望郷 (文春文庫) | |
湊 かなえ | |
文藝春秋 |
「みかんの花」 家に半月いた男と駆け落ちして島を出た姉は作家になり白綱島の「市」としての閉幕式に参加する
島を出ないまま結婚して 母親の世話をしてきた妹はー 姉の駆け落ちの真実を知る
姉は島を出るしかなかった 母親を守る為に
母の犯した罪をも背負い 一人で生きるしかなかった
「海の星」 行方不明になってしまった父が生きて帰ってくることを信じる母親 母子家庭となった家に親切にしてくれたおっさん
あまりいい気持ちで「おっさん」のことを思い出せなかった男だがーその親切の真実を知る
「夢の国」 家族をおさえつける祖母の為に自由がほとんどなく育った娘 その娘は 祖母がいなくなることを願っていた
ー死ぬかもしれない祖母を放置した孫娘
「雲の糸」
父親殺しの母を持つ息子は歌手になった 母がどうして父を殺したか 姉が教える
「石の十字架」
父親が自殺し 島で暮らす祖母に預けられた娘は友と呼べる存在を得た
それからー台風の時 「友」は助けを呼んでくれる
「光の航路」
亡くなった父と同じ教師になった男は 生徒のいじめと虐めている子供の親の対応に苦慮していた
そして放火にあい入院
父の教え子で教師となった畑野が訪ねてくる
男の話す想い出は畑野の想い出とも重なり 父親がいじめる人間にどう対応したか 男は知ることになる
解説は作家の光原百合さん