巴弥都の本家の屋敷だけは 別の山にあり分家や親戚など一族の家は少し離れた場所へ広がっていた
祭など行事があれば本家が中心にする
縁談のとりまとめや
東京の大学を出て帰ってきた本家の真太郎様は 一族から注目されていた
こんな田舎からすれば 東京は異国のようにすら思える
一族の末席もいい久保元からすれば 本家も随分と遠いのだった
真太郎様には家同士が決めた婚約者もいて その方は時々 真太郎様が東京から戻ってこられてからは 頻繁に本家を訪れていて婚礼を待ち兼ねていると専らの評判だった
艶やかな衣装は人目を引くらしい
私は少し前に父親に連れられ 本家の手伝いに行き 茶を点てた
野点の趣向らしく庭で
そこに何か意味があろうとは 思ってもみなかった
暫くして父に言われた
本家から嫁ぎ先が決められたこと
父は言う「相手はお大尽様だ」
母は嬉しそうではなかった
その意味を暫くして私は 真太郎様の婚約者に教えられる
女学校を卒業したら じきに婚礼という運びに決まったらしく 本家が恥ずかしくない嫁入り支度を調えてくれるとかで
私は本家に呼ばれることが多くなった
「入れ替わりになるはね あなた」
その女性は急に声をかけてきた
ひらひら飾りが付いたパラソル
花柄のモダンなワンピース
艶やかな赤い唇
少しつり上がった目
「随分 大人なお相手で大変そうだわ
あなた おぼこいし大丈夫かしら
心配していてよ」
うふふふ・・・と気味悪い笑い方をするのだった
「よしたまえ 悪趣味な」 少し近づいてきた真太郎様は その女性を咎めた
「実保子さん あなたが まだ立ち入っていい話ではない」
「あらあら怖い真太郎様 強い殿方はチャーミングでしてよ」
くすくす笑いながら 実保子と呼ばれた女性は立ち去る
真太郎様は 初めて間近に近くで姿見るその人は心配そうに尋ねてくれた
「君 あの女性(ひと)は何か失礼をしやしなかったかい
すまないね ちょっと変わった人なものだから」
「・・・いえ」男らしい眼差しにどきどきしながら答えると 「本当に綺麗になった 別嬪さんだ あなたはお人形さんみたいだったものね」
私は首を傾げる
「あなたがまだ小さな頃にね 絵本を読んであげたことがある
覚えてなくて無理はない
僕は可愛いお人形さんを忘れたことはなかったけれど」
お人形さん その部屋は入れない
僕の母が使っていたんだ
ちょっと待っておいで 退屈なら面白い本がある
あれは夢の事ではなかった
優しい声で本を読んでくれた少年
あれが あの少年が真太郎様だった?
それから時々 真太郎様は私に声をかけてくれるようになった
秋が行き冬が来て 年が明け
女学校の卒業も近づいてきた
だんだん分かってくる嫁ぐ相手の話に 私は逃げたい心持ちになってしまっていた
両親が隠していても 世話焼きたがりの人があれこれ噂を耳に入れる
随分な年上で艶聞多くー
とうとう新聞記事の写真で姿も教えられる
嫌だ!と思った
それでもどうしようもない
どこからか
「本当に」と声が聞こえる
あの声は 私のもの いいえ それとも
夢の少女だろうか
私と生き写しの姿した
夢の中で遊んだ少女
私は昔 本家の庭の奥に迷い込んだ
何かの行事で母に本家に連れていかれー母とはぐれたのだ
ああ あれは
夢ではなかった
少年だった真太郎様が本を読んでくれたのが 現実のことなら
あれも夢ではなかったのだ
暗い庭の奥に井戸がある
ぴちゃん ぴちゃぴちゃ音がして
ぴしゃん ずっ ぴしゃん ずっ
井戸から何かが出てくる 出てくる
どろどろの髪が乱れへばりついた首だった
首は井戸から出てくると ずるずると庭土を這い 厭な笑いを浮かべながら近づいてくる
竦んで動けなかったら 首が言った
「見つけたゾ 見つけたゾ 見つけたゾ」
その時 夢の子供の声が聞こえた
ー捕まっちゃダメ 逃げるの 負けちゃダメー
私は庭の石を首にぶつけ逃げた
夢の子供は笑っていた
楽しそうに
ーそうよ 負けちゃダメ 戦うの えらいー
逃げ出した私は真太郎様にぶつかり
ほっとして泣きじゃくった
それで真太郎様が相手してくれたのだ
そう 私には視(み)える
聴こえる
奇妙なものが
視たくないものが 視えてしまう
深夜耳あてた枕からは気味悪い声が聞こえてくる
部屋の隅にうずくまる黒い影
気付かないふりをしているけれど
親戚達の家にも よく妙なものがいた
野にも手招く者達
分けても墓地は恐ろしかった
ザワザワと蠢くモノ達
夢の娘の声が無ければ
恐怖に負けていたと思う
「ボーイズオンザラン」
最終回観ました
花(平愛梨)を借金のカタに売ろうとする夫源(RED RICE)を逆転の必殺技で倒し 約束通り離婚届にサイン貰う田西(丸山隆平)
花は龍(上田竜也)に 田西に返すつもりで貯めていた貯金を差し出し 足りない分は 龍が源と花の結婚指輪でオマケしてくれる
これで源の借金はチャラ
源を追いかけボクシング・ジムへ押しかけた暴力団のチンピラ達は鈴木(陣内孝則)がやっつけていた
花の貯金で足りない分を払おうとした鈴木だが 財布には2千円しかなかった
あ ここ笑う場です
入院中の青山(斎藤工)を見舞う田西は 「相変わらず薄っぺらい」と言われる
花とうまくいき 素人童貞は卒業できた田西だが 田西のは自分の事だけの恋で 恋愛ではないと
修の誕生日プレゼントにも頭を悩ます田西
青山が危篤と連絡入り 病室へ花と駆け付けた田西は「まだ戦いの決着は付いてない 勝ち逃げはズルい」と叫ぶ
病室からの帰り ガチャガチャ見て 修へのプレゼントを思いつく田西
修は父親(宇梶剛)から「たまには食事しよう」と誘われ 誕生日を覚えていてくれたんだ!と少し嬉しくなってついていくも 店に入ると様子が違い 父親は注文を済ませると「ごめんな」と修を置き 出ていってしまう
借金のカタに修は暴力団に売られたのだ
ボクシング・ジムを狙うチンピラが修を連れていこうとする
あくどいやり方に龍がキレ チンピラ達を倒し
ちょっと兄貴格に言う「ガキをカタになんて 上が知ったらー」と 逆らった龍を脅す相手に逆ねじを喰わせた
誕生日ケーキを用意し ボクシング・ジムで ジムのみんなや 花に田西も待つが 修は来ない
修のメモ読んだ田西と花は 修の家へ走る
修はガチャガチャに詰めた爆弾で 父親をやっつけようとしていた
間一髪 間に合った田西だが 外へ出ると修の父親が警察を呼んでいて
人質とり爆弾持ち込んだ立てこもり犯人にされていた
警察に連行される田西
田西は黙秘し 服役
田西が かつて好きだった女性(南明奈)は 青山に捨てられ堕胎してから根性悪の陰険女になっており マスコミのインタビューにも
「いつかは何かやると思ってました ホテルに連れこまれそうになったり ストーカーされたこともあります」と好き勝手に田西の悪口を言っていたが 以前自分が田西に言った言葉を マスコミに繰り返され
田西に言った場面を思い出し 一言「バカですね」ひどく寂しい表情になり 働いている蕎麦屋へ戻っていく
龍は組と縁を切り やり直す爽やかな表情で歩いていく
ボクシング・ジムでは花が修に 田西からのプレゼントの意味を教える
空のガチャガチャに詰めるのは自分の夢
田西は夢を叶えるのに失敗したが 修には夢を叶えて欲しいと言っていたと
田西の両親は息子の無実を信じており
犯罪者の親は皆 同じことを言うと冷笑する警察官に叫ぶ
「親だから だよ」
服役中の田西を色々な人間が面会に来てくれる
かつての会社の上司と社長も 田西が退職してから会社の業績上がり 景気がよくなった
田西が出所したら就職先を世話すると言う
鈴木は花と修の様子を教えに
死なずに元気になった青山も恋人と顔を見せ 決着ついてないぞと 励ましの笑顔を見せる
風俗嬢(佐藤江梨子)も田西の坊主頭に大笑いしつつ近況話し「 今度は客で店に来て サービスするから 」
面会者の様子見てきた刑務官(横山裕)は
「皆 温かい目をしておられますね」
みんな あったかいいい人だと田西が言うと
「あなたが温かい人だからでしょう」
数年経ち 出所する田西を迎えに花と修が来る
すっかり身長が伸びた修は 今や花より背が高い
修の夢は十代でボクシングのチャンピオンになること
修が田西に投げたガチャガチャに そう書いたメモが入っている
修は随分強くなっているそうだ
花は自分の名前を書いた婚姻届を 修は自分の名前書いた養子縁組みの書類を田西に見せた
何も言えずにいる田西
花と修の少し離れた後ろから 二人に分からないようコッソリと 「二人を頼む」と言う鈴木
鈴木はすぐに姿を消した
「まだ 早かったよね」と書類を引っ込める花と修
田西は「後で書く」と書類を取り戻す
警察に捕まる時 田西が叫んだ言葉
「俺たちは家族だ!」
今度こそ 本当に家族になれるんだ
幸せそうに三人は走っていく
平愛梨さんもスッキリ綺麗で 可愛らしくもあるのですが
ドラマに出てきた三人の女優さんの中では 佐藤江梨子さんに一番魅力を感じました
甲斐性なし男を引き受けて なお明るさを失わず
本当にいい女です
最終回の筋は まぁ 突っ込みたいところも たんとありますが
ここは ぐっとこらえて
汚れ役 頑張った南明奈さん
素敵な佐藤江梨子さん
目の表情も魅力ある平愛梨さん
浅田美代子さん
楽しいところもあったので
60点 最終回につけます