路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説】:ネットのデマ 批判的読解力が必要だ

2019-08-28 06:01:45 | 【事件・未解決事件・犯罪・疑惑・詐欺・闇バイト・旧統一教会を巡る事件他】

【社説】:ネットのデマ 批判的読解力が必要だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:ネットのデマ 批判的読解力が必要だ 

 誰でも被害者になり得る問題として社会全体で考え、再発防止に本腰を入れるべきだ。ネットのデマによる損害や人権侵害のことである。

 茨城県の常磐自動車道で起きたあおり殴打事件を巡り、容疑者と無関係の女性が「同乗していた女」とインターネット上で名指しされ、中傷の書き込みが相次いだ。
 被害に遭った女性は記者会見し「軽い気持ちでデマを拡散することの怖さをしっかり考えてほしい」と訴えた。女性の弁護士は情報の発信や拡散に関わった人物の特定を進め、損害賠償請求訴訟や刑事告訴を準備している。
 2017年には全国各地の弁護士が、ネット上の特定のブログの呼び掛けに賛同した人々から計約13万件に上る懲戒請求を受けた。各地の弁護士会が16年に朝鮮学校への補助金停止に反対する声明を発表したことが発端だが、声明に関わっていない弁護士も請求を受けた。
 ブログには書式が用意され、呼び掛けに応じた読者が見ず知らずの弁護士名が記載された書面に記名、押印するケースが多かった。961件の懲戒請求を受けた沖縄弁護士会は「事実に基づかない不当な請求」と抗議する声明を出した。根拠もなく懲戒を請求した人に対する訴訟が全国で起き、裁判所が請求者に損害賠償を命じるなど弁護士側勝訴の判決が相次いでいる。
 今月には、車のスピード違反容疑の男性が「上申書を出せば違反逃れができる」というネット上の虚偽情報を信じ、出頭要請を拒んで逮捕された。「違反逃れ」のデマがネット上で出回っていた。
 発信者が情報の根拠や事実を確認しないままデマを流し、それを真に受けた人が誤った情報を広げた結果、虚偽や根拠のない情報を基に誹謗(ひぼう)中傷をしたり違法行為を犯したりする事態を招いている。
 書き込みに違法性がある場合はサイト管理者やプロバイダーに削除を要請できるし、裁判所に削除の仮処分命令を申請する方法もある。しかし、書き込みが次々と拡散する中では、いたちごっこに終始しがちだ。
 最も重要なのはネット利用者一人一人がメディアリテラシーを身に付けることだ。この概念は、さまざまなメディアを使いこなす能力とされる一方、情報を批判的に読み解く力として必要性が指摘されている。
 情報の根拠や真偽を見極める力である。発信者本人が調査して得た一次情報か、それとも誰かから得た二次情報か、情報元が不明な三次情報か。発信元は誰で、どのような背景があり、狙いは何か。人をおとしめる悪意や印象操作の可能性はないか。これらを疑うことが重要になる。
 現代社会にとってインターネットは生活上、欠かせない。ネット上にあふれる情報を正しく有効活用するためにも、この能力を子どものころから培う必要がある。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月27日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:五輪がつむぐ新たな物語は

2019-08-28 06:01:40 | 【スポーツ全般・屋内外の競技種目・オリ、パラ、デフリンピック・国民スポーツ大会】

【金口木舌】:五輪がつむぐ新たな物語は

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:五輪がつむぐ新たな物語は 

 とある国の王女と新聞記者の出会いを描いた映画と言えば、すぐに題名を思い浮かべる方もいよう。映画「ローマの休日」は66年前のきょう、米国で公開された

 ▼今年は王女を演じたオードリー・ヘプバーンの生誕90年でもある。ヘプバーンと記者役のグレゴリー・ペックがたった一日だけ行動を共にしたローマから北に約300キロ。独立国家サンマリノがある
 ▼バチカン同様、イタリアの中のミニ国家。駐日大使が石垣島好きという縁から、石垣市と交流がある。石垣市は東京五輪・パラリンピックのホストタウンとして大会後に同国選手を招いて交流を深める
 ▼竹富町も同様に大使を通じた交流から同国のホストタウンに名乗りを上げた。サンマリノは国土のほとんどが山地や丘陵地という山頂の国。南の島の風土は、かの地の選手団の目にどう映るだろうか
 ▼沖縄市がニュージーランド、宮古島市がオーストラリア、八重瀬町がソロモン諸島のホストタウンや事前の合宿先となることで合意した。読谷村はニュージーランドのラグビー、那覇市はドイツの空手など8件の合宿を受け入れる
 ▼国籍の違いを超えて友情を培い、平和の実現に貢献するのが五輪の理念。選手団と各市町村の交流は一日だけのものではない。末永く続く交流から、また新たな人のつながりができ、語り継がれる物語も生まれてくるだろう。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2019年08月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:東京パラリンピック 開催の意義かみしめよう

2019-08-28 06:01:35 | 【障害者を取り巻く諸問題・差別・虐待・雇用・バリアフリー・支援の輪】

【社説】:東京パラリンピック 開催の意義かみしめよう

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:東京パラリンピック 開催の意義かみしめよう 

 東京パラリンピックの開幕まで1年となった。障がいのあるトップアスリートが世界中から日本に集まる、またとない機会だ。より多くの人に関心を持ってほしい。

 パラリンピックは障がい者スポーツ最大の国際総合大会だ。夏季大会は1960年、冬季大会は76年に初開催された。現在は夏季と冬季でいずれも4年に1度、五輪の開催都市で開かれる。東京大会は22競技に約4400人が参加し、史上最大規模となる。
 開催準備は着々と進んでいる。バリアフリーに配慮された競技会場が完成し、リハーサル大会も本格化している。22日には観戦チケットの1次抽選申し込みも始まった。
 だが五輪に比べると必ずしも盛り上がりは十分とは言えない。チケット販売初日の公式サイトへのアクセスは五輪が約130万件だったのに対し、パラは約11万件にとどまった。パラスポーツへの国民の関心をどう高めるか、取り組みが求められている。
 一方、出場を目指す国内のアスリートらは大会後への不安を感じているようだ。
 共同通信が行った主要選手へのアンケートによると、回答者の77%が大会閉幕後に不安があると答えた。その内容では「国民の関心の維持」が63%に上り、「待遇面の維持」(48%)なども高かった。
 2013年の大会招致決定後、競技者らへの国や企業の支援は拡大しているが、一過性のものに終わらせないための知恵を絞りたい。
 障がいのある選手たちが自らの困難を乗り越え、さまざまな競技で世界の高みを目指すその姿は見る人たちに多くの感動と勇気を与える。
 16年のリオデジャネイロ・パラリンピックでは、沖縄の仲里進選手らの車いすラグビー日本代表が初のメダル(銅)を獲得し、同じく県内から出場した車いす陸上の上与那原寛和選手は1500メートル(4位)と400メートル(6位)で入賞を果たした。世界の舞台で躍動する2人から多くを学んだ県民も多いのではないか。
 開幕まで1年に迫った先週末、全国でメダリストらとの交流イベントや競技体験会などが開かれた。多くの子どもたちがパラ競技への理解を深めるとともに、障がい者の日常に思いをはせたはずだ。
 東京都は、パラ出場経験のある選手を小中学校などに派遣し、競技を披露したり講演したりしている。大会を契機に県内でもぜひこうした取り組みを進めてほしい。
 少子高齢化やグローバル化が進む中での東京大会は、障がい者と健常者が支え合う「共生社会」の実現や多様性の尊重を世界の人々とともに考える貴重な機会にもなる。
 東京五輪・パラリンピックはスポーツを通して国連が掲げる持続可能な開発目標(SDGs)を達成することを目指している。SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会に向け、沖縄の立場からも開催意義をかみしめたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月26日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:地盤改良有識者会議 結論ありきではないのか

2019-08-28 06:01:25 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

【社説】:地盤改良有識者会議 結論ありきではないのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:地盤改良有識者会議 結論ありきではないのか 

 名護市辺野古の新基地建設を巡り、政府は埋め立て予定海域の大浦湾側に広がる軟弱地盤の改良工事について、土木工学の専門家らでつくる有識者会議を設置する。9月上旬にも東京都内で初会合を開くという。

 識者から地盤改良工事の技術的な提言を得て工事の正当性を強調し、工事に反対する県の主張に対抗しようという意図が見える。
 しかし本来、政府が設置する有識者会議は公正でなければならない。辺野古新基地建設のように政府と地元沖縄の意見が対立しているような案件ならなおさらだ。少なくとも、会議に沖縄県が推薦する専門家を入れ、議事録を公表するなどして、公平性と透明性を担保するべきだ。
 大浦湾の軟弱地盤は、沖縄平和市民連絡会の北上田毅氏らが情報開示請求で入手した沖縄防衛局の地質調査報告書によって2018年3月に発覚した。地盤の強さを示すN値がゼロを示す、「マヨネーズ状」といわれる非常に緩い砂地や軟らかい粘土があることが分かった。大規模な構造物を建設する場合、N値が50程度必要とされ、不足している場合は大規模な地盤改良が必要となる。
 県は昨年8月、軟弱地盤が見つかったことなどを理由に辺野古沿岸部の埋め立て承認を撤回した。沖縄防衛局は対抗措置として、行政不服審査法に基づく審査請求を申し立て、国土交通相が今年4月、撤回を取り消す裁決をした。
 防衛省が国会に提出した地盤改良に関する報告書では、改良が必要な海域は大浦湾側を中心に73ヘクタールあり、海底に砂ぐい約7万7千本を打ち込む工法を用いる。改良には県への設計変更申請が必要だが、玉城デニー知事は変更を認めない方針だ。
 辺野古の埋め立てについては仲井真弘多元知事が承認の条件として国が設置した環境監視等委員会がある。しかし委員会の運営は辺野古の関連工事を請け負う環境建設コンサルタント「いであ」(東京)が担い、しかも同社を含む受注業者から委員に寄付や理事報酬が支払われたことが明らかになった。委員会の中立性は極めて疑わしい。
 委員会の副委員長を務めた東清二琉球大名誉教授は「基地建設ありきで大事なことを調査せず、はんこだけで実施している委員会だ。何の意味もない」と指摘して辞任した。議事録も作成しないこのような委員会が公正に役割を果たしているだろうか。軟弱地盤の有識者会議も、専門家の「お墨付き」を得るための結論ありきの存在ではないのか。
 そもそも安倍晋三首相は辺野古の地盤改良について「一般的で施工実績が豊富な工法」で可能と述べ、施工のたやすさを強調してきた。しかし一般的な工法なら有識者に改めて意見を聞くまでもないだろう。有識者会議の設置は辺野古新基地建設工事がいかに困難なのかを示した格好だ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月25日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:男性の育休取得促進 多様な人材定着へ挑戦を

2019-08-28 06:01:15 | 【待機児童問題・認可、無認可保育園・認定こども園・子育て世代、産休・育休・...

【社説】:男性の育休取得促進 多様な人材定着へ挑戦を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:男性の育休取得促進 多様な人材定着へ挑戦を 

 「イクメン」の言葉が定着して久しいが、男性の育児参加はなかなか進んでいない。厚生労働省の2018年度調査で男性の育児休業取得率は6・16%に低迷し、女性の82・2%に比べて極めて少ない。政府目標の「2020年に13%」には遠く及ばない。

 政府目標の達成に向け、厚労省は男性の育休取得の支援策を拡充する。男性社員が育休を取った場合に企業へ支給する「両立支援等助成金」に加算要件を設けて金額を上乗せし、管理職研修や上司から部下への働き掛けなどの対応を企業に促すという。
 一方で、仕事を休むことのしわ寄せが他の社員にいくことへの遠慮や、周囲の理解不足などから、育休制度があっても取得が進まないという職場もまだ多いのではないか。国連児童基金(ユニセフ)からは、日本の制度は男性で1位の評価ながら「実際に取得する父親は非常に少ない」と指摘されている。
 組織にはびこる「男性は仕事優先」「育休はマイナス」という性別役割分担の考え方を変えるところまで取り組みを進めなければ、助成金という“ニンジン”だけをぶら下げても政策の実効性は乏しい。
 「パタニティーハラスメント(パタハラ)」という言葉をご存じだろうか。育休を希望する男性社員への嫌がらせのことだ。このところ大手企業への訴えが相次いでいる。
 6月に大手化学メーカーの元社員の妻が、夫が育休明けに転勤を命じられたと会員制交流サイト(SNS)に投稿し反響が広がった。大手スポーツ用品メーカーでも同月、約1年の育休後に子会社に出向させられるなど嫌がらせを受けたとして男性社員が会社を提訴した。
 こうした企業への批判がネット上で相次ぐ事態となる一方で、男性社員の子育て参加を応援する企業の取り組みは先進事例として注目を集めている。積水ハウスや三菱UFJ銀行は全ての男性社員に、最短で1カ月の育休を事実上義務付けている。
 就職情報会社の調査によると、全国でこの春就職した女子学生の76%が結婚後も共働きを考え、将来は夫に育休を取得してほしいと希望する割合は90%に上った。
 出産後も仕事を続けたいと考える女性が増えることは、企業にとっても女性人材の育成や組織の成長につながる。女性だけが家庭と仕事の両立を求められる時代ではない。男性の育児・家事参加に理解がある企業かどうかが、学生らの就職先としても評価されている。
 国会では育休取得を義務化しようという議論も出てきた。繁忙を理由に育休を取得させない企業は、新たな法整備がされた場合は業務の維持が困難になる可能性がある。
 企業は、多様な人材の定着や採用につなげる機会と前向きに受け止め、男性の育休取得の環境づくりに積極的に取り組んでもらいたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月24日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:日韓関係の悪化 理性的対応で関係改善を

2019-08-28 06:01:05 | 【韓国・在韓米軍・従軍慰安婦問題・強制労働・島根県竹島(韓国名・独島)の領有権】

【社説】:日韓関係の悪化 理性的対応で関係改善を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:日韓関係の悪化 理性的対応で関係改善を 

 昨秋の韓国人徴用工訴訟判決に端を発する日韓関係の悪化は泥沼の様相を呈してきた。韓国大統領府が22日、日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を決めたのである。

 既に関係悪化の影響は県内でも顕在化している。韓国の航空6社は、韓国と沖縄を結ぶ航空路線で運休・減便を発表した。ソウル、釜山、大邱の3都市への週71便が来月以降は2都市で週35便前後に半減する見込みだ。
 韓国客の新規予約が入らず、県内旅行社やホテルも予約のキャンセルが続いているという。韓国人観光客は2018年度は台湾、中国に次ぐ規模だ。55万3800人が県内を訪れている。
 那覇市内のホテルの予約担当者は「韓国側で日本旅行に行きにくい雰囲気があると聞いている」と話す。
 全国で同様な傾向が明らかになった。観光庁が発表した7月の訪日外国人旅行者数の推計によれば、韓国人客は前年同月比7・6%減の56万1700人となった。
 韓国からの観光客は近年、全体の約2割に上るという。昨年1年を見ても全国で753万人が訪日している。消費額も5881億円と、いずれも中国に次ぐ2位だ。
 隣接する九州地方は韓国からの観光客が多く、大分県では宿泊客の6割を占める。
 航空路線の運休や減便は相互理解のきっかけを絶やすことにつながりかねない。隣国とのより良い関係をたゆみなく促進するためにも民間交流は欠かせない。冷え込む一方の両国関係の打開策を両政府は探るべきだ。
 韓国の世論調査会社の調べでは「今年、日本に旅行する考えがない」と回答した人は82%に上った。日本への旅行自粛ムードが広がっていることを裏付けている。日本製品の不買運動も拡大し、ビールは輸入額で「不動の1位」から3位に転落している。
 両国の社会を覆う「嫌日」「嫌韓」といった世論が、こうしたムードを醸成している事態は無視できない。
 国内でも共同通信が今月実施した全国電話世論調査で、輸出管理上のホワイト国(優遇対象国)から韓国を除外した対応について「評価する」と回答したのは68・1%、「評価しない」の20・1%を大きく上回った。
 日本の植民地支配に根源がある徴用工問題は、歴史の反省抜きに法律や条約を論じても解決するとは思えない。
 安倍晋三首相は今年の戦没者追悼式でもアジア諸国への加害責任に触れなかった。改めて歴史認識を説くことで、複雑化した日韓関係再構築の糸口を見いだすことができるのではないか。
 韓国側は国際社会の一員である以上、国際法を順守する姿勢を示すべきである。
 対抗措置の応酬は日韓両国にとって何のプラスにもならない。両国政府に理性的な対応を強く求めたい。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月23日  06:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:揺らぐG7 協調の原点を見失うな

2019-08-28 05:05:55 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①】:揺らぐG7 協調の原点を見失うな

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:揺らぐG7 協調の原点を見失うな 

 閉幕した先進7カ国首脳会議(G7サミット)は、包括的な首脳宣言の採択を初めて見送った。

 地球温暖化対策やイラン核問題などの重要課題で、トランプ米大統領と他国首脳の溝が埋まらなかったことが背景にある。

 深刻なのは世界経済の最大の懸案、米中貿易摩擦を巡る溝だ。

 身勝手な保護主義を掲げ、摩擦の起点となっているトランプ氏に、日欧の首脳が結束して自由貿易の価値を説き、自制を求めた形跡は見当たらない。

 これではG7が形骸化し存在意義を疑われても仕方あるまい。

 地球規模の課題や複雑に利害が対立する問題の解決へ処方箋を提示することに、G7は力を発揮できるはずだ。

 各国には、米国を自国第一から国際協調に引き戻す努力を粘り強く続けてもらいたい。

 首脳会議で各国は米中摩擦に懸念を示し、景気下ぶれリスクに「機動的かつ万全の政策対応」で備えることで一致はした。

 だが首脳宣言の代わりに出された文書は、世界貿易機関(WTO)改革の必要性など一般論を記しただけだ。G7の意思表明として力不足と言わざるを得ない。

 議長国フランスのマクロン大統領は、首脳宣言作成より議論に注力すべきだと考えていたという。

 しかし、自由や民主主義といった価値を共有する先進国が経済や安全保障の課題について真正面から討議し、取りまとめた首脳宣言で国際秩序の安定を図るのがG7のあるべき姿ではないか。

 今回は、巨大IT企業の税逃れを防ぐ「デジタル課税」の重要性を確認したほか、世界的な不平等の拡大への懸念を共有するなど一定の前進はあった。

 これらが包括的な成果文書にまとめられなかったのは残念だ。

 サミットでは、トランプ氏が世界の安定を乱しているさまがあらためて鮮明になった。

 ロシアを再びサミットに復帰させるよう求めたが、ロシア排除の原因となったクリミア併合問題は解決していない。G7の自己否定にもつながる筋違いな提案だ。

 イラン問題でも、核合意から一方的に離脱し緊張を高めているのはトランプ氏自身である。

 地球温暖化問題を巡っては、関連会合に出席すらしなかった。

 いずれも来年のサミットで議長を務める人物の言動であることに驚きを禁じ得ない。

 トランプ氏は、独善を重ねれば孤立を深めると知るべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月28日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:カジノ誘致競争 影響の見極めは慎重に

2019-08-28 05:05:50 | 【IR=カジノを含む統合型リゾート施設・IR推進法・ギャンブル依存症対策・賭博】

【社説②】:カジノ誘致競争 影響の見極めは慎重に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:カジノ誘致競争 影響の見極めは慎重に 

 横浜市がカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致を表明した。開設を目指す自治体間の競争は激しさを増している。

 だからといって誘致の可否を検討中の道が「乗り遅れるな」とばかりに結論を急ぐのは禁物だ。

 刑法で禁じている賭博のもうけを地域振興に利用することへの疑問が払拭(ふっしょく)されていない。ギャンブル依存症拡大への不安も大きい。

 誘致自治体は経済活性化につながると期待するが、その功罪を慎重に見極める必要がある。

 道が9月から11月にかけて行う道民の意向把握で、誘致に誘導するようなことがあってはならない。白紙から是非を議論するための機会とすべきだ。

 横浜市の誘致表明は大阪府・市、和歌山県、長崎県に続き4カ所目で、IR整備法で定められた開設地の最大3カ所を超えた。

 政府が今秋にも開設地の選定基準などを示す基本方針を公表するのを見計らって名乗りを上げたのだろう。

 IR推進に積極的な菅義偉官房長官の地元でもあり、一定の集客が見込める大阪とともに優位に立ったとの見方が出ている。

 ただ、これまで「白紙の状態」としてきた林文子市長が唐突に態度を翻したため、反対派の市民が市長室前に押しかけた。

 予定地の横浜港の港湾事業者らでつくる横浜港運協会のトップも改めて反対を明言し、地元の強い反発が浮かび上がった。

 道民にも慎重意見が多いことを忘れてはならない。北海道新聞社が7月中旬に行った全道世論調査では反対派が6割を超えている。

 鈴木直道知事が他自治体の動きにとらわれずに是非を検討する考えを示したのは当然といえる。

 気がかりなのは、この間の道の姿勢だ。

 高橋はるみ前知事の任期終了間際には、知事が最終判断を下していないのに、苫小牧市を優先候補地とする考えをまとめた。

 7月に道のホームページに掲載したIRへの理解を促す冊子は、施設をディズニーリゾートに例える一方で、依存症などの記述が少なく、道議会野党から「公平性を欠く」と批判を浴びた。

 横浜市にあおられて、こうした前向きなスタンスを強め、道民の意向把握にも偏りが生じるのではないか。そんな疑念がわく。

 鈴木知事は「道民目線で判断する」と繰り返す。それには、誘致自治体だけでなく、幅広い道民の意見を聞く心構えが求められる。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【卓上四季】:G7サミット

2019-08-28 05:05:45 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【卓上四季】:G7サミット

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:G7サミット

 作家の司馬遼太郎さんがフランスとスペインにまたがる大西洋岸のバスク地方を旅した際の料理について感想を記している。「ぜんたいに塩味だけの素朴なもので、パリで食べるフランス料理のような手のこんだものではない」(「街道をゆく 南蛮のみち」)▼ところが40年近くたった今、バスクは世界のグルメが注目する地域になった。独自の言語や文化を持つバスクは海山の食材に恵まれ料理も独特だ。食材を生かしつつ最先端の調理技術を使ったシェフたちが、切磋琢磨(せっさたくま)した成果という▼フランスは食事を政治に利用する国だ。マクロン大統領は、仏側バスクにある高級保養地ビアリッツをG7サミットの舞台に選んだ。自慢の料理で会議を円滑に運ぶ狙いがあったのだろう▼さっそく初日の夕食会でマグロの煮込みなど伝統的なバスク料理が振る舞われた。しかし肝心の会議は思うようにいかず、包括的な首脳宣言を採択することもできなかった。1975年のサミット開始以来、初めてのことだ▼またしてもトランプ米大統領である。貿易問題などで他国との溝を埋めようともしない。ファストフードが大好物の大統領には美食外交も通用しなかった▼「金持ちクラブ」と批判されるG7だが、自由貿易と民主主義を掲げ世界の安定に貢献してきた。来年は米開催、数十年かけて築いたものをトランプ氏の食い物にされるわけにいかない。2019・8・28

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説①】:日米貿易交渉の大枠合意 農業犠牲の一方的譲歩だ

2019-08-28 05:05:40 | 【食糧自給率・食品ロス・農業・JA・農家・化学肥料・米・牛・豚・養鶏・野菜】

【社説①】:日米貿易交渉の大枠合意 農業犠牲の一方的譲歩だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:日米貿易交渉の大枠合意 農業犠牲の一方的譲歩だ 

 安倍晋三首相はトランプ米大統領と会談し、日米貿易協定交渉を9月下旬に最終決着させ、署名を目指すことで合意した。

 米国産牛肉や豚肉の関税を環太平洋連携協定(TPP)と同水準に引き下げる一方、日本が求めていた日本車の関税撤廃は先送りするという。これでは米国が望んでいた農業先行決着ではないのか。

 TPPに続き欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)も今年2月に発効し、市場開放の荒波に直面する国内農業にとって、さらなる打撃は避けられない。

 農業を犠牲にした一方的な譲歩は認められない。

 しかも自動車関税の撤廃に米国は離脱前のTPPで合意している。そちらは見送りというのでは話にならない。

 茂木敏充経済再生担当相は「日米ウィンウィンとなる意見の一致をみた」と強調したが、来年の大統領選に向け早期決着を望むトランプ氏に押し切られたも同然だ。

 合意を優先して安易な譲歩を重ねたとの批判は免れまい。国益を損ねる合意ではないか。

 政府は国民に交渉の全貌を明かしていない。説明責任を果たすべきだ。

 ■「選挙優先」否めない

 日本は交渉開始を受け入れる段階から米側の威圧に屈してきた。

 多国間の枠組みを重視する政府は当初、2国間交渉を拒んだが、トランプ氏に日本車への高関税をちらつかされ、要求をのんだ。

 その後も米政権は日本車の輸入数量規制に加え、日米安保体制の見直しにまでも言及した。

 安倍政権はその攻勢になすすべなく譲歩を重ねたように見える。

 なぜ、そこまで妥協する必要があるのか。

 中国や北朝鮮が軍備を増強する中、安全保障を人質にされ、再選を目指すトランプ氏に成果をお膳立てしたとみられても仕方ない。

 米国抜きのTPP発効により、米農産品は日本市場でカナダなどに比べ不利になっている。

 米中貿易摩擦で中国への農産品輸出も急減しており、交渉妥結はトランプ氏の支持基盤である農業地域への格好のアピールとなる。

 一方、トランプ氏も5月の訪日時に決着を参院選後に先送りする考えを示した。選挙への悪影響を避けたい首相に配慮を見せることで、有利な条件を引き出した形となった。

 ■TPP水準守れたか

 農畜産物の関税を巡っては、昨秋の日米首脳会談でTPP水準までの引き下げを最大限とすることを確認していた。政府は「約束は守った」と言いたいのだろうが、農業の現場にはそうは映らない。

 今回、日本は米国産牛肉の関税について協定発効時に現行の38・5%から一気にTPP参加国と同じ税率に削減することを認めた。

 TPPは今年4月に発効2年目に入っており、日米協定が年内に発効した場合、米国産牛肉の関税はいきなり2年目水準の26・6%に「追いつく」ことになる。

 すでに今年前半の牛肉輸入量は前年同期を4%上回っている。米国産の関税低下によって、価格と肉質が手頃なホルスタイン種を手がける道内などの生産者への影響は甚大となろう。

 加えて問題なのは、TPPには依然として米国の参加を前提としたルールが残り、生産者に不利に働きかねないことである。

 例えば、牛肉の輸入が一定量を超えた場合に関税を引き上げる緊急輸入制限措置(セーフガード)の発動基準数量は、輸入量が多い米国の参加を前提とした水準のままで、発動のハードルが高い。

 米国向けに新たにセーフガードを設けるとしても、TPPの基準数量から米国分を差し引かなければ、実効性は乏しい。

 安倍政権が全く望みのない「米国のTPP復帰」を前提に、これまで協定内容の見直しを参加国に働きかけてこなかったのは怠慢以外の何ものでもない。

 ■政府は影響の直視を

 見過ごせないのは、国内農業への影響額について、これまで締結された協定ごとに単発でしか試算が行われていないことだ。

 政府は国内農林水産物の生産減少額がTPPで最大1500億円、日欧EPAで最大1100億円と試算するが、同時に発効した際の影響は算出していない。

 これでは「十分な対策を講じた」と言われても、生産者は安心できまい。しかも両協定に加え、日米貿易協定が発効すれば、日本農業への打撃が増幅しかねない。

 どの作物や畜産物がどのくらい流入し、国産品の生産・販売をどのくらい下押しするのか。

 政府はこの1年で急激に進んだ市場開放の影響を網羅的に精査し、分かりやすい形で国民に示してもらいたい。それもせずに署名を目指すことは許されない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【卓上四季】:寅さん50年

2019-08-28 05:05:35 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【卓上四季】:寅さん50年

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:寅さん50年

 盆や正月に決まって上映される定番の映画がある。かつてその筆頭だったのは山田洋次監督の「男はつらいよ」。ご存じ、フーテンの寅さんである▼主演の渥美清さんが逝った翌1997年まで49作を重ねた。第1作は50年前のきょう、公開された。寅さんは矢切の渡し舟で20年ぶりに東京・柴又に帰ってきた▼もともとはテレビドラマだった。最終回、寅さんが旅先でハブにかまれて死ぬと抗議が殺到。映画化で命をつないだ▼わがままで気が短いが、どこか憎めない寅さん。ふらりと旅から舞い戻り、その度につい羽目を外し、騒動を起こす。巻き込まれた妹のさくらや「とらや」の面々とけんかし、またぷいと旅に出る。どんなに理不尽で迷惑をかけられようとも柴又の人たちは彼を見放さない。「言いすぎたな」「あいつもいろいろあるんだ」と水に流し、戻ればまた温かく迎え入れる▼50年で日本も変わった。人々は寛容さを失い、不平不満を抱え、いら立っている。異なる出自や考えを持つ人をかさにかかって攻撃する。国民を「生産性」で選別する政治家もいる。今なら寅さんは異端視され、真っ先に排除されかねない▼「男はつらいよ」の22年ぶりの新作が年末に公開される。主演は渥美さんで、過去の映像も使って展開するという。寅さんの目に今の時代はどう映るのか。「おい、窮屈じゃねぇか」。そんな嘆きが出るに違いない。2019・8・27

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月27日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説②】:アフリカ開発 人々の自立促す支援を

2019-08-28 05:05:26 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【社説②】:アフリカ開発 人々の自立促す支援を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:アフリカ開発 人々の自立促す支援を 

 アフリカの人口は2050年には25億人へと倍増し、世界人口の4分の1を占める見通しだ。

 そのアフリカの将来を見据え、支援のあり方などについて話し合うアフリカ開発会議(TICAD)が今週、横浜市で開かれる。

 会議は日本政府が国連などと共催し、7回目となる。今回は、援助よりもビジネスに重点を置くのが特徴だという。

 アフリカの国々の抱える問題は多様で複雑だ。多くは最貧国で紛争も絶えない。

 アフリカの国々の自立を助け、人々の暮らしを豊かにするにはどうしたらいいか。参加者の声を聞き、着実な支援につなげたい。

 会議にはアフリカから54カ国が出席する。民間企業の関係者も加わり、日本とアフリカの官民対話が初めて行われる。外務省幹部は「主眼はビジネス。アフリカ側もそれを望んでいる」と狙いを語る。

 「最後の巨大市場」とも言われるアフリカは、2000年ごろから中国の進出がめざましい。

 資源調達をにらみ、各国との関係強化を図り、空港、港湾、道路などの大型インフラの建設を各地で手掛ける。

 中国とアフリカの貿易額も飛躍的に増加している。

 しかしアフリカの自立につながっているとは言い難い面もある。膨大な対中債務に苦しむ国が相次ぎ、一部には債務超過に陥っている国もあると指摘される。

 日本政府がビジネスを重視する背景には、欧米諸国ばかりか、中国に後れをとっていることへの焦りがあるようだ。

 ただ投資額で桁違いに水をあけられている中国と量で競うことにどれほどの意味があるだろうか。

 大切なのは質である。日本の得意分野とされる人材育成や農業での貢献が求められる。人口が急増するアフリカを支えるのに不可欠な分野だ。

 アフリカで流行を繰り返すエボラ出血熱の治療薬開発では、北大の取り組みも期待されている。

 コンゴ(旧ザイール)で性暴力被害者を救済し、昨年ノーベル平和賞を受賞したデニ・ムクウェゲ氏はこう語っている。「利益、利益、利益―。世界中の人々や企業は、そればかり考えている」

 世界中で需要の高い希少金属の奪い合いがコンゴの紛争を生み、民兵による性暴力を引き起こしているとの批判である。

 ビジネスにしても援助にしても、アフリカの人々の側に立つ。この原則を忘れてはならない。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:グリーンランド

2019-08-28 05:05:22 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【卓上四季】:グリーンランド

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:グリーンランド

 冒険家の植村直己さんは北大西洋に浮かぶ世界最大の島、デンマーク領グリーンランドと縁が深い。1972年には島最北部にある先住民イヌイットの村に入り、1年近くを過ごした▼南極大陸横断という夢に向けて、極寒での生活を体験するためだった。「生肉を食べたこと、犬橇(いぬぞり)技術を憶(おぼ)えたこと、(中略)三千キロの単独旅行をやったこと、いずれも私には十分満足できるものだった」と、著書「極北に駆ける」(文春文庫)にある▼その村で植村さんはイヌイットの老夫婦に本当の子どものように世話になった。よそ者だった植村さんが受け入れられたのは、イヌイットを敬愛し学ぼうとする姿勢を、老夫婦が感じ取ったからに違いない▼そんな先住民が暮らす島にトランプ米大統領の目が向いた▼「戦略的に興味深い」と語り購入に意欲を示した。北極周辺での中国やロシアの動きが気になるようだ。島民の生活など頭にないだろう。話を聞いたデンマークのフレデリクセン首相は「グリーンランドは売り物ではない」「ばかげている」と一蹴した。当然だ。しかも、大統領は首相の言葉を聞いて、9月初めのデンマーク訪問を中止した。あまりにも子供じみている▼自らの文化を大切にする先住民が多くを占め、自治政府が置かれている島だ。移民の排斥を言い立て、不寛容をあおる大統領のこんな思い付きを、受け入れられるはずもない。2019・8・26

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2019年08月26日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。 

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【社説①】:道の事業再評価 政治判断で前例打破を

2019-08-28 05:05:18 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【社説①】:道の事業再評価 政治判断で前例打破を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:道の事業再評価 政治判断で前例打破を 

 鈴木直道知事が、高橋はるみ前知事時代からの事業を再評価する「事業レビュー」に着手した。

 複数の部局で重複する事業を統合して効率化したり、効果が不明確な事業を再編したりして、公約の実現に向けた予算を捻出するのが狙いだ。

 4期16年に及んだ高橋道政で硬直化し、停滞が指摘される事業もある。それを検証し、見直すことは必要だろう。

 だが、道職員同士が内部でやりとりしても、自身の仕事を統廃合する結果になるため、抜本的な見直しができない可能性がある。

 組織の外から道庁のトップになった鈴木知事が前例やしがらみにとらわれず、政治判断で大胆に切り込んでいく覚悟が求められる。

 道財政は一時の危機を脱したとはいえ、依然厳しい。借金である道債の残高は6兆円に迫り、高齢者福祉などの義務的経費も増え続けている。

 税収の大幅増も望めない中で、知事が独自の施策を展開するには、既存事業を思い切って削る決断が不可欠だ。

 レビューは、アイヌ文化復興拠点の民族共生象徴空間(ウポポイ)への100万人集客を掲げた「アイヌ施策」や、来道外国人観光客の年間500万人を目指す「観光戦略」など10分野を対象に行う。

 多くは前知事が決定したもので、分野ごとに類似の事業がないか、知事の公約実現への効果は十分かを点検するという。

 道職員は中堅でも、道政史上最長の任期を務めた高橋前知事しか知らない人がほとんどだ。

 これまで正しいと思って進めてきた事業を、白紙の状態から客観的に検証し、中止を含めた見直しができるのか。疑問が残る。

 外部の専門家など第三者の意見を採り入れることも考えるべきではないか。

 事業の統廃合は道庁内部だけでなく、利害関係のある業界や道議会などの抵抗も予想される。

 かつて全国的に注目を集めた道の事業再評価制度「時のアセス」では、士幌高原道路や日高横断道など大規模事業の中止に道内選出の国会議員や道議が強く反発した経緯がある。

 今回のレビューで、こうした抵抗を恐れて判断を回避するのでは意味がない。

 レビューは道職員の仕事に取り組む姿勢や道議会、利害団体などとの関係を見つめ直す機会にもなる。意識改革の面からも、しっかりと取り組んでほしい。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月25日  05:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:カシミール問題 緊張招くインドの強権

2019-08-28 05:05:15 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②】:カシミール問題 緊張招くインドの強権

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:カシミール問題 緊張招くインドの強権 

 インドのモディ政権が、北部ジャム・カシミール州の自治権を剥奪した。ヒンズー教徒が約8割の国内で唯一、イスラム教徒が多数を占める地域だ。

 70年前から自治を認めていたが、地元と話し合うこともなく唐突に打ち出し、国会も自治権を定めた憲法規定の削除を可決した。

 治安部隊を送り、抗議する地元の政治家ら数百人を拘束するなど、力で抑え込もうとしている。

 あまりに乱暴すぎる。インド政府は強引な手法をやめ、自治権を戻すべきだ。

 ジャム・カシミール州を含むカシミール地方を巡り、インドは隣国パキスタンと領有権を争っており、3度にわたって戦火を交えた。自治権剥奪にパキスタンは反発し、緊迫の度合いが増している。

 インドとパキスタンは核保有国であり、対立をエスカレートさせることは極めて危険だ。これ以上緊張を高めてはならない。

 ジャム・カシミール州は、1947年にインドとパキスタンが英国から独立したことを受けてインドに帰属した。

 だが、住民にはイスラム教国であるパキスタンへの編入を求める声が強く、インドへの帰属意識は低かった。

 今春の総選挙でヒンズー至上主義を掲げるインドの与党は、カシミールの直接統治やパキスタンへの強硬姿勢を訴えて大勝した。

 自治権剥奪は公約を実現させたものと言える。10月末から連邦政府の直轄地とする方針だ。

 モディ首相は、ジャム・カシミール州がイスラム過激派の拠点になっており、政府直轄によって「テロから解放する」と、治安の強化を主張する。

 だが、現地ではイスラム教徒への圧力が強まることへの懸念が強まっている。抗議活動が相次ぎ、イスラム過激派メンバーと治安部隊の銃撃戦で死者も出た。治安はかえって不安定化している。

 インド政府は、反発を強引に押さえつけるだけでは事態を収拾できないと認識すべきだ。

 パキスタンはインドとの貿易停止など対抗措置を取った。

 カシミール地方の一部を実効支配する中国も「インドの行動は中国の主権に対する挑戦だ」としてパキスタンと連携するが、両国とも「報復」は慎まねばならない。

 国連安保理はカシミール問題について緊急会合を開いたが、具体的な対応策は出せなかった。日本を含む各国は引き続き、3カ国に対話と自制を促すべきだ。

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2019年08月25日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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