するだろう 落語娘 香須美さん頑張れ!と声援をおくりたくなります

http://www.rakugo-musume.com/

↑「落語娘」映画公式サイトです

http://www.cinema.janjan.jp/0805/0805167220/1.php

↑こちらは映画の森から

同時収録の「ええから加減」
こちらは女漫才師の話
漫才師である妻に優しい・・・けれど正体はとんでもなかった男

隠し妻もそのガキも三人まとめてピラニアいるアマゾン川へ投げ込んでやりたいイヤらしさです

相方との互いへの思いやり

濱子と宇多恵
最後の漫才まで 情も見事に描き切っております

こちらもドラマ化すれば 配役は大切ですが―良いものが 作れるのでは?と 思います


また暑い・・・と ぼやきつつ(笑)

2008-07-21 14:11:16 | 子供のこと身辺雑記

また暑い・・・と ぼやきつつ(笑)
また暑い・・・と ぼやきつつ(笑)
また暑い・・・と ぼやきつつ(笑)
瓜をいただいたので 卵・牛乳・氷・ちびっと蜂蜜など入れて ガガッとミキサ―にかけます

ペットボトルの空容器に入れて冷蔵庫で保存

今日のお昼は有り合わせで すき焼きもどき風に―

外は多少には風がありますが 暑いです


日本推理作家協会編「事件現場に行こう」日本ベストミステリ―選集33 光文社文庫

2008-07-21 08:30:33 | 本と雑誌

阿刀田高著「裏窓」 マンションの窓から見える家の事で苦情を言い立てる田村夫人は 豚の顔こそ 犯罪の証拠と言い張る
果たして 夫人の言い分は正しいのか?

綾辻行人著「崩壊の前日」 不条理な繰り返される会話 ホラーか妄想か
その狭間をたゆたう

北村薫著「かるかや」ねっとりした女の文章が綴る物語
再現される会話 情景
何処までが事実か

ひと夜遊ばれただけの女の恨みにみちている―て書けば 穿ちすぎか

小池真理子著「彼らの静かな日常」 一緒にすき焼きを食べ愛し合ったあと 彼は死んだ
楠の枝にロープをかけて

あれはそれとも私?

繰り返されるそれは― 死はいつも同じ形で行き来する

五條瑛 著 「青き旗の元にて」
青い統一旗 北も南もない朝鮮半島を夢見て
けれど時代は移り 男は売られる

佐野 洋 著 「情報漏洩」 タイトルは堅い
どれだけ大きな事件かと思って読んでいると―そう来たかと 皮肉なうっちゃりを食らう
未解決の事件に心を残しながら定年を迎えた男のもとへ 女性記者が訪ねてくる
彼女は未解決事件に大きな動きがあるのだと言う

永井するみ著「冬枯れの木」 山崎が日本語を教えているナディームに放火犯人の疑いがかかる
心配した山崎が調べると―

夏樹静子著「あのひとの髪」 夫が急死しその通夜の席で若い女は言った
死んだご主人の子供が わたしのお腹の中にいます

その場で こんな事を言い出す事態 随分と非常識でいやな女である

いやな女である自分を反省せず正当化し恥じない

読みながら 妻 松坂慶子
父親を騙る若い女 黒谷友香をイメージしていた

新津きよみ著「種を蒔く女」 嫌がらせにちょっとしたイタズラを楽しんでいた女
好奇心を満足させようと 波風立てようとした家庭を覗くと―

法月綸太郎著「素人芸」 浪費癖のある妻への怒りが爆発し 気が付くと 死んでいた

詮索好きな隣人は警察を呼び

男は誤魔化そうとするが

馳 星周 著 「インベーダー」 落ち目の演歌歌手がテレビで歌っている

男の家庭は彼に崩壊させられたのだ

借金 父の死 姉の自殺
生きていく為に男が選んだ皮肉な道

深谷忠記著「無意識的転移」 殺人事件と強姦未遂
裁判を傍聴しながら刑事の胸には ある疑惑が生まれる

本当に犯人だろうか

二転三転する疑惑の中で 刑事はある決心をした

福井晴敏著「サクラ」後味の良い物語
ほっとする読後感があります

代役を頼まれた夜 事件は大きく動いた

宮部みゆき著「いしまくら」 石崎の娘の手伝って欲しいお願いとは―
殺された娘の悪い噂を 事実を確認 調査して消してあげること

石崎は娘に協力する前に動いてみた

そして別な事件の犯人が逮捕される

山崎洋子著「翡翠」 レズ・バーのバーテンの死期を前にした企みは看過され利用された
かくもしたたかな女たち

若竹七海著「鉄格子の女」 妊娠三か月で死んだ妻
その後 自殺した画家の絵を その別荘に行った 彼の個展の手伝いをすることになった人間達― は
恐ろしい考えに到達する

裏切られた男の復讐だったのか
それは―

解説は細谷正充さん

好きな作家に 好きな作品に巡り会えますように