【社説①・11.28】:国会きょう召集 言論の府再生の一歩に
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・11.28】:国会きょう召集 言論の府再生の一歩に
石破茂政権にとって衆院選後、初の本格論戦となる臨時国会がきょう召集される。
選挙結果の民意によって生まれた与野党伯仲の国会だ。熟議と協力の合意形成が何より重要となる。政府・与党は主張を貫くだけでなく、野党の意見を丁寧に聞き、修正も辞さない柔軟な姿勢を基本とすべきだ。
最大の焦点は政治とカネの問題への対応である。自民党の裏金問題の実態解明はもちろん、30年来、先送りし続けてきた企業・団体献金の禁止に今度こそ決着を付けねばならない。
自民1強時代は数の力による強引な手法で審議が形骸化し、国会は政府の追認機関とやゆされた。与野党は国民の目を意識し、今国会を「言論の府」再生の第一歩とする必要がある。
与野党は一昨日、政治改革に関する協議を行った。立憲民主などの多くの野党が企業・団体献金の禁止を提案したが、自民党は慎重姿勢を崩していない。
廃止の方向で一致した政策活動費についても、自民党は外交関連などを念頭に一部非公開の支出を残す考えを示している。
政治改革は本来、国会の場で扱うべきテーマだ。何が問題でそれにどう対処すべきか、開かれた議場で、堂々と議論するのが筋である。
与野党協議は自民党が呼び掛け、野党の意向で報道機関に公開されたが、意見の違いを国民に分かりやすく示し、後世に記録をしっかり残すことをもっと強く意識しなければならない。
今国会のもう一つの大きな論点が、本年度一般会計補正予算案を裏付けとする経済対策だ。
政府・与党は、国民民主党が主張する所得税の非課税枠「年収103万円の壁」の見直しを受け入れ、補正予算案に賛成してもらう狙いだ。
しかし、自民、公明、国民民主の3党が密室で事前に全てを決めてしまい、国会に提案後の質疑が形ばかりとなるようでは従来問題視されてきた「与党の事前審査」と変わらない。
今回野党第1党の立憲民主党は衆院予算委員長のポストを得て、経済対策の対案も出している。予算案の効果や必要性を拙速に走ることなく点検し、修正や組み替えも視野に入れて審議を進めるのが国会の役割だ。
政府は第2次安倍政権以降、集団的自衛権の行使容認や防衛費の大幅増などの重要政策を国会に諮らず次々と決めてきた。
国会が国権の最高機関である以上、外交・安全保障政策にも関与するのは当然である。政府の意思決定と国会のあり方についても見直す契機とすべきだ。
元稿:北海道新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月28日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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