別れたらそれっきりというのは、淋しすぎる。
想い出にかわった時、元恋人は「一番大切な他人」になっているんだわ。
久々に恋愛小説を読んだ。
その書名が「想い出にかわるまで」(角川文庫)。
著者は、内舘牧子。
この文庫本が出たのは、平成5年だったから、今から30年以上前になる。
手元にあるのは、平成10年の第19刷のものだから、本当に昔のものだ。
本棚の陰にずっと隠れていた一冊。
この本の最も印象に残る文章は、冒頭に載せた2文。
60代後半の自分だが、胸がきゅんとする文章だ。
「一番大切な他人」かあ。
言い得て妙だなあ…。
しかも、それが「想い出にかわった時」だというのだからなあ。
ストーリー自体は、主人公のるり子が、婚約者のエリートサラリーマン直也を、実の妹の久美子に強引に奪われるというもの。
そんな妹の姿には、多少おどろおどろしさがあった。
印刷屋の町工場の父母、るり子と妹、弟を交えた家族のつながりについても描かれているから、ああ、あの頃はまだこんなふうな家族関係だったな、とか跡継ぎの問題は必ずついてまわっていたな、などとも思ったりした。
恋愛小説に家族小説の要素が入り込んでいたのは、いかにも、という感じで懐かしさを覚えた。
この作品について調べてみると、あの金妻(金曜日の妻たちへ)のシリーズと同じ夜10時の時間帯に放送されたテレビドラマから、放送終了後、書籍化→文庫化されたものだった。
金曜10時台のドラマは、それこそ「金曜日の妻たちへⅢ」しか見たことがなかったので、ドラマ放送されていたとは知らなかった。
この「想い出にかわるまで」のドラマは、1990年1月から3月までの放送で、主演は今井美樹と石田純一だった。
私にとっては、魅力的なシンガーとしてしか知らない今井美樹が出演していたことなんてあったんだね。
しかも、姉から婚約者を奪い取る妹役は、当時21歳の松下由樹だったなんて、「へえ~」だった。
おまけに、主人公のるり子に心を寄せ、時には彼女の支えになるカメラマンには、あのチューリップの財津和夫が起用されていたというのも、興味深い。
財津氏は、ドラマに出たこともあったのか、…知らなかったよ。
…と、いろいろと珍しいことを知ることができた。
こういう恋愛小説を読むと、自分と違っていてうらやましくなったり、自分が経験したこととの共通点を見出したりしてしまう。
終盤に移ってきた自分の人生と比べながらも、気持ちが若くなるような気もするものだなあ。
話は変わる。
ああ、アルビレックス新潟。
今日は島田譲選手の契約満了の報せだ。
連日の満了発表、つらいなあ…。