「言問橋」。
橋の名がついた歌を集めていたら、この歌が気になった。
「僕にまかせてください」で有名な「クラフト」の曲だったが、この曲は、レコードでも持っていなかったし、カセットテープに録音したこともなかった。
もう40年近く前の歌である。
「アマゾン」で購入するか、と調べてみると、意外とないのだ。
中古CDでも3件しかない。
最安だと3,000円かからずに買えるが、そこまで出して買う必要があるのか、と躊躇した。
そこで、「言問橋」について、少し調べてみることにした。
「こととい」という名前が、どこか昔を感じさせるような気がした。
ウィキで調べてみると、
そうか。
古今和歌集の在原業平の歌か。
名にしおはばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
だから、昔が感じられるのだ。
さらに、橋について調べていくと、言問橋は、隅田川に架かる橋だということである。戦争中の東京大空襲の際に、双方の岸の人々が「川向こうに行けば助かる」と思い渡ろうとしたため、橋上で合流してしまい身動きができなくなったところに、焼夷弾や猛火が降りかかり、たくさんの人々が、橋から次々と死体で埋まった隅田川に落ちていったという。
そのような事実も残っているのだという。
その橋を題材にしている同名の小説も見つけた。
「言問橋」(杉山隆男;文藝春秋社)。
アマゾンでなんと¥1(送料別)。
こちらは即購入。
還暦を過ぎた男の初恋の話だが、そこに登場する初恋の相手の真の母は、その惨事の犠牲者の一人だという設定であった。
主役は老舗の足袋屋を継ぐことが、相手はやがて老舗の料亭のおかみになることが決まっているという二人の出会いから始まるのだが…。
いろいろと知るようになると、「言問橋」のCDもやっぱり購入しようと思った。
注文して数日後、さっそく聴いた。
流行ったころは、「ニューミュージック」とか言われていたはずなのだが、「言問橋」の歌詞に表れる女性はかなり古風なのであった。
二人遊んだ言問の 想い出ひろいに訪ねれば
君は老舗のおかみさん 日傘をさして
乳母車に 倖せ乗せてゆく
逢って別れて 別れて逢って 人の縁(えにし)の侘しさに
この橋の上でめぐり逢う ここは言問 言問橋
幼なじみの二人が大人になって、彼女は老舗のおかみさんとなっている。
和服を着て、乳母車に子どもを乗せている彼女とすれ違うのだが、
なぜか忘れぬ人ゆえに 面影偲んで訪ねれば
帯の匂い袋香おらせて 買い物帰りの急ぎ足
僕に気付くはずもない
…気付かれずに過ぎていく、という歌だ。
いくら老舗のおかみさんでも、若い母親が「帯の匂い袋」を香おらせるなんて、今の時代にはないだろうなあと思った。
でも、「逢って別れて 別れて逢って」の繰り返しは、なんだか懐かしさをいっぱい感じる表現だった。
中古CD の購入を考えたことから、いろいろな発見があった「言問橋」であった。
橋の名がついた歌を集めていたら、この歌が気になった。
「僕にまかせてください」で有名な「クラフト」の曲だったが、この曲は、レコードでも持っていなかったし、カセットテープに録音したこともなかった。
もう40年近く前の歌である。
「アマゾン」で購入するか、と調べてみると、意外とないのだ。
中古CDでも3件しかない。
最安だと3,000円かからずに買えるが、そこまで出して買う必要があるのか、と躊躇した。
そこで、「言問橋」について、少し調べてみることにした。
「こととい」という名前が、どこか昔を感じさせるような気がした。
ウィキで調べてみると、
そうか。
古今和歌集の在原業平の歌か。
名にしおはばいざこと問はむ都鳥わが思ふ人はありやなしやと
だから、昔が感じられるのだ。
さらに、橋について調べていくと、言問橋は、隅田川に架かる橋だということである。戦争中の東京大空襲の際に、双方の岸の人々が「川向こうに行けば助かる」と思い渡ろうとしたため、橋上で合流してしまい身動きができなくなったところに、焼夷弾や猛火が降りかかり、たくさんの人々が、橋から次々と死体で埋まった隅田川に落ちていったという。
そのような事実も残っているのだという。
その橋を題材にしている同名の小説も見つけた。
「言問橋」(杉山隆男;文藝春秋社)。
アマゾンでなんと¥1(送料別)。
こちらは即購入。
還暦を過ぎた男の初恋の話だが、そこに登場する初恋の相手の真の母は、その惨事の犠牲者の一人だという設定であった。
主役は老舗の足袋屋を継ぐことが、相手はやがて老舗の料亭のおかみになることが決まっているという二人の出会いから始まるのだが…。
いろいろと知るようになると、「言問橋」のCDもやっぱり購入しようと思った。
注文して数日後、さっそく聴いた。
流行ったころは、「ニューミュージック」とか言われていたはずなのだが、「言問橋」の歌詞に表れる女性はかなり古風なのであった。
二人遊んだ言問の 想い出ひろいに訪ねれば
君は老舗のおかみさん 日傘をさして
乳母車に 倖せ乗せてゆく
逢って別れて 別れて逢って 人の縁(えにし)の侘しさに
この橋の上でめぐり逢う ここは言問 言問橋
幼なじみの二人が大人になって、彼女は老舗のおかみさんとなっている。
和服を着て、乳母車に子どもを乗せている彼女とすれ違うのだが、
なぜか忘れぬ人ゆえに 面影偲んで訪ねれば
帯の匂い袋香おらせて 買い物帰りの急ぎ足
僕に気付くはずもない
…気付かれずに過ぎていく、という歌だ。
いくら老舗のおかみさんでも、若い母親が「帯の匂い袋」を香おらせるなんて、今の時代にはないだろうなあと思った。
でも、「逢って別れて 別れて逢って」の繰り返しは、なんだか懐かしさをいっぱい感じる表現だった。
中古CD の購入を考えたことから、いろいろな発見があった「言問橋」であった。
You Tubu 『言問橋』のURLはhttps://www.youtube.com/watch?v=19h61U1GJfQ
「乳母車」。阿久悠作詞、森田公一作曲のこの歌は、私には、あの「青春時代」を歌った森田公一とトップギャランの持ち歌という印象の強い曲です。
確かに最初は、「言問橋」が「乳母車に似ているな」、とも思ったのですが、聴き終わると大きな違いを感じました。「乳母車」が「あの人と肩並べ歩いてく」のに、「言問橋」は、「橋の上でめぐり会う」と言いながらも、「僕に気付くはずもない」ということで、すれ違うのですね。
そして、あとは季節ですね。「乳母車」は、「オーバーの襟を立て」るのですが、「言問橋」は、「日傘をさして」いたり「帯のにおい袋を香おらせ」たりするのですから、冬と夏くらいの違いがありそうに思います。
いずれも、時の流れが、二人の人生の違いを表す歌になっていて、相手にはもう子どもがいる、という点で共通していますね。
似ているところ、違うところを見つけて楽しむこともできた「言問橋」でもありました。