夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「報復ゾンビ」-9-

2016-02-24 14:16:28 | 自作の小説
ー新垣 忠秀ー

一年前 安田が死んだ カーブを回り損ねての転落事故

車の中で見事にぶっつぶれていたそうだ

親父の別荘を貸していたものだから 結構迷惑をした

馬鹿な奴は死にざままでマヌケだ



いい頃合いだ 他の奴らも消えた
どうせ何かしでかして居られなくなったのだろうが


もう30歳 いい加減にしろ! 嫁を貰えと親父にも言われている

少しはおとなしくしていたら お前はいつか社長になるんだからと


新垣連は社長にはさせない
くたばりぞこないのジジイにも会長職から 力づくで引退を願って

邪魔な連 気に入らない従弟

小さな時からいじめても泣かない
かわいげも面白味も無い奴


真面目で勉強ができて 礼儀正しくて 大っ嫌いだ


親父から連には双子の姉がいると教えられた

伯父貴が密かに会いに行っている

邪魔な娘だ 居なくなればいいーそう親父が言った

連の姉らしい清純派



健気に生きてますパターンな女
 

仲間と強引に車に連れ込み 別荘でゆっくり いただいた

殺すには惜しいタマだったが 生きていられても邪魔だし


俺らが連の姉さんで愉しむ様子を録画しておいたのを わざわざ連を招いて見せてやった

「ちょっと面白いDVDがある」と


奴は表情も変えずに最後まで観ると「でも 僕の趣味じゃ無かったな」と それだけ言った

面白くない奴め
俺らが犯しているのは そして殺したのはお前の姉さんだぜ

ざまァ見ろ!

このじりじりした喜び 連の奴ァ きっと布団の中で泣いたに違いない
そんな 女々しい奴だ


会社で仕事を覚えようとジタバタしているらしいが・・・・20代の甘ちゃんに何ができる
親父のいい餌食だ
そのうち大失敗させられて真っ青になるに違いない



伯父貴もいい加減ジジイすぎるジジイなんだから とっとっと会長職から退けばいい

アイツが俺が入社するのを徹底して反対し邪魔してやがる


死ね!早く死ね! いや輝子伯母と同じめに遭わせてやろうか

あの薬はまだ残っている

それとも火事で伯父貴と連 二人一緒にーというのもいいな
手間が省ける



こういう時あいつ等がいないのは不便だがー


ジジイとへなちょこガキくらい 片づけるのは簡単だ


が!その前にどこぞの良家の美人お嬢様との見合いに備えて いい男ぶりをあげてくるか


バカ高い金はかかるが 爪の手入れもする店

しかも働いているのは全員美人

マッサージの気持ちよさには眠りこけてしまった



ま・・・世間知らずの娘なんぞ 適当に煽て上げりゃ 何とかなるだろう

親父からは しつこく当分は女と遊ぶのはやめろと言われていた

少し大人しくしていればー過去のことなど「若気の至り」でごまかしきれるとー


鬱陶しい!


せっかく男ぶりもあげたことだし 遊んで帰るかー何処に行くかな まずは車に乗って・・・・・
地下の駐車場に向かう


車のドアを開けると 何かが足元に転がってきた

「すみません キーホルダー落としちゃって・・・・・」
若い女  リクルートスーツのような黒の上下 白いブラウス
下手をすればやぼったくなる組み合わせだがー
これは中身が極上 

かがんで一緒に車の下を見るふりをして 足を眺めた
いい脚だ

「あ 邪魔してごめんなさい 見つけました」
笑顔を向けてくる そしてこちらの足を触ってきた
「ま すみません ゴミが・・・・」



そして 何があったのか

あちこちぶつかる 手も足も動かない  暗い 

何か目に当てられている 手を足は縛られているーのか

どこだ ここは 

車の中か 動いている?


息苦しいぞ この鼻と口を塞ぐ布 どうにかならないのか



何が 起きている?!



どれだけ時間が経った?

俺がどうして こんな目に合わなくてはいけないと



やっとやっと車が停まる



車のドアが開いた音がする


「ずっと考えていたわ どんなふうに殺してあげようかと」

女の声


「わたしを殺して つかまらなかったから味をしめて また何人も殺したようね

つかまえて いたぶって 殺す


死体が見つからないと死んだことにはならない 殺したことにはならないんだって」


冷たい声の囁きが続く

「身動きもならないまま 死んでいかないといけない気持ち あなたも味わうといいわ」



誰だ? 誰だ?

何をしている  おい! おい 一体何を


「ごきげんよう」

声は 遠くなる


熱い・・・・・・ この匂い


燃えているのか 車が  燃えて  


おい!


止めろ! 止めろ! やめてくれ!


うあああああああああああ・・・・・・・・・・・・・




「報復ゾンビ」-8-

2016-02-24 01:10:05 | 自作の小説
死から浮かび上がるように 長く深い眠りから女は眼を覚ます

少し甘い味のする栄養剤と瑞々しい果物が枕元に置かれている
女の身内の心づくし
いつ目覚めてもいいように


ほぼ死んでいる女の為に・・・・・


いつか皮膚も腐り果て ぼろぼろになるのではないか
映画のドラキュラのように崩れて塵になるのではないか


横たわったまま女は腕を伸ばし 指の一本一本を確認する

動ける不思議さを考えることはやめた

残された数少ない肉親にも危害を加えようとする者達

その者達を 彼らをー滅ぼす!

善とか悪とか どうでもいい


標的を定めて女は仕度をする


外では血飛沫のように赤い霧が月を包んでいた
まだ夜は始まったばかり






男の親は地方でチェーン店を展開しているスーパーを経営
しっかり者の長男と働き者の次男

少し年の離れた末っ子は 甘やかし放題に育てられた

そして男は 一番あかんコに育った

小学生の頃からすぐにばれる嘘をついては 人をおとしいれようとしてーナンバーワンの嫌われ者に

やがて地元には置いておけなくなり 
預けられた親戚の家では 似たような性癖の人間とつるむようになる

ひいては親戚にも追い出され


なまじ戻って来られてはーと 親は金だけを送る


おかげで男は働くということを知らぬまま そこそこいい年になった


それでもそうした悪さをする仲間が一人消え 二人消えて 連絡もとれなくなるとー


バカなりに焦燥のようなものは感じている

何か変だ 何かおかしいと



男は連れの一人の親が所有する別荘にひきこもった


だがー一人で静かにしていられるだけの我慢は続かない
持ち込んだ酒も食べ物もじきに尽きる

料理のできない人間に籠城はできない


男は別荘のある山から駅近くのコンビニまで車を走らせた

カゴに入れるはー冷凍食品 レトルト食品 ビール チューハイ 日本酒 ウイスキー
レジ横のケースから焼き鳥 唐揚げ ポテト

薄い袋は重みに耐えず 車までも持たずに破れる

散らばった中身を ぶつぶつ文句を言いながら拾い集める


「これ 良かったら どうぞ」
きちんと畳まれていた買い物用の袋が 広げて置かれた
「予備に入れてる未使用のモノです」

そう言いながら 敗れた袋ごと 中身を詰める

上から降ってきた甘やかな声 ほっそりした白い指

不思議な金茶色の口紅が良く似合う


スクエアなフレーム越しの切れ長の眼


ぽけっと見とれていると 心配そうに「大丈夫ですか」


「あ ああ助かる」

すると女は形の良い両膝を揃えて立ち上がる「では お気をつけて」

ウエーブのかかった長い髪が女の背で揺れる
ずうっと見ていたいような後ろ姿だった


男は女の歩き出した方角へと車を向ける


女はバス停のベンチに腰かけていた
このあたりのバスは一時間に一本しかない


「送っていこうか」
精一杯 好青年の表情を作り誘ってみる


「送られたくない気分なんです」


「なんで?」


軽く吐息 それから苦笑いしつつ女は答えた
「待ち人来らずーふられちゃったんです わたし」


ーいや 勿体ないにもホドがあるだろう こんな美人をー

「一人でいたくない気分なんです」と女は続けた



「じゃあ ドライブは 気分転換になるよ」


男の誘いに女は乗った


助手席に座った女にビールを勧めてみる

「もっと強い酒が飲みたい気分なんです」

これは百年に一度のラッキーか!男は車の速度を上げる


女は少し窓を開けた 「ああ 気持ちいいわ!」
長い首の白い喉をのけぞらせて女が笑う

もっともっととアクセルを男は踏み込む

カーブの手前 女は男の顎に指をかけて 「有難う とっても楽しいわ」
男の唇近くで囁いた


道路から完全に男の注意が逸れる

車はカーブを回り損ねて 落ちる 墜ちる 墜ちる



動きが止まった車の窓から女が出てくる 「全然美味しくない」

車の中には 完全に死んでいる男ひとり

おかえりなさい

2016-02-24 01:06:12 | ペット
猫の瑠奈は長男が好きです
留守だと 起きている間 長男が座っている場所に居続けています



ずうっと お兄ちゃんが帰ってくるのをー待っています


でもって帰ってきたら 足元を転げ回って 離れません







でもって基本 私の膝に来るのは 長男が寝てしまってからーです