メンバーの一人が消えても 心配すらしない男達だった
自分自身に厄介事がふりかかったり 嫌な思いをしたり 困ったりしない限り 他人のことなど どうでもいい
その時 楽しければいい
余りの頭の悪さに潜り込む大学も見つけられなかった男は 悪さする為の知識だけはあり 時々父親の病院から その為の薬を「調達」してきた
合鍵さえ作っておけば 男が病院に居ても見咎められない
今夜も薬剤室に誰もいなくなった時間に いつもの薬をちょろまかしに潜り込んでいた
目的を果たして部屋を出ようとすると 白衣の女性とぶつかりそうになった
「あなたは?」
「君こそ見かけないな 新人?」俺の事を知らないのか!と言おうとして 相手が眼鏡こそかけているものの ひどく美しいことに男は気づく
「ちょっと父に頼まれたんだ ここの院長の息子の明だよ」
自分ではいけてると思う笑顔を作る
「そうでしたか はじめまして」
女は安心したような笑顔になった
「仕事は終わったのかな」期待を込めて声をかける
「ええ これから帰るところです」
微笑みの残る淡い色の唇に 男の視線はひきつけられる
「だったら 駐車場まで一緒に行くよ 君みたいな美人が一人だと危ない」
女の微笑は消えなかった
「わたしは駅まで歩きなんです」
「あ ボクも駅に用があるから 一緒に行くよ」
あまりぶしつけかと男は焦りも覚えたが 女は受け入れた
「ちょっと着替えてきますから」
医者になれなかった男は 医師という職業にコンプレックスと裏返しの憧れもあった
自分にひっかかってくれる美人なら何だっていい男でもあったが
父親の病院の医師なら 最初だけは余りヘタなこともできない
少し歩くと
「わたし ちょっと買い物があるんです だから ここまでで・・・」ーと女が言いかける
「付き合うよ」
男の笑顔は どんどんだらしなくなっていく
女が人気のない寂しい方へ歩いていくことに 男は気づかなかった
暗い路へ進んでいることにも
壊れた塀の向こうを女が指さす
「あら! あれは何でしょう」
「え?!}
「ほら 何か光ったものが ちょっと見てきます」
つられて男も塀の向こうへ入ってしまう
塀の向こうには 星の明かりも届かない
女の声だけが聞こえる
「あなたは何故 ついてくるのです」
声の響きが変わったことに男は気づけない
「興味があるから」
「わたしの心 体 どちら」
その蠱惑的な声に男は 女も「その気」だと思い込む
「あなたはわたしを知っているはずなのに」
「それはー」どういう意味なのかと問いかける男の喉が血を噴いた
女の手にはメス
倒れた男の傷に触れ 指で血を掬い女は呟く
「やっぱり まずい・・・」
自分自身に厄介事がふりかかったり 嫌な思いをしたり 困ったりしない限り 他人のことなど どうでもいい
その時 楽しければいい
余りの頭の悪さに潜り込む大学も見つけられなかった男は 悪さする為の知識だけはあり 時々父親の病院から その為の薬を「調達」してきた
合鍵さえ作っておけば 男が病院に居ても見咎められない
今夜も薬剤室に誰もいなくなった時間に いつもの薬をちょろまかしに潜り込んでいた
目的を果たして部屋を出ようとすると 白衣の女性とぶつかりそうになった
「あなたは?」
「君こそ見かけないな 新人?」俺の事を知らないのか!と言おうとして 相手が眼鏡こそかけているものの ひどく美しいことに男は気づく
「ちょっと父に頼まれたんだ ここの院長の息子の明だよ」
自分ではいけてると思う笑顔を作る
「そうでしたか はじめまして」
女は安心したような笑顔になった
「仕事は終わったのかな」期待を込めて声をかける
「ええ これから帰るところです」
微笑みの残る淡い色の唇に 男の視線はひきつけられる
「だったら 駐車場まで一緒に行くよ 君みたいな美人が一人だと危ない」
女の微笑は消えなかった
「わたしは駅まで歩きなんです」
「あ ボクも駅に用があるから 一緒に行くよ」
あまりぶしつけかと男は焦りも覚えたが 女は受け入れた
「ちょっと着替えてきますから」
医者になれなかった男は 医師という職業にコンプレックスと裏返しの憧れもあった
自分にひっかかってくれる美人なら何だっていい男でもあったが
父親の病院の医師なら 最初だけは余りヘタなこともできない
少し歩くと
「わたし ちょっと買い物があるんです だから ここまでで・・・」ーと女が言いかける
「付き合うよ」
男の笑顔は どんどんだらしなくなっていく
女が人気のない寂しい方へ歩いていくことに 男は気づかなかった
暗い路へ進んでいることにも
壊れた塀の向こうを女が指さす
「あら! あれは何でしょう」
「え?!}
「ほら 何か光ったものが ちょっと見てきます」
つられて男も塀の向こうへ入ってしまう
塀の向こうには 星の明かりも届かない
女の声だけが聞こえる
「あなたは何故 ついてくるのです」
声の響きが変わったことに男は気づけない
「興味があるから」
「わたしの心 体 どちら」
その蠱惑的な声に男は 女も「その気」だと思い込む
「あなたはわたしを知っているはずなのに」
「それはー」どういう意味なのかと問いかける男の喉が血を噴いた
女の手にはメス
倒れた男の傷に触れ 指で血を掬い女は呟く
「やっぱり まずい・・・」