![二日続けて手抜きです](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/38/cd/09cbe7811a8ec62a1d34bd8a2401c5ea.jpg)
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焼いただけの厚揚げ (オーブントースターで 約10分)
鰹節と醤油をかけて
中華ふう春雨サラダ
サツマイモと薄揚げのお味噌汁
父の朝ご飯
ガソリン代 冗談抜きに200円時代が来そうな雰囲気です・・;
「では 甲森(かぶともり)の権蔵が かように言ったのだな
黒浜から帰る芙蓉様一行を襲うのだと
芙蓉様以外は 皆殺しにし 黒浜の人間が襲ったように見せかけよと
芙蓉様は連れて来い
黒沼に乗り込むに良いからと
黒沼さえ手に入れれば飽きるまで遊ぶだけだと」
床にいる権蔵の部屋の外が騒々しい
「して 芙蓉様を手に入れられず 春重様の奥方へ毒が送られたと
明重様を亡き者とする為に
外へ権蔵様は兵を隠しておられると
ならば 我らは かように黒沼へ仇なす人間
生かしておくわけには・・・わけにはいかぬ」
さあっと 権蔵の眠る部屋の戸が引き開けられた
「かと言って いかな大悪人でも里の主人(あるじ)
首を跳ねて ただ処するわけにもいくまい」
「駒弥殿 考えがあると?」
「外の甲森の手勢の前で わたしが権蔵様のお相手をしよう 」
卑怯者の腹黒男ではあるが 甲森の権蔵の豪傑ぶりは 知れ渡っている
「さすれば いずこからも文句はでるまい」 駒弥は結んだ
相手は ただの優男
権蔵は にやりとした
彼は駒弥の戦いぶりを見たことがない
時に阿修羅のような 時に相手の力を包み流す 水のような捕らえどころなき強さを知らぬ
周囲にそれぞれの兵を配して
駒弥と権蔵は対峙した
力任せに権蔵は長剣振り回し切りかかる
駒弥は身が軽かった
切り込む 躱す 切り込む 躱す 繰り返せば 切り込み空振りする方が体力を消耗する
それでなくても最近は長い間 戦った事がない
酒を飲み 女を抱き 体がなまっている
相手が立てなくなった所で 駒弥は権蔵の持つ刀を跳ね飛ばした
「誓っていただきたい 今後 黒沼の里へは手を出さぬ
甲森で大人しくしていると
さもなくば」
「わ・・・判った 帰る 大人しく帰る」
わざとゆっくり 駒弥は背を向ける
権蔵は叫んだ「射よ!儂に恥をかかせた あやつをうて!」
飛んで来た矢を躱し 二本三本切り その勢いで 駒弥は 権蔵を今度こそ 遠慮なく切った
沈黙が周囲を支配する
甲森の兵達は 悄然と去って行く
春重は妻が明重に毒を飲ませた事を知ると 妻を斬り 自分も腹を刺した
明重は後継ぎとして隆重を指名し 自分は隠居した
近いうちに出家するつもりだと言う
黒沼が落ち着き 甲森からの動きが無い事を確認してから 駒弥達は 芙蓉を迎えに茜野の里へ戻った
早月はすっかり人気者である
隆重は早月も黒沼を出ると知り随分寂しそうだった
「早月殿 また またいつか お会いしたいのだが」
何とか それだけ言う
早月は被った布の下で微笑み頷いた
それだけで隆重は 舞い上がっているように・・・見えた
こっそり駒弥は言ったものだ
「あれが いいのか 苦労するぞ」
隆重は真っ赤になり ただ頷いた
黒沼の里を後にして茜の里に着いた駒弥は 兄・春重の死を 芙蓉に伝えなくてはならなかった
事の顛末のみ戸越しに話し それだけで下がっていったと聞き
藤三は呆れた
駒弥の中で 芙蓉は里のあるじの娘
引いて接するべき相手なのだ
―こんな男に惚れると しんどいぞ―
藤三は芙蓉を気の毒に思う
三日後 駒弥は芙蓉達を護衛して再び 黒沼を目指した
ちゃっかり早月も芙蓉の話相手ということでついてきている
黒沼へ着くと 芙蓉は旅の汚れを落として 父親に会いに行く
隆重は 駒弥と話しながら そわそわと落ち着かない
「話したい相手が違うようだ」駒弥がからかう
十次も加わり 宴は賑やかなものとなったが 隆重の仕事は山積しており 早めの御開きとなった
部屋へ運ばれた酒を飲みながら この男は眠れずにいる
明日 黒浜へ向かえば 事が起きない限り 黒沼との縁は切れる
黒浜で兄の立場を固めて・・・
それから茜野に戻り 藤太の成長を見守る
もう会う事もないだろう相手の面影が脳裏を掠める
何故に何故に 理由をつけて護衛を志願したか
気になったからだ
その女性の幸せが
何処か寂しげな目が気になった
幸せをこそ願う
隆重ならば 芙蓉様の意に叶う相手と添わしてやるだろう
一度 黒浜に早月を連れて行き 兄の駿(はやお)に その姿を見せたら 隆重の気持ちについても様子を見なくては
すっと部屋の戸が引かれ 薄衣を被った女が入ってくる
酒を取り替えにきたらしい
「何か用がおありか」駒弥は声をかける
ぎくりと女の動きが止まる
「こんな夜更けに男の部屋へ入るものではない」
「・・・・・」
「ご身分を考えられよ」
「だって・・・だって 何かしないと 貴方は行ってしまいますもの」
床に両手をつき 芙蓉は震える
「お慕いしております 芙蓉は貴方について行きたいのです」
「あなたは・・・男というものが 女に何をする生き物であるかを知らぬ
わたしは ただの男なのです
身のうちに獣を 抱える」
ぐいっと駒弥は杯を煽る
「花にはそれに相応しい咲き場所 開き場所 相手がある
その身 大事にされることだ」
「わたくしが嫌いでしょうか」
「わたしは今 黒沼の客だ
人としての倫を越えよと言われるか」
「明日になれば もう会えない
それは嫌です 」
「あなたに触れれば わたしは―」
どっと芙蓉は身を投げ出した
体ごと想いをぶつける
はがされまいとしがみついた
「わたしは今酔っている」
低く駒弥が言う
「構いません」
「許されよ」
腕に力込め 一度 芙蓉の体を抱き締めておいて みぞおちへ拳を当てた
当て落としておいて 意識ないその体を愛しげに抱き上げ
この男らしく確認しておいた芙蓉の部屋へと 人目を避けて運んだ
床に寝かせて 腕を離す時 堪えきれなくなったか その唇に口づけた
意識のない相手に言う
「わたしも あなたを想っている」
今一度 柔らかな唇に指で触れると ぐっと拳を握り込み 立ち上がる
隣りの部屋で その言葉を聞いた乳母の彬は泣いた
翌朝 支度を整える駒弥の所へ 隆重が訪れた
「男と見込んで お願いしたい」
駒弥は ひどく逃げ出したい想いにかられた
それほど隆重には力が入っていた
「芙蓉様の乳母殿がな 死ぬと言うのじゃ
芙蓉様を駒弥殿以外の嫁にしたら 裸踊りしてから 池に飛び込んで溺死して 毎晩化けて出てやると 」
内心呆気にとられた駒弥は ここで噴出してはいけないと奥歯を噛み締める
「昔から乳母殿は苦手なのじゃ
嫌がらせに わたしが死ぬまで続けるに違いない」
笑ってはいけないと神妙な表情を保とうと駒弥は 難しい事を考えようとする
「おまけに乳母の彬殿もつける
迷惑だろうが差し上げる
であるから―」
駒弥は嬉しい観念をすることにした
「我が兄の駿 我が主人(あるじ) 茜野の里の藤三様に まずは話を通さねばなりませぬが 」
「おお それならば藤三様から手紙を頂いておる
自分では妻も見つけきらぬ ―いや目の前にあっても手も出せぬ朴念仁ゆえ 宜しくお願いする ―と
駿殿はこの件に関して 藤三様より相談を受け こう言ったそうな
もし弟で良いと言う奇特な女人がおられたら とっとと押し倒してしまえ!と
あ・・・いや 失礼した」
「隆重様は わたしなどで宜しいのか
芙蓉様の相手には 心積もりが おありではないのか」
「伯父も 芙蓉様が望む相手なら―
わたしも茜野と黒浜の駒弥殿なら信じられる」
「過分なお言葉 有難く存ずる
一度 妹を連れて発ちますが 折り返し 支度整えて迎えにまいります 」
男同士の話は それでついた
だが 駒弥には もう一人 恐く五月蠅い相手がいた
「信じられない 芙蓉様に好きの一つも言ってあげてないなんて
何 格好つけてるんだか
女は不安なんですからね」
「ふうん」
「ふうんて何よ 妹と思って子供扱いしてるでしょ」
「いや 好きと言う男の方がいいのだと 好みを教えたい相手がいる 他に要望は無いか」
「こっこの 腹黒陰険おじん 今にハゲてデブれば いいのだわ」
「早月」優しい声で駒弥は言う 「流石は京仕込み 優雅だねぇ」
「ふられてしまえ」
確かに早月の言葉は正しい
しかし こう何か盛り上がりに欠けやしないか
芙蓉の部屋の方へ廊下を進んで行くと 乳母の彬が心配げに うろうろしていた
「乳母どの
わたしは一度 黒浜に戻る
あと数年 そこで暮らすが それから先は茜野の里で暮らすことになるだろう
そういう暮らしで良ければ
迎えに上がりたいと思う
乳母どのは どう思われるか 」
言葉を思いつかない彬に 駒弥は微笑する
「ついて来てくれるなら 支度して待っていてほしい
必ず迎えに来るから
そう伝えていただけますか」
「何故 わたくしに?」
「乳母どのは 芙蓉様の 母者がわりゆえ」
彬にとって乳母冥利に尽きる言葉だった
「そうだ 芙蓉様に これを」
懐から出した布に包んだ品を彬に渡す
「飾り櫛です 」
そのまま 芙蓉に会わずに引き返していく
芙蓉は部屋の中で震えていた
先夜のはしたない振る舞いが思い出され 部屋を出ていく事ができない
彬が部屋に入り 「駒弥様からです」と手渡した
恋しい男性(ひと)の温みが まだ残っている
漆に蒔絵の美しい櫛 紙がはさんであった
―いつか渡せる日があればと 夢見ていた―
そう書いてあった
―ああ これは 駒弥様も わたしを思っていて下さると 自惚れてもいいのだろうか―
はらはらと芙蓉は涙を落とす
―駒弥様!―
駒弥が部屋に戻ると 発つ支度を整えた早月が待構えていた
「言わなかったでしょう」
「お前ね しつこい女は嫌われるよ」
と部屋の外から隆重が
「わたしは早月殿が しつこくても一向にかまわないが」などと言う
「さきで後悔するぞ
その言葉」と駒弥は言い捨て 更に続ける
「そうそう 妹は はっきり自分を想う気持ちを言葉にしてくれる人間が好みなのだそうだ」
「で・・・でしゃばりの おたんちん」
「聞いたか隆重殿
こういうじゃじゃ馬だが」
「そこも いとおしく存ずる」
その言葉に 早月の頬が薄紅く染まった
駒弥は意外なものを見る思いで さっと戸を開けた
隆重と早月の目が合う
「わたしは馬を見てくる」
二人を置いて駒弥は庭へ下りた
と 彬が追ってきた
「あの 芙蓉様が大変なのです
どうか部屋に」
「!」
彬が言い終わらないうちに 駒弥は駆け出した
彬は笑顔で 後ろ姿を見送る
「失礼する!」
部屋に入ってきた駒弥に 芙蓉は驚き焦った
動けず転ぶ
「芙蓉様 一体」
駆け寄り 芙蓉の体を支える駒弥に 情け無い声で返事する
「考え事していたら 足が痺れて動けなくなったのです」
彬にはかられたと駒弥は気付いた
芙蓉の体を支えて 足を前に投げ出させ 足の裏 ふくらはぎ 着物の上から擦ってやる
「楽になったか」
踵 土踏まずを つまみ押しながら「小さい可愛い足だ」などと駒弥が言うものだから 芙蓉は恥ずかしくて震える
「わ・・・わたし・・・」
芙蓉は駒弥に抱き取られた形の この姿勢も恥ずかしいのだった
自らの手の置き場にさえ困っている
咄嗟に縋った駒弥の腕に置いてしまった自分の指を どうすればいいか判らずにいる
いつの間にか その腕に必死でしがみついてしまっている
「何 痛かった」
「わたし 」
自分でも何を言いたいのか芙蓉は判らなくなっている
「一生 傍にいて下さい
あなたが幸せでいられるように つとめますから」
「駒弥様」
その腕を駒弥は芙蓉に回した
その腕・・・「この腕は」
問い掛ける芙蓉に「あなたの物だ」
駒弥は答えた
一月後 黒浜と黒沼で続けて婚礼の祝宴が張られた