BS12の「ザ・カセットテープ・ミュージック」は、80年代の音楽を取り上げて、熱く独断で語り合う番組で、時々見ている。
スージー鈴木氏が、マキタスポーツ氏と2人で語り合う姿は、見ていて本当に音楽が好きな方なんだな、と思っている。
そんなスージー鈴木氏の著書を新書で見つけ、買ってきたのが、この本。
本の帯や表紙カバー裏には、次のような本書の紹介があった。
「80年代」と書いて、「EPICソニー」と読む――。
先進的な音楽性により80年代の音楽シーンを席捲したレコード会社「EPICソニー」。
レーベルの個性が見えにくい日本の音楽業界の中で、なぜEPICだけがひと際異彩を放つレーベルとして君臨できたのか?
そして、なぜその煌めきは失われていったのか?
佐野元春《SOMEDAY》、渡辺美里《My Revolution》、ドリカム《うれしはずかし朝帰り》など名曲の数々を分析する中でレーベルの特異性はもちろん、当時の音楽シーンや「80年代」の時代性が浮かび上がっていく。
佐野元春ロングインタビュー収録。
80年代という時代は、私にとっては、社会人になったばかりの年代だったので、仕事をこなしていくのに必死で(?)、EPICソニーから出ていた歌については、あまり多く知らなかった。
だが、著者のスージー氏自身が高校生であったり大学生であった時代、本当に好んでよく聴いていたのが、EPICソニーレーベルの音楽だった。
その音楽をこよなく愛していたからこそ、追跡して書かれた本だということがよく分かった。
第1章では、EPICソニーの「音楽」。
大沢誉志幸、ラッツ&スター、大江千里、岡村靖幸、渡辺美里、BARBEE BOYSそして佐野元春その他の人たちの佳曲について、スージー氏独自の解釈を加えて紹介していく。
「そして僕は途方に暮れる」「め組の人」「目を閉じておいでよ」「SOMEDAY」ら、知っている曲も結構あった。
ほほう、そんな人たちのそんな曲には、そんなエピソードがあったのか。
いい歌を歌っていたんだね、ということを改めて知った感じ。
第2章では、EPICソニーの「時代」。
EPICソニーは、どのように始まったのかや、中心になっていたリーダーだった人の話など、その歴史が述べられる。
歌謡曲の受賞ダービーがいやで、逃げ出したかった、というのがきっかけというのは興味深い。
そして、面白いのは、EPICソニーの「意味」として、その素晴らしかった存在理由を次々述べているところだ。
EPICソニーとは「ロック」だった
EPICソニーとは「映像」だった
EPICソニーとは「タイアップ」だった
EPICソニーとは「東京」だった
つまるところ、EPICソニーとは「佐野元春」だった
これらの解釈が、スージー氏らしくていい。
なるほど、この文章たちが、この本の肝なのだと思った。
第3章は、EPICソニーの「人」
EPICソニーで重要な役割を果たした2人へのインタビュー。
小坂洋二氏そして佐野元春氏への貴重なインタビューで当時のことを掘り下げていく。
今までEPICソニーをよく知らなかった私でも興味深く読めた。
「ロック」を目指して、独自の戦略で意欲的に取り組み、当時音楽界をリードしたEPICソニー。
なるほどなあ。
歌好きな人なら、面白く読めるだろう。
また、1980年代に若い時代を過ごし、歌が好きでよく聴いていた人たちなら、懐かしさだけでなく初めて知ったエピソードも多く、さらに楽しめることだろうな。
著者のスージーさんが、最も楽しんでこの本を作ったような気がした。
個人的には大沢誉志幸さんが好きで、ライブの「AR ABLEL II」は日本の映像作品の最高傑作だと思っています。
これからもよろしくお願いします。
さすがですね~。音楽を幅広く知っていますね。
大沢誉志幸のよさを知っているし、EPICソニーが映像作品の制作に力を入れていたこともよくご存じなのですね。
本書では、その映像のことも書いてありました。EPICソニーが革命的な創造的活動に力を入れ、業界をリードしたのだと知りました。
またいろいろ教えてください。よろしくお願いします。